講義レポート

描くたびに自分の心が見えてくる

スケッチジャーナル学 教授コラム

私は「スケッチジャーナル」の楽しさを伝える活動をしています。日常や旅の思い出を、手書きの文字と絵で表現する、大人版の絵日記のようなジャンルです。作品を作り、創作方法をまとめ、興味のある人たちにワークショップなどを行ってきました。
2018年からは、自由大学で「スケッチジャーナル学」の講義を行う機会を得ました。スケッチを続けてきたおかげで、活動の広がりを感じています。スケッチ人生を振り返ってみると、だれかと比較しないで、自分が楽しむことを優先してきてとてもよかったと思います。スケッチを描くことが、人生に与える影響について考えてみました。

スケッチが生む「ワクワクする心の芽生え」
絵を描いている時間は、不思議と雑念が消えていきます。まずはドローイングで線を描き、 色を塗ると楽しい気分になってくる。モチーフや色の選び方によって、自分の好きなこと、そうでないことに気づく。このように自分自身を客観視できるようになりました。

楽しい思い出が起動する「記憶の再食」 
完成した作品は、出来上がったら何度も見返します。うまく描けなくても気にしません。複製不可能な、その時の自分の線。これを味わいます。時間を経て、また見返すとさらに良いですね。そのスケッチに友達がいたならば、一緒に過ごした時間を思い浮かべます。

スケッチ作品がつなぐ「心のシェア」
スケッチ作品は、気が向いたときにSNSに公開しています。知らない人に見てもらって、ときどきコメントが来るのも面白い。スケッチを通じて知り合った友人も多く、ノート会としてときどき集まり、同好の思いを温める。一緒にスケッチをして、創作を共有する良さを感じています。

スケッチを描くことで生まれる、自分の心の穏やかな時間。小学生時代を思い出して、ラクガキをした記憶を蘇らせるだけで大丈夫です。もう一度、あの時のように、鉛筆を手に持って描いてみましょう。

(Words:   ハヤテノコウジ)

 



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