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今回は「未来をつくりだすための笑顔」です。


「決して笑顔を見せてはいけません」
被災地ボランティア団体の多くでは、参加者にこのように指示されることが多いようです。被災者に笑顔を見せるのは失礼なことだと。
自由大学の仙台若林キャンパスでは、敷地の所有者である遠藤さんと一緒に笑顔で学んでいます。被災されたまわりの農家さんもゲスト講師にお呼びしながらやってます。
どのようにしたら農地が、若林区が再生するのか。現地の農家さんとさまざまな可能性を考え、実験しています。「この方法なら、今年からレタスが出荷できるかもしれない」と未来をみて、歩いています。
みんなでカレーをつくって食べたりします。おいしいものをみんなで囲むとき、そこには笑顔があります。明るい未来をつくりだそうとするとき、そこには笑顔が必要です。


先日8月20日、農地再生作業中に人骨が掘り起こされました。津波で土の中に埋まってしまって、5ヶ月間発見されずにいたようです。すぐに警察を呼び、丁寧に骨を集め、透明な袋につめていきました。
この地域で、1人だけ10歳の子どもの身元がまだ分かっていないということで「その子だったらいいね」と警察の方が言っていました。
現場に居合わせたぼくたちは、津波の悲惨さと、その子のあるはずだった未来に思いをはせ黙祷、ご冥福をお祈りし、また元気に作業に戻りました。
「岳」という山岳救助が舞台の漫画があります。
三歩という救助隊の青年が主人公です。
その中で、三歩が死者を背負って山を降り、ふもとに着いたとき「ふぅー。腹減った~」と口に出してしまう場面があります。人間なんだからおなかが減って当たり前。頑張って山を降りたんだから失礼なことじゃないよ、という話でした。
ぼくたちも、骨を掘り起こした後に、おなかが減ってカレーを食べました。
おいしいね、うまくできたね、と笑顔で食べました。
多くのボランティア団体では、被災者に対し、神妙な面持ちで「大変ですね。頑張ってください」と声をかけ、かわいそうな同情のまなざしで接するのをマナーとしていると聞きました。
ぼくは中学生の頃に、身体障害者の方に、同情のまなざしで「大変ですね。頑張ってください」と接したら怒られたことがあります。「俺はもう何年もこの状態で、これが普通だ。別にかわいそうじゃない。かわいそうに、と言われると、みじめになるから普通に接してくれ。同じ人間としてフラットに接してくれ」
恵まれない人として扱わないで欲しいと言うのです。
それ以来、ぼくはどんな状況の人にもフラットに接しています。
いろんな状況、いろんな思想の人がいるので、正解はひとつじゃないはずです。
被災地での笑顔について、あなたはどう思いますか?
【text: 深井次郎/自由大学ディレクター Twitter @fukaijiro


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