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正垣克也・文 夫妻|FLY_044

同じタイミングで会社を辞め、日本文化を探求する人生を選んだ夫婦

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今回の卒業生は、自由大学に馴染みの深い、仲良し夫婦の登場です。学生時代からおつきあいを続け結婚、現在30代のおふたりは複数の講義を受講されています。

受講したのち、次のステージに進むため夫婦で仕事を辞め、38日間のアメリカの旅へ出発。アメリカでは、野点(のだて ※野外でお茶を点てる)をしたり、お茶屋さんを巡ったり、「日本文化」を軸にやりたいことに全力な、着物がお似合いのご夫婦にフリユニピープル編集部がインタビューしました。

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正垣克也(しょうがき・かつや)さんの受講歴:「20年履ける靴を育てる」「日本茶、コトはじめ」「お店をはじめるラボ」

Q.自由大学を受講したきっかけは?

克也: もともとファッション関係の仕事をしていたこともあり、洋服や靴に興味があったんです。2013年くらいでしょうか、自由大学が池尻の世田谷ものづくり学校にあった時代ですね。その時たまたまネットで朝日新聞のWEBだったと思いますが、メディアに取り上げられていて「20年履ける靴を育てる」の講義を知ったのがきっかけです。

文: 私は、仕事以外を楽しむサイクルが高まっている時期で、西洋美術や国内旅行に関心があったんです。その時に見つけたのが、「じぶんスタイル世界旅行」でしたね。

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文(あや)さんの受講歴:「じぶんスタイル世界旅行」「アメーバワークスタイル」

Q.受講して印象的だったことはありますか?

克也: 実は「20年履ける靴を育てる」の講義で知り合った仲間が、偶然SNSでシェアしていたお茶会に行ったのがきっかけで、お茶を始めたんです。このお茶教室の先生の影響で、アメリカで野点をしようと思いついたり、「日本茶、コトはじめ」の講義を受講するきっかけにもなりました。そういう意味では自由大学で出会った仲間がきっかけで人生が変わっていますね(笑)。偶然と言われればそうですが、どの行動がどこに結びつくかわからないので、ピンと心が向かうことをやっていくことが本当に大切だと気づきました。

文: 私が受けた「じぶんスタイル世界旅行」と「アメーバワークスタイル」は、両方とも自分を深く掘り下げて、見つめ直す講義でした。ちょっとでも興味があるものは調べたり、会いたい人に会いに行くなど、好きなものを突き詰めていくうちに出会ったのが、お茶でした。今では、お茶を取り巻く日本文化周辺を探求しています。

Q.今年の夏に行かれていた旅先でもお茶を点てていましたね。なぜ、2人で仕事を辞めて旅に出られたのですか?

克也: 特に会社に不満があったわけではないんです。環境にも人にも恵まれていたけれど、「1年後に自分が死ぬとわかっていたら、今の生き方を続けるだろうか」とふと考えることがあって。「もしそうなら、会社を辞めているな」と思ったんです。それに、日々仕事に追われ、流されて生きている感じがしたので、一旦速度を落としてリセットしようと思いました。

文: 辞めた理由は、私も克也さんとだいたい同じですね。やりたいことを先延ばしにしたくなかったんです。こんな風に思うようになったのは、ふたりの周りでそんなに年の変わらない若い友人の不幸が重なったことがありました。その時に、わかっているつもりだったけど、「本当に人生はいつ終わるかわからないんだ」と深く思わされました。「今この時の選択を後悔のないものにしていこう」と。ちょうど、お互い仕事を辞めるタイミングが重なったので、会社に勤めているとなかなか行けなかった海外旅行に少し長めに行ってみようと思ったのが、旅に出たきっかけです。

それに、自由大学で出会った人たちをみると、やりたいことに正直に挑戦している生き方をしている人が多く、生き方の選択肢が広がったのも影響しています。

セドナの赤い岩山、レッドロックにて。「いつ終わっても後悔のない人生を歩みたい」

セドナの赤い岩山、レッドロックにて。「いつ終わっても後悔のない人生を歩みたい」

Q.旅先ではどんな経験をされましたか?

克也: セドナやポートランドに関心があったので、アメリカに行くことにしました。セドナやセントラルパークで着物を着て野点をしたり、日本のお茶が海外でどのように受け入れらているかにも興味があったので、お茶屋さん巡りなどをしました。アメリカでは、抹茶とフルーツジュース、煎茶とハーブというように、フレーバーをつけた日本茶をいくつか見かけました。その土地に合わせて新しい進化を遂げているのが面白かったです。

文: 海外でいただいくお抹茶はどんぶりのような器になみなみ注がれていたり、アメリカンスタイルで驚きましたね。それに、夫婦で旅をしたことで経験できたこともたくさんあったと思っています。野点もひとりだったらきっとやっていないし、もしかしたらそもそも会社も辞めていなかったかもしれないです。

気持ちいい風の中、野点をする文さん。風が来たら吹かれてみる。波が来たら乗ってみる

気持ちいい風の中、野点をする文さん。風が来たら吹かれてみる。波が来たら乗ってみる

克也: 確かに野点はひとりだったらしていないですね。ふたりだからこそ、共有できることやいいね!と思うことの数は2倍になるし、やろうと思ったことの決断スピードも上がると思っています。

今までは、旅といえば計画をわりと細かく立てていたのですが、この旅では自然の流れに任せるように旅をしました。そのおかげで、現地での偶然の出会いがきっかけでグランドキャニオンに行けたり、知らなかった魅力的なお茶屋さんを案内してもらえたり、振り返ると完璧なタイミングで回れました。

ポートランドのACE HOTELにて。ロビーで野点をする克也さん。「いま、ここ」に集中する

ポートランドのACE HOTELにて。ロビーで野点をする克也さん。「いま、ここ」に集中する

文: そう。だから帰国してからも「あれ、人生もこんな回り方でいいのかも」って(笑)。波が来たら乗ってみると、うまいこと流れていくのかなと思いました。なので今は、枠や決めごとを設けすぎずにやりたいことをやっています。「ふたりして会社辞めてしまって大丈夫なの?」と周りに心配されたりもしますが、禅の思想、「いま、ここ」を大切に生きる、ということですね。

やりたいことを見つけるには「日々小さなことでも自分に正直にやってみる習慣をつくることだと思います」

やりたいことを見つけるには「日々小さなことでも自分に正直にやってみる習慣をつくることだと思います」

Q.旅を終え、おふたりは今後、どんなことにチャレンジしていきたいですか?

克也:もともとやりたいことはあまりはっきりしていなかったのですが、これだ!と思うことや、毎日その時その時で興味のあることをやり続けていくうちに、だんだんとやりたいことが見えてきました。今日も午後からふたりでお茶会にいくのですが、日本文化、日本茶を楽しみながら研究しています。

以前からずっと朝起きたらお茶を淹れるライフスタイルを続けていますが、自分で飲むだけでなく、日本茶の魅力をもっと広く伝えていけたらとも考えています。幸い、夫婦そろっていいなと思う趣味もセンスも似ているんです。ふたりの共通の軸である「日本文化」を広める空間や場所を提供したり、伝える活動を一緒にできたらいいなと考えています。

文: それに、やりたいことを口にしていくうちに、だんだんと周りの方から、「カフェを手伝ってくれない? 」とか、「古民家で一緒に何かやらない? 」とか、ありがたいことにいろんなお話をいただけて、嬉しく思っています。

今は、お茶を取り巻く日本文化周辺を引き続き学びつつ、ふたりで新しいことを始める準備期間として、いろんな場に足を運んで楽しんでいます。だいたい毎日「今日もやりきったね」とクタクタになって寝てしまうほど、充実した日々を送っています。

(撮影、取材・構成:ORDINARY



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