講義レポート

憲法を知ることは、私たちの生活のルーツを知ること

「日本国憲法ラボ」講義レポート

こんにちは、「日本国憲法ラボ」キュレーターの竹村まりこです。

日本国憲法ラボ」第1回目の講義。まずは、年代や立場が様々な7名で憲法について共有するところからスタート。「憲法について考えるのなんて、中学生以来」なんて声もあれば、「憲法を読んだことがある」なんて声も。

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第1回目のゲスト講師は、歴史や海外の文化に詳しい宗教考古学者の小出一冨さん。今の日本の憲法を考え始めるにあたり、日本人という民族性や歴史の観点から見てみること、また世界の歴史や情勢の流れの中で捉えてみることなど、まずは思考の枠を広げます。自己紹介では、サンスクリット語も交えながら、「憲法」ということばの起源についてお話をしてくれました。

小出さんのトークは、現行憲法の生い立ちや、昔の日本、海外との関係など、多岐に渡り、受講生メンバーも積極的に質問をしたりして、初回から白熱した議論が巻き起こりました。

憲法は押し付けられたもの」というイメージを私たちは持ちがちですが、果たして本当に「押し付け」なのでしょうか?終戦時、日本の占領統治方法をめぐってGHQと極東委員会(ソ連、オーストラリアなどからなる)が対立していたのですが、極東委員会は、天皇制廃止と天皇の戦犯を要求していました。結果的に、GHQが日本を統治することになったのですが、もし日本が極東委員会下におかれたら、日本の憲法はまったく違うものになっていたかもしれませんね。また、草案の段階で、民間グループが作った憲法改正案をGHQが推したものの、日本政府が拒否したとか。

その他、多様な話題が繰り広げられた講義。たとえば、明治時代が民主的だったとか、江戸時代、平田篤胤が全国のネットワークを活かして神道を含めた国学という学問を伝えたことにより、多くの人が神学知識に触れることができた、とか。

また、第一次世界大戦後に制定されたワイマール憲法は当時最も民主的憲法であり、その民主的な枠組みを利用して独裁主義ができあがったとか。歴史的な事象の多くが憲法につながっているんですね。もしかしたら、憲法を知ることは、私たちの生活のルーツを知ることなのかもしれませんね。

これまでにない視点で日本国憲法にアプローチした第1回目。多角的な視点で考えるという、「日本国憲法ラボ」らしいスタートを切ることができました。

※日本国憲法の条文を知りたい方はこちらをどうぞ。
国立国会図書館│日本国憲法



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