講義レポート

質問学」キュレーターの岡島です。この講義では、質問をする相手の本音に迫るプロセスを自分なりに構築できるようになるための講義です。ゲストをお招きし、質問力を試す機会も用意されています。2期第2回目は、(株)アースホールディングス 広報PR、杉田麻生子さんにお越し頂き、のキャリアの転機について皆で質問しました。受講生の市山志保さんが杉田さんの魅力を「私のキャリアの転機」という記事にまとめてくれました。

質問学

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【私のキャリアの転機】

人との出会いを大切に、やがて訪れるチャンスを活かす

全国に200店舗以上を展開する美容室「EARTH」。コンビニの数よりも多いと言われる美容室業界にあって、EARTHは平成元年の創業以来急成長を続けており、いまや多くの人の知るところとなっている。今回は、その広報・PR担当として活躍する杉田麻生子さんに、ご自身のキャリアについて話を聞いた。

「もともと広報の仕事を目指していたわけではないんです。」広報は、企業が行う良い活動をメディア等を通じて表に出し、社会からの評価につなげていくという役割を担っている。EARTHの場合、美容室のサービスやグッズについて良い評判を醸成し、人々に知ってもらい、来店につなげるという役割だ。華々しく見られがちな職業なため人気職種の一つだが、杉田さんはそこを目指していたわけではなかった。

初めて就いた仕事は、ソニー関連会社での海外赴任者の引っ越し担当。地味な仕事だが、そこで海外赴任者のニーズを察知、日本の物を海外でも購入できるよう海外向け雑誌通販事業を立ち上げる。「思いついたらすぐ実行するタイプなんです」という杉田さん。その言葉を裏付けるように、その後外資系企業に転職。秘書業務に携わる中でその働きが周囲の目にとまり、イベント企画等にも携わるようになる。「言われた仕事はどんなものでも、‘良いですよ’と言って引き受けます。」任された仕事と真摯に向き合い、結果を残すことで次の扉が開かれる。彼女の仕事ぶりからそんなイメージを抱く。

「EARTHに入ったのは偶然の流れでした。知人を介して社長と知り合い、ロンドン出店のために英語を話せる人材が欲しいということで、秘書として入社しました」秘書として社長をサポートする中で、対外的にもっとEARTHを発信していく広報・PRの必要性が社内で議論されるようになる。そこで白羽の矢が立ったのが、杉田さんだった。経験のない職種だったため当初は戸惑いもあったが、それまでに培われた経験と、何より、任された仕事と真摯に向き合う姿勢で、EARTHの知名度アップに大きく貢献する働きを見せている

現在は、取材対応や広告企画、店舗管理などにも携わっている。自身も店舗に出向き、「お客様と会話する際は、天気の話なんかじゃなくてその人の髪質とか役に立つ情報を持ち出す方がいい」等、顧客目線の細かいアドバイスも行う。「自然な流れでここまで来ましたが、今の広報の仕事は、これまで経験してきたものの集大成だと思います。過去のどんな経験も、今につながっていると実感しています。これまで培ったものは・・・‘忍耐ですかね’」

小柄だが、よく通る声で明るくパワフルに笑う杉田さんを見ていると、天性の広報の才があるように見える。しかし、「忍耐」という言葉が象徴するように、その背後には流れてくるチャンスを活かすために積み重ねた日々の努力がある。そして、その努力を認めてくれる人との出会い、素質を見出してくれる人との出会いが、今の杉田さんを形作っているのだと感じた。

杉田麻生子さん (株)アースホールディングス 広報PR
ロンドン留学を経て帰国後、通訳・ナレーションなどを経験。1998年、(株)ソニーの関連会社に入社、海外向け雑誌通販などを担当した後、外資企業で秘書業務およびイベント企画や運営に携わる。2006年9月、美容室EARTHの事業展開を行う(株)アースホールディングスに社長秘書として入社したのち、広報担当に。ロンドン支店の出店やトリミングサロンの企画立ち上げなど、手がける業務は幅広い。どんなにクセの強い相手でもなついてしまう「猛獣使い」の異名の持ち主。


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