コロナ禍のなか、一気に注目が高まっているオンラインセミナーやイベント。時代の流れに乗って、その名も『オンライン・セミナーのうまいやりかた』を出版した高橋龍征さんを囲みトークイベントを実施。オンラインでのライブ配信もおこないました。
「自分の本をつくる方法」「Lecture Planning学」など複数の講義を受講している縁で、深井次郎さん(教授&学長)と対談するイベントとなりました。
受託や主催で年間200件のイベントやセミナーを企画・実施してきた高橋さん。ただ、オンラインでの開講経験はなかったそうです。コロナ禍による外出自粛で、対面でのイベントが実現できなくなってしまいました。そこで思考停止せず、試行錯誤しながらオンラインへの移行を進め、その知見をnoteなどで発信していきました。
立ち上げたオンラインイベントのノウハウや悩みを共有するFacebookページには数千人が参加。オンラインコミュニケーションツールを紹介したnoteの記事もバズりを経験。成功の要因は「最初にやったから」とのこと。
タイミングを掴んだことは、出版を実現した理由でもありました。もともと受講中から「イベントづくりのノウハウを出版したい」と考えていた高橋さんでしたが、すでに多くの本が書店に並んでいるテーマ。その中で「オンライン」という切り口を得るチャンスに巡り合ったのです。知人に、出版元となるクロスメディア・パブリッシングの経営者がいたことも後押しになりました。
高橋さんの価値観は「量は質に転じる」。はじめることより継続することが難しいなかで続けるのは、やらなくてはいけないより、楽しく継続するマインドを持つことが大切だと言います。出版も、10年以上蓄積したノウハウや経験によって実現しました。
また、編集者も売れるかどうかは重視します。高橋さんはコミュニティに関するnoteがバズった経験を持っていました。オンラインセミナーに関する社会の関心が高いこと、発信した実績を持つことで売れる見込みが立ったこともプラスに働きました。
しかし、出版が決まっても原稿を完成させることは決して簡単ではありません。他の仕事や用事もありながら2~3ヶ月で書き上げる必要があります。高橋さんはnoteへ書き溜めていた内容があったことも、短期間で原稿を仕上げられたポイントだと言います。
地道な継続とタイミングが噛み合みあった結果の出版。本を出すには、動き続け、書き続けることが大切なようです。
会場に集ったのは、高橋さんが受講した『自分の本をつくる方法』の卒業生たち。出版を実現した先輩へたくさんの質問が出ました。
出版後に振り返って、やっておいたほうがよかったことはありますか?
プロモーションの方法をもっと考えておいた方が良かったですね。初速が重要なので、書評家の方に献本するなど発売日にターゲットを合わせたプロモーション施策を行うべきでした。
今後の目標はありますか?
コミュニティについての本を出したいと思っています。
実施されたイベントでうまくいったこと、いかなかったことは?
一生懸命作っても人が集まらないこともあれば、ノリではじめて突貫で準備したのに大盛況だった企画もあります。タイミングに左右される場合もあります。
ご自身の経験をまとめられた場合、正解か不正解かわからないところもあると思います。本として発表するのは怖くありませんでしたか?言い切るために強さが必要では。
私は実際に数多くのセミナーやイベントを実行してきたので、仮説検証に基づいた正解であるという自信がありました。お客さんの反応を見れば実感できます。自分のロジックに自分で納得感があるんです。
また、読者の設定は「未経験者が必要最低限知るべきこと」と自分が言える範囲に絞りました。
補強が必要な部分はプロの力を借りました。具体的には、自分はしゃべるスキルがあるわけではないので、プロのアナウンサーに話を聞きました。デジタルマーケなど広告宣伝に関する分野もです。自分が専門家だと自信を持てる内容にフォーカスすれば説得力のある内容を書けると思います。
当日の様子はYOUTUBEチャンネルでもご覧いただけます。
<プロフィール>
高橋龍征 (たかはし たつゆき)
WASEDA NEO プロデューサー
conecuri 合同会社 代表社員
情報経営イノベーショ ン専門職大学 客員教授
大手システムインテグレーターの営業、経営企画を経験後、MBAを経て、ソニー、Samsungで事業開発を中心としたキャリアを歩み、スタートアップ共同創業・経営の後、早稲田大学WASEDA NEO プログラム・プロデューサーに就任。2019年は自身主催等含め200講座を企画。コロナ後はオンラインにシフトし、100回のセミナーを実施。2020年、学びとコミュニティを創造するconecuri合同会社を設立。 2020年8月19日に、実践を通じて得た知見をまとめた著書『オンライン・セミナーのうまいやりかた』を出版。
深井次郎(ふかい じろう)
自由大学 学長 /「自分の本をつくる方法」教授
2009年、自由大学創立時より教授、運営として数々の名物講義をキュレーション。学長として学校運営全体を企画している。 https://freedom-univ.com/people/fukai_jiro/
文:むらかみみさと