講義レポート

デザイン思考で考える盛り付けの魅力

おいしい盛り付け学【オンライン】第11期 講義レポート

デザイン思考で考える盛り付けの魅力

目から鱗、自由な発想で学ぶオンライン講義

おいしい盛り付け学、キュレーターの有山です。今回の講義レポートは初のオンライン開催となった「おいしい盛り付け学」についてお話したいと思います。おいしい盛り付け学は、2015年にスタートした講義で、紙の上やお皿の上で食材を使って手を動かしながらデザインを学ぶ講義として進めてきました。

おいしいしい盛り付け学とは、料理家やフードコーディネーターなど食の専門家の視点とは異なるデザイン思考の盛り付けを学ぶ講義です。グラフィック出身の「盛り付けデザイナー」という肩書きを持つ教授から、色彩や構図配置、自由な発想のコーディネートを学んでいきます。食の盛り付けは、誰もが意識的かどうかに限らず、日々目にする食風景の一部です。これまで目にしてきた食風景を当たり前(こうあるべき)ととらえず、「何を伝えたいのか」「誰のためなのか」「どんなシチュエーションなのか」によって、使う色や配置を変化させデザインをするのが特徴です。

これまでは表参道 COMMUNE キャンパスで講義をしていましたが、突如訪れたコロナ禍で講義のフルオンライン化に踏み切りました。講義のゴールは、オフライン/オンラインで大きく変わることはありませんでしたが、フォーカスする箇所を考え、講義内容を改めて再設計することにしました。これまでの講義は、盛り付けデザインのインスタレーション体験を重視した流れで進めていましたが、オンラインではより盛り付けデザインをアウトプット、盛り付けデザインを残すことに拘るようになりました。

講義は全5回で構成され、1回目2回目は、盛り付けデザイン概念やフロー、色の基礎知識について座学形式で学んでいきます。3回目4回目はテーマに沿った事前課題があり、翌週までに盛り付けを作って撮影し提出してもらいます。またオンライン化で新たに追加したのが、盛り付けの撮影に関する講義です。盛り付けデザインでは写真に残すということも重要で、その盛り付けに対しての客観的視点でのアドバイスが、自分のスタイルの再認識や癖の気づきなど学びになるからです。

SNSやスマートフォン機能の充実で、誰もが手軽に撮影した写真を発信できるようになりましたが、光の当て方やどの構図を写真に切り取り残すのかは、知識と準備で格段によくなるものです。さらに言えば、撮影の技術も含む表現方法が、盛り付けデザイン要素のひとつとして新たな表現の武器になるのです。

講義では、盛り付けに対してのよい点や気づきをフィードバックしていきます。ここで重要なのは、自分へのフィードバックだけでなく、他の受講生の作品に対する気づきや発見を得て、そこに対する改善案を一緒に学べること。これまで目にしてきたの食風景はそれぞれ異なるので、盛り付けやスタイリングには千差万別の個性があります。そんな自分にはないセンスやスタイルを発見し、そのフィードバックを聞くことも実践的な学びに繋がっていきます。

オンライン講義を受講頂いた方からはこんな声も頂いています。

”盛り付けデザインを通して、なんでもない日常の瞬間も少しの手間を加えるだけでとっても素敵な思い出にすることができることを知りました”

”盛り付けデザインの自由な発想に刺激を受けました。コンセプトを明確にし、そこから組み立てていく過程が面白かったです”

”料理のバランスはもちろん、周りの小物やグラス、グラスの中に何を入れるか等、今後も季節を感じながら自由に、楽しく、盛り付けを楽しんでいこうと思います”

“フードコーディネートとは違う、デザインならではの視点や工夫に、毎回発見がたくさんありました”

”今まで、料理の本の写真はプロだからうまいのだと思っていましたが、少し気をつけるだけで上手に撮れるのだということが分かりました”

デザイン思考の盛り付けを学ぶオンライン講義はこれからも内容を改善していきます。オンライン講義に変わったことで、日本全国、海外からも受講生が広がり新たな可能性を感じています。盛り付けデザインの魅力を多くの方に実感していただきたいと思っています。

TEXT : おいしい盛り付け学 キュレーター 有山百恵



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