講義レポート

パンスターズ彗星観測レポート

「星空コンシェルジュ入門」講義レポート

こんにちは。星空コンシェルジュ入門、キュレーターの小酒です。3月16日、星空コンシェルジュでは、今年の天体現象の目玉のひとつであるパンスターズ彗星を見に、三浦半島への観測ツアーを敢行しました。星空との出会いは一期一会。お目当ての星が見られるかはその時になってみないとわからない。そんなドキドキワクワクが天体観測の面白いところです。この講義では何度か星空観測の課外授業をやっていますが、今回もそんなドキドキを実感する旅になりました。

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ついに現れた彗星

3月10日、待ちに待ったパンスターズ彗星がいよいよ姿を現しました。予報では一番明るいときには-3等級になるとのこと。それが当たれば肉眼でも観察できることになります。ところがパンスターズ彗星が現れたというニュースを聞いてから、毎日空を見上げるものの自分の目では確認できません。「どうやら予報より暗いらしい。16日には見れるだろうか…。」とにかく当日は晴れてくれることが第一条件です。祈るような気持ちで16日の朝、カーテンを開けると空は快晴。あとはこのまま夕方まで晴れが続くことを祈るばかり。

そして夕方。観測地となる城ケ島に到着。富士山の隣に沈む美しい夕日を眺めながら、彗星が現れる時間を待ちます。18時。彗星が見えるまであと少し。丸山教授が双眼鏡を三脚にセット。見え具合をみんなで確認する。少しずつ星が見えてきて、あれは木星かな?シリウスかな?と授業で習ったことを復習。授業を受ける前は、どこにどんな星があるのか知らなかった卒業生も、どの方角に明るい星が見えるのか、毎日チェックすることが日課になっている様子。少しずつ空に増えてくる星を数えながら彗星を待つ。

見つからない彗星

空を見上げながらも、気になるのはやっぱり彗星。そろそろ見えてもいい時間。しかし丸山さんが一生懸命探しても、なかなか姿が見えない。周囲で観測している他の人たちからも見つかったという声は聞こえない。「もう今日は無理かも…。やっぱり予想より暗すぎて見えないんだ…。」という思いがよぎり始めたとき、「見つけた!」という丸山さんの歓声。肉眼ではとうてい見ることはできないけれど、双眼鏡でようやくその姿をとらえることができました。

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宇宙を感じる体験

ところが…。交代で双眼鏡を覗くも、その姿は想像したよりとてもぼんやりしていて、自分が本当に彗星が見えているのか、なんとも心もとない。彗星というともっと星の尾が伸びて見えるものだと思ったけれど、それは想像よりかなり控えめな尾っぽでした。それでもこれは本で見ているのではない、自分の本当の体験。写真のようにクリアでも、大きくもなくても、自分の目で彗星を見た経験が心に刻まれる。遠い宇宙にある彗星の様子がうっすらとでも双眼鏡から見えるのは、とてもワクワクするものです。それは宇宙の中に存在している自分を実感する瞬間だからかもしれません。

彗星を見た後は、空ももう真っ暗。そこには東京の何倍もの星がありました。肉眼の世界はもちろん、望遠鏡で見るとさらに多くの星が輝いています。スバルやオリオン大星雲を楽しみ、星空に別れを告げました。

ちなみに、東京から1時間半で行ける三浦半島。今回の旅ではマグロと温泉も満喫。星空を楽しみながら、地方のよいところを発見できる。それも星空観測の魅力のひとつ。次の大イベントは8月のしし座流星群。次の観測スポットはどこなのか。地方の名物との出会いもまた楽しみなのです。



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