講義レポート

なにがどうなってクリエイティブなのさ

「CREATIVE CAMP in ポートランド 2014」参加者レポート

今年の夏で3回目を迎える「Creative Camp in ポートランド」。昨年は43名の参加があり、キャンプ受けた刺激を、帰国後に花開かせている人たちがいます。今回ご紹介するレポートを書いてくれた佐藤由記さんは現状、仕事ではほとんど使うことのない右脳をフル稼働して、これからの生き方をより柔軟に考えられるようになりたい、という動機でキャンプに参加されました。何年後かには、2枚目の名刺を持って何か新しいことをはじめられていれば最高、という彼女はどんなことを体験したのでしょう?

なにがどうなってクリエイティブなのさ
なになに? あの人もこの人もポートランドに注目してる。
でも誰も一言で表現してくれない。

…「確かめなきゃ」という思いで、あえて雑誌やガイドブックからの事前情報を叩き込まずに、ポートランドに降り立ったわたし。見るもの、聞こえること、感じることに素直になろうと、「右脳を鍛えるプロジェクト」と称してやってきた。いつもは左脳ばかりを使って仕事をしているので、この時ばかりは右脳をフル活用してやろうという魂胆だった。人も、街も、ご飯も、自然体だけどオリジナル。普通に見えて普通以上。何がポートランドをそうさせているのだろうと不思議だった。アートワークづくりやクリエイティブシティラボでの活動、一緒にいったメンバーとの対話、そして、街の人との出会いを通じて出た答えは、「Creative city」 = 「ほどよいコントラストが共存する街」ということ。「クリエイティブシティってなんぞや」っていう問いに対してひとつの答えが見つからないのは、ポートランドがある意味「矛盾だらけ」だからなのではないかと。そのコントラストを12の文章に。

goodmood

GOODMODというビンテージやオリジナル家具を扱うオフィス兼店舗で

1) Local first! …but not exclusive
2) Historical …but new
3) Economical …but not just cheap
4) Colorful …but not too noisy
5) Free …but “connection” is also there
6) Warm …but cool!
7) Approachable …but not shallow
8) Public …but private
9) Entertaining …but not too commercial
10) Diverse …but supportive
11) Individual …but collaborative
12) Easygoing …but edgy

英語だと人によって単語の意味の捉え方が違ってくるかもしれない。ポートランド的発想ではそんな違いを楽しむのもいい。とはいえ、せっかくなので、わたし自身がどういうことを感じてまとめたかも日本語版で表現してみると…

1) 地元を大事にしながらも排他的じゃない器の大きさ
2) 古いモノへの愛と新しいものへの好奇心が共存
3) エコなのに安っぽくない
4) カラフルなのにうるさくない
5) 自由なのに”つながり“があり、自由だからこそ生まれる”つながり“もある
6) あたたかいのに…クール!
7) 親しみやすいのに深みもある
8) 個と集合体が邪魔をせずお互いをリスペクトしている
9) もてなし上手だけど商業的すぎないバランス感覚
10) 多様性に富んでいるけどいい具合に支え合っている
11) 個人主義で好き勝手やっているように見えてコラボがお得意
12) 肩の力が抜けているのにエッジも効かせちゃってる

pnca

PNCAのプリントスタジオで黙々と作業中

この街全体が織りなすコントラストにハッとする瞬間が何度もあり、思考が偏りがちな私の脳が柔らかくなって再生した旅だった。右脳&左脳にこだわっていた私も、旅が終わるころにはカテゴライズすること自体をやめてみようと考えるようになった。偏りすぎない絶妙なバランス感覚が大切なのだと。その「ちょうど良さ」を引き出すには、考えすぎたり力みすぎたり真面目過ぎたりするのは良くない。少し自分を緩めてみて深呼吸するスペースを与えてあげよう。そしたらきっと、「ちょうどいいな」と思える生き方が見つかる。よし、息を吹き返そう。

nike

NIKEは本社を“キャンパス”と呼び、本当の大学みたいでした



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