地球リズム学アシスタントの吉澤裕樹さんより講義レポートが届きました。
世界中の民俗音楽を聴いて、視て、地球の鼓動を感じようという地球リズム学。実際にリズムを奏でて、五感をフルに活用し体感していく講座です。
第2回目は、プロドラマーの大山ハジメさんをゲスト講師に招き、黒人音楽の聖地 ニューオーリンズのディープなお話を伺うとともに、大山さん持参の楽器を全員でシェアし、”聖者の行進”を奏で、ニューオリンズのリズムとグルーヴを体感しました。
大山さんは、1997年から1999年の3年にわたってニューオリンズに住み、自らも演奏してステージに立つなど、音楽にあふれる生活を送っていました。語られる言葉ひとつひとつに、現地で体感した生々しさを感じることができ、ニューオリンズに親しみを覚えてしまいます。
ニューオリンズの典型的なリズムに second line があります。ジャズの原形となるこのリズム。なぜ second line と呼ぶのか。答えは人の死を偲ぶ、葬式にありました。日本のしめやかなそれと違い、ニューオリンズの葬式は、音楽を奏でて死者を送り、生者の魂を明日へつないでいくのです。葬式を終え家路へ帰るときに奏でたリズムというのが一説。この説では、式に向かうとき奏でるリズムを first line と呼びます。もう一説は、葬式のときになす列の2列目という意味。1列目が親族で、2列目にバンドが並び、演奏を行っていたからと言われています。
second lineは、アフリカのリズムが原形となっているそうです。アメリカがフランス領の時代に、アフリカから大量の奴隷がニューオリンズに送りこまれました。彼らが労働の休憩時間に演奏していた音楽が、JAZZの発祥と言われているそうです。
第1回のキューバ音楽と同じく、アフリカのリズムが原形だなんて、まさに世界はリズムでつながっているのですね! 黒板にニューオリンズの地図を描き、英語を交えながらの講義はとてもユニークでした。地球の歩き方よりディープで生きた情報が展開されます。奴隷文化が発祥の”ザリガニのごった煮”、キング・オブ・スイーツ”ベニー”、タートルスープ…食べ物の話はもちろん、アップタウンとダウンタウンの関係、バーボンストリートとキャナルストリートを軸に広がる魅力的なライブハウス・バーの数々…ニューオリンズの行政の財源は、観光と駐車禁止の罰金というのも驚きでした。
そのなかでも印象的な話。人種の壁は想像以上に高く、埋めようがないものと痛感させられた。しかし、黒人の人達は、こちらが心を開けば輪に入れてくれる。あとはどう育んでいくか。危険な目に遭うこともしばしばあった向こうの生活で、大山さんは縮こまることなく心を開放し、輪に溶け込み、ゲットー(スラム街)にも出入りし、人との関係、まちとの関係を育んでいった。自らがオープンになることの大事さを感じさせられた。
最後の全員演奏では、各々がそれぞれ異なる楽器でリズムに合わせて音を奏で、教室に心地よいグルーヴが生まれた。即興でもここまでできる。リズムを生み出す楽しさを、身をもって感じることができた。ガンボ(ごった煮)文化が魅力的で、危険が多い ニューオリンズ の街中で困ったときは、タクシー会社Unitedへ連絡を!
大事な情報を、最後に付け加えておきます。次回は、津軽三味線奏者の寂空さんをゲストにお招きし、”じょんがら節”に代表される津軽民謡の魅力を学びます。日本のリズムも楽しみですね。
[講義データ]
地球リズム学
木曜日
19:30 – 21:00
11/17, 11/24, 12/1, 12/8, 12/15(全5回)
【単発聴講制度 適用講義】
本講義は全5回のうちお好きな回の聴講が可能です 聴講料:10,000円/回(当日現金払い)
こちらの聴講申込フォームからお申込下さい