講義レポート

同じ過ちを繰り返さない世の中を作るために

「日本国憲法ラボ」講義レポート

こんにちは、「日本国憲法ラボ」キュレーターの竹村まりこです。

日本の憲法について多様な視点で考える日本国憲法ラボ。第3回は、憲法9条について研究しているノルウェー人のグンナール・レークビックさんをゲストにお迎えし、グローバルな視点から日本国憲法について考えました。

グンナールさんは、学部生時代、日本文化を勉強している時に、戦争を放棄している日本の憲法のユニークさ惹かれたことがきっかけで、大学院で憲法9条について研究することにしたそうです。

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講義は、まず、憲法9条が持つ役割を考えるところからスタート。憲法9条は、アジア諸国に対して、二度と侵略行為は行わないことを保証していたり、日本が軍事力に訴えることはない、と他国に信頼感を与えていたり。そして、憲法9条は、平和構築のための最大の武器であるとか。憲法9条は、歴史的にも、外交的にも、重要な役割を担っているんですね。

そして、後半では、同じ敗戦国ドイツと日本の憲法を比較しました。憲法9条の解釈においてよく議論されるのが、「集団的自衛権」の行使の可否。ドイツでは、憲法で集団的自衛権の行使を認めています。ドイツの場合、1950年には、現在のEUの前身である地域共同体に加盟し、それ以来、外交は、主に多国間交渉で進められてきたこともあり、”集団的に”ヨーロッパを守るという意識が強いです。

また、ドイツには、1968年ごろ、「68年世代」といって、自分たちの親に、ナチ時代のドイツについて聞く、という運動がありました。そのことによって、タブー視されていたナチス・ドイツについて、積極的に国民が語るようになり、同じことを繰り返さない世の中を作るためにはどうすればいいか、考える文化が生まれました。

日本とドイツで異なることはたくさんあり、同じ敗戦国でもこんなにも変わるんだ!という発見が多かったです。

少しアカデミックなことに触れながら、グローバルな視点で日本の憲法について考えた第3回の講義。憲法9条がいかにユニークかを考えるだけでなく、日本という国の姿を客観的にみることができました。



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