講義レポート

だって…、ポートランドだもの

「CREATIVE CAMP in ポートランド 2014」参加者レポート

今年の夏で3回目を迎える「Creative Camp in ポートランド」。昨年は43名の参加があり、キャンプ受けた刺激を、帰国後に花開かせている人たちがいます。今回ご紹介するレポートを書いてくれた吉田亘さんは、ポートランド滞在中に様々なカフェに趣き、今年4月に池尻大橋で「私立珈琲小学校」をオープンさせました。美味しいコーヒーと共に、早速いろいろな人の出会いの場として賑わっています。それでは、物語のような吉田さんのレポートをお楽しみ下さい。

「だって私は98歳だもの」…

これは小学校1年生の教科書に載っている「だってだってのおばあさん」というお話のおばあさんの台詞。おばあさんは猫に釣りに誘われても「だって私は98歳だもの」ケーキを作るのが上手な理由も、「だって私は98歳だもの」

99歳の誕生日、猫がケーキのろうそくを川に落としてしまい、5本のろうそくでお誕生日のお祝いをすることになったおばあちゃん。その次の日から五歳のおばあちゃんになります。川をびょんと飛び越えたり、魚釣りをしたり!「だって私は5歳だもの」といって、猫と一緒にいろんなことにチャレンジするおばあちゃんの姿、思わず笑みがこぼれます。

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Stumptown Coffee Roastersを訪問し、コーヒー豆についてのレクチャーを受けました

僕の中には「だってだって…」がたくさんあったような気がします。「だって、自分には時間もお金もないし…」「だって今の自分の立場があるし…」「だってそれは現実的じゃないし…」「だってそれは効率悪いし…」

「だって…」が山のように積み上がり、したいことを諦めたことがたくさんありました。
そんな自分にとって「ろうそくを落として、5歳になった」のが、「クリエイティブキャンプ・イン・ポートランド」です。ポートランドには僕を「5歳」にしてくれる3つの大きな出会いがありました。

一つ目の出会いは、ポートランドに暮らす人たちとの出会いです。道で地図を広げていると「どこに行きたいの?」とおばあさんが話しかけてくれます。バスの行き先について日本語で話していたのに「君たち、乗るバスを間違ってるよ!」とおじいさんが教えてくれます。「TRUE PORTLAND」に掲載されている写真を見せると家からオーナーが来てくれて握手してくれる…なんてこともありました。

コーヒーショップで「コーヒーが好きです」と伝えると淹れ方から、日本の自分のお気に入りの店まで教えてくれる人もいました。誰かの笑顔のために、進んで自分を開いていく…ポートランドで出会った人たちから、強くそのことを感じました。

二つ目は、美味しい食べ物との出会いです。作り手の顔が見える安心・安全な食材を、目の前で調理してくれるお店が多くあります。いま思い出しても頬が緩む…美味しいものは人を幸せにしてくれます。「食の大切さ」は誰もがわかっているはずなのに、経済活動が最優先になってしまった事件を目にすることが増えました。「食べること、それは人生を楽しむこと」ポートランドの人たちは、肩の力を抜いて、当たり前に「美味しい」を楽しんでいるみたいです。

また、美味しい食べ物を出すお店は、エントランスから、トイレまで、その世界観がきっちり表現されているのには驚きです。暮らしたくなるトイレ⁉︎もあります。

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キャンプの最終日にはPNCAから修了証が手渡されます

三つ目は、クリエイティブキャンプの仲間との出会いです。以前、自由大学の「クリエイティブ都市学」に参加した時、こんな言葉を教えてもらいました。「Find people who made you better…自分をよくしてくれる仲間と出会いなさいそして、その仲間と出会うために「自分の臭覚を信じなさい」とも教えてもらいました。このキャンプはお友達づくりの場ではありません。でも、クリエイティブな生き方を探している素敵な人とは出会えます。

「だってだってのおばあさん」は最後にこんな台詞があります。「私、どうして前から5歳にならなかったのかしら?」とおばあさん。「でもおばあちゃん、5歳でもケーキつくるの、じょうず?」という心配そうな猫。いまの自分を受け止めて、「五歳」にしてくれる風が、ポートランドには吹いています。



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