講義レポート

一度の人生、流れに乗ってみるのもまた醍醐味

「ベストセラー企画会議」講義レポート

ミリオンセラー編集者と著者デビューを目指す、年2回だけの実践講義「ベストセラー企画会議」。昨年開催した1期生からは早くも著者デビューを果たした女性がいます。第2期のひとコマでは、その著者である宮本早織さんをゲストに、出版までのストーリーをセキララに公開。その様子を、受講生カゲヤマケンタロウさんがレポートしてくださいました。

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美肌温泉』(アスペクト刊)を上梓された「ベストセラー企画会議」第1期生の宮本早織さんをゲスト講師にお招きし、企画から出版へ至った体験談をうかがいました。

「私が温泉でまず見るのは宿や施設の雰囲気ではなく、成分表」ときっぱり言い切る宮本さんは、美肌効果のある「泉質データ」に基づいた温泉の新たな選び方を提唱し、日本の温泉の良さをもっと知って欲しい、という切なる思いから執筆に臨んだそうです。

いっぽう、出版プロデュースを務めた教授の中吉さんは「温泉アナリスト」という肩書きにこめた強い思い入れを語ってくれました。「宮本さんは、湯船を見ただけで『○○温泉の△△の湯』と当てられるというスゴい人。だから“コンシェルジュ”や“ガイド”といったソフトな呼び名よりも”アナリスト”がふさわしいと思ったんです」「温泉を紹介する本はたくさんあるけれど、多くはシニア層向けや観光ガイドを兼ねたもの。だから、“温泉の天然エステ効果”にこだわるという本書の企画は、女性読者をターゲットに『美容本と温泉ガイド本の中間』を狙うという独自性がありました」

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出版社に企画書が通ったのは去年の7月。打合せを重ねたのちに10月初旬から執筆をスタートした宮本さんは、約3ヶ月かけて書き上げたそうです。「勤め先の旅行雑誌社の通常業務を行いながら時間をやりくりして、朝5時に起きて出社前の2時間、昼休みのドトール、帰宅後の2時間という感じで執筆時間を作っていました」「スケジュール調整しながら週末ごとに現地取材を重ねて全国を飛び回り、取材帰りの電車の中で執筆していました」「雑誌『美ST』などを見ながら美容ワードを勉強して、100湯の温泉を書き分けるボキャブラリー選びには四苦八苦しました」「やっぱりいちばん辛かったのは、書き上げた原稿にたいするダメ出しでしたね」と執筆中の苦労話を披露していただきました。

bihadaonsen◎「美肌温泉」(宮本早織・著/アスペクト刊)

「本は書いて終わりではなく、出来上がって刊行してからが本当のスタート」と話す宮本さん。「執筆や編集作業のあいだは編集者さんや取材先の皆さんに助けられ、本が出来てからはさらにいろいろな人が関わって盛り上げてくれる。まさに、自分ひとりではなし得なかった。その尽力に『報いなきゃ』と自然に思いますね」

「本が1冊でも多く売れるように、自分に出来ることは何でもやりたい」との思いから、自らメディア関係者にアプローチするなど積極的にプロモーション活動を行い、ラジオ出演や講座のオファーなどが次々と決まっているそうです。

受講当時は「まさか自分が本を出すとは夢にも思っていなかった」宮本さんが、初の出版というプロセスのなかで教授の中吉さんから一貫して問われたのは、出版を通して「公人になる覚悟」でした。ちょうど期を一にして、勤め先経由で舞い込むようになった個人名義の仕事。「一度の人生、流れに乗ってみるのもまた醍醐味。会社に勤めながら著者になるというのは誰にでもできることではない」と中吉さんに背中を押されたのが、自分の意識が変わった瞬間だったと宮本さんは振り返ります。

昨年2月受講から約1年、幾多のドラマをくぐり抜けてようやく産声を上げた『美肌温泉』。今後の活躍が期待される宮本さんのお話に、受講生たちは真剣な眼差しで聴き入っていました。

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