旅をして現地の人たちとしっかりとコミュニケーションを取り、お互いに深く知り合うと日本の当たり前とされている「働きかた」の常識が、世界では全然当たり前ではないということが分かり、自分の人生の大きな割合を占める「働く」ということに関して視野が広がるのを感じる。
クリエイティブ都市として名前が挙がることの多い北欧諸国、中でもノルウェーの首都オスロはここ2年ほど定点観測を続けている場所の一つとなっている。そこで出会った「働きかた」のエピソードをお伝えします。

Fuglenに代表されるように、北欧のコーヒー文化を牽引しているノルウェー

ヒップなエリアのグリーネルロッカ地区。アートも日常に溶け込む。

古いものを受け継いでいく文化は、ノルウェーでも同じで、多くのヴィンテージショップが都市の中に点在している。
北欧のワークスタイルが世界、特に日本で注目を浴びて久しい。しかしその根底にあるユニークな部分までは、あまり話題になることがないので少し残念なところだ。
昔から美味しいレストランを知りたければ「食」にうるさいヴィンテージショップのオーナーに聞くのがいいといわれるが、最近では新しい働きかたやビジネスの発想のヒントを得たければ、ヴィンテージショップに行けといえるだろう。
ノルウェーの首都オスロの郊外にある週末だけアポイント制でオープンしているwarehouseのワークスタイルがとてもユニークだ。見つけにくい洞窟の隙間を入り込むようなことをイメージしたこのwarehouseは”cave”と親しみを込めて呼ばれている。
この”cave”にはオスロでも人気のヴィンテージショップだったtidsrommetとMidcenturyscandinavia、Godagersという3つのヴィンテージショップのオーナーたちが一つのwarehouseをシェアしている。それぞれの扱う得意なヴィンテージの商品ジャンルを持ち寄り組み合わせられたwarehouseの空間には、店舗内装やオフィスの慎重などを予定しているお客がひっきりなしにやって来る。ただそれぞれのヴィンテージを同じ空間で販売するだけでなく、最近では、SALTというアートプロジェクトの一環で、一軒の小屋を1950年代のノルウェー北部の漁村の家をテーマにした内装ディスプレイをチーム”cave”として手がけたりもしているのだ。
シェアをすることで家賃が半分になるだけでなく、お互いが持っている個性を用いて、自分一人では創り出すことができない表現が新たな価値を生み出している。これこそが北欧の人たちらしいワークスタイルなのだ。