東京のファッションウィークのために来日していたノルウェーのベルゲン発のブランドNorwegian RainのT-Michaelさんをゲストに迎え講義をおこないました。その模様を2期卒業生の中西歩さんがレポートしてくれました。
息をのむようなスーツ姿に優しい瞳。
丁寧に言葉を選び、つないで、私たちに色々なお話を聞かせてくれました。
■レインコートとストーリー
マイケルさんは現在、ノルウェー第2の都市ベルゲンに住み、「Norwegian Rain」はそこで生まれました。
みんなこの街出身であることを誇りに思っていて、出身地を聞かれるとノルウェーではなく、ベルゲンと答えるんだよと教えてくれます。
ベルゲンは年の3分の2が雨で、雨との接し方を良く知っている街。その地でレインコートを作り始めたマイケルさん。とは言っても私たちの知るレインコートではありません。作りたかったのはレインコートに見えないレインコートです。
ノルウェーに住む前、イギリスでオーダーメイドのテイラーとして既に活躍していたマイケルさん。
その技術を生かし、見た目は完璧なフォルムの、あまりに美しいレインコートが、100パーセントウォータープルーフで通気性も備えるものとして生まれました。しかも素材はリサイクルポリエステル。こだわりの素材に選ばれたのは日本の素材だったと教えてくれます。
そして、商品を今度はどうやって売るかという話になりました。
印象的だったのは、大切なのは「ストーリー」だと言っていたことです。作ったものにどのようなストーリーがあるのか。なぜこれを人々は買うべきなのかという理由をストーリーで考える。
マイケルさんの場合だと雨が多い街で作ったレインコートというストーリーが一番大事な部分なのです。
確かに、たくさん商品がある中で、それがどのように作られたかを知ることはなかなかありません。
どんな思いがあるのか、何がきっかけで作られたかを知ると、共鳴し、ぐっと心が動かされます。
■シンプルとノイズ
なぜイギリスからノルウェーに移ったのか。きっかけは子供だと言います。
子供たちが自分をどう見ているか。そこから生き方を変えるようになり、テイラーの仕事により集中していくようになった。
人生をシンプルにしたらパーティーや良い物などは「ノイズ」になっていったと伝えます。
マイケルさんのお話の中で、何度となく出てきた「シンプル」と「ノイズ」という言葉。
自分の人生にもあてはめてみると、何か少し整理される気がします。
■みんな特別じゃないという土壌
ノルウェーは、みんな同じで、誰も特別ではないという考えの国。生活が安定しているため、チャレンジ精神は起きずらいという一面もありますが、貧しい時代を経験しているノルウェーでは、日々の生活を良くするために物は作られ、デザインされると言います。
何が大切かが分かりやすい。ノルウェーの生活についてそう言います。
マイケルさんの生き方、ノルウェーで作りたいもの。「Norwegian Rain」は彼の人生のタイミングとリンクして自然と誕生したのかもしれません。
■Michaelさんから見た日本について
指揮者がいなくても調律が取れるオーケストラのようだと言っていたのが印象的でした。マイケルさんの視点から日本の美しさを知った瞬間でした。日本には日本の良さがあって、北欧には北欧の良さがある。
自分がどこで何をベースにして生活するかによりますが、より良く生きるヒントがお互いにあるのではないかと思いました。
北欧の人の日々を大切にする生き方は、日本で忙しく生活しているとつい忘れてしまう、忘れているのが普通になってしまう。でも忘れないようにと、する事はできるかもしれません。
後日、ポップアップストアに足を運び、レインコートを見てきました。
美しく、凛として、堂々としたコートは異彩を放っていました。
雨の日はぬれるからロングコートは避けるのに、そこには長いコートが。
濡れないようにと雨仕様の格好で出かけるというのに、そこには雨の日も誇らしく、自分のスタイルを楽しむコートがあったのです。
(text : 第2期 中西 歩)