講義レポート

「日常と旅とのリンク」をテーマにする旅学第6期。その模様を旅学サポーターの吉澤さんがレポートしてくれました。

tabigaku_20130107最終回の第5回は、教授のSUGEEによる”都市のシャーマニズム”をテーマに受講生全員でトークセッションを行いました。

「シャーマニズムとは何か?」

みなさんどんなイメージをお持ちでしょうか。宗教の思想のような印象があるかもしれません。はたまた、超常現象?、自然への回帰?、このもやもやしたシャーマニズムへの理解を深めるべく、2人組のペアになってディスカッションを行いました。テーマは「”シャーマン”のイメージ」について。

・シャーマンは、自然と人をつなげる人(宇宙もつなぐ、という声もあり)。
・邪馬台国の卑弥呼はシャーマンでは?天に祈りを捧げ、豊穣を願う。
・シャーマンは、共同体の中で神の声を聴き伝える人。
・シャーマンは、共同体のさまざまな知恵を持ち、必要なときに必要な情報を提供できる人。

これを踏まえ、教授のSUGEEが取りまとめます。シャーマニズムとは、自然とのつながりを持つことで、共同体の構成員が豊かに暮らすために伝統的に体系づけられた、祭政一致の考え方である、と。宗教も存在しなかった時代には、天気など自然の変化を捉え、熟知し、生活するのが一般的でした。アニミズムといわれるものです。

人々は自然に向かって日々祈りを捧げ、ときには祭りを行い、組織として自然を拝んでいました。この祭りを取り仕切る(自然から発せられるメッセージをキャッチする)のが”シャーマン”です。”シャーマン”は世界各地の共同体で存在しています。性別や年齢はバラバラですが、感性の強い人が選ばれているようです。

都市生活において、シャーマニズムは一見無縁なように感じますが、そんなことはありません。自然や祖先とつながる意識を持つことで癒しを得られ、人の気持ちを理解することができ、人に優しくなれる。人とつながることで、アイデアや感覚が交流し、自分も相手も磨かれる。つながりがコミュニティとなってパワーを蓄え、発信され、広がっていく。広がったところでまた新たな交流が生まれる。そんなサイクルが生まれるといいですよね。

旅に出て現地の人と気持ちよい交流ができたときに感じる爽快感は、つながりによって生まれるパワーの一種ではないでしょうか。都市生活では、鉄道で一駅移動するだけで街の雰囲気が変わります。存在するコミュニティもさまざまです。旅するように自由な感覚で、自然や人とつながっていきたいですね。

最後に、受講生の声をご紹介します。
・毎日旅に出られないなかで、旅するように生きるだけで人生をカラフルにすることができる。
・癒しの大切さを痛感した。つながりを大事にしていく。
・バックグラウンドの異なる人と話すと新たな考え方をもらえる。これぞ”旅”。
・旅に出て、感覚を研ぎ澄ませたい。

次の旅が、また始まります。



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