ブログ

【vol.5 北欧と影響しあう関係 】黒崎輝男

メールマガジン「READY STUDY GO」連載コラム

826836b11b93bbb9bf44b35193f78986-640x187

スエーデンに25年ほど前に初めて行った時、その文化度の高さにびっくりしたことを覚えている。
また、フィンランドではアルバーアールトの家具を作り続けているアルテックの社長が、アルバーアールトの建築や工場を回り、案内してくれた。アールトの凜とした空間は哲学的でもあり、建築がアートと同じ感覚で作られているのを実感した。
初めにストックホルムに呼ばれたのは、ベックマンという美術とデザインの学校の校長先生のアーネグスタフソン氏が招待してくれて、スエーデンの学生に日本のデザインの現状を話すというものだった。

それ以来、フィンランドやスエーデンの各地を廻り、ノルウェーやデンマークに行き、北欧の社会はいったいなぜ、人間的で、自然を取り入れ、人口も多くなく、大国主義ではなく、文化的で豊かな暮らしをしているのか?
またどんな視点が我々とは違うのかといったことを考えました。それまで、イギリスのロンドンを始めパリやミラノに散々行き、ダイナミックな権威と国の力を見せつけられてきた僕としては、小さな組織や会社で、世界にその存在感を見せつけてきたこうした北欧の国々にむしろ学ぶことがあり、ちょうど、アメリカでもニューヨークやロスの文明とは違った魅力を持つ、ポートランドやサンフランシスコの社会に関心が行くようになりました。

GNPや売り上げの数字をあげることではなく、文化の深化、質の問題ではないか?
本質的で、粋とさえ思えるような現象を見てやっぱり今の行き詰った現状の次に来るのはこっちなんではないか?と。
どこが違うかというと、どうしたら解決できるか?どうしたら成功でき、どうしたら儲かるか?という結果を求めるよりも、そもそも成功とは?幸せとは?なぜそうするのか?といったことをじっくり考えていくことができる社会なのではないかと思います。

北欧はコーヒーの消費量が多く、まず一杯のコーヒーを飲んでそれからいろんな視点を持って話してみる。ということがまずある社会、なのではないかと思います。北欧の人たちも日本の文化に興味を持ってくれて、いろいろな質問をしてくれます。その質問がまたいいのです。こうしてお互いに影響を与えて、ともに刺激して、どちらが真似をするというのではなく、やっていけるといいなと思います。

自由大学では、目線を下げて、平等な視点から考えていくこと。を詰めていきます。北欧学では講師に北欧の現在活躍している現役の人を呼び、ポートランドでも若い人で今伸び盛りの事業家と話します。こうしたことは今までの日本の教育の現場では少なかったようで、大いに影響をして、刺激し合う関係の中から色いろなことが生まれる、ということを学んでいきます。

北欧から何を学ぶのかではなく、どう刺激を受け、影響されて作っていくかではないでしょうか。自分に自信を持てるように、確信を得るまで試行錯誤していく。考えを広くそして深くしていく。ということではないかと思います。

 

「READY STUDY GO」は隔週配信のメールマガジンで配信中です。自由大学クリエイティブチームのメンバーが、それぞれのテーマで連載しています。いち早く読みたい方は、このページの下にある「メールマガジン登録」をしてくださいね。水曜朝6時の配信予定です。



関連するブログ