講義レポート

語り合うこと、受け継ぐこと

「旅学」講義レポート

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旅学」サポーターの大島です。今回のゲストは、バリ・インドネシアの伝統的手工芸品を中心に家具雑貨を輸入販売し、日本の都市空間に癒しのリゾートを提案し続けてこられた「KAJA」のバイヤーでありプロデューサーの渡辺広美さん。ご自身のお子さんを連れて何度も現地に足を運び生産者と消費者を直接つなげてしまう、そのキラッとした元気はどこから生まれるのでしょうか?

なぜインドネシアに注目するのか?

[物]
さまざまな国を転々とした結果、インドネシアは天然素材が多く伝統技術がしっかり継承されており、彫り物や編み物等の手仕事の技術が一番素晴らしい。また、現地では使わなくなった廃材や古材をリサイクルし、いろいろな人の手を介してリメイクするのが基本姿勢。

[人]
島と村が多数点在する多民族国家で、昔から色々な外国人が行き来するため、現地の人達は斬新なデザインを受け入れるフレキシブルさがある。

[環境]
お芋やお米などよく目にする食べ物はほとんどオーガニック。害虫駆除のためアヒルやカモを畑で放し飼いで育てながら、食肉としても活用している。

[精神]
リゾートを建てる際は、その土地に根付いた宗教や風習を尊重する。例えば、神木は絶対に切らず祠はそのままに、神事を妨げることなく観光客と村の人が行き来する。土着の素材や文化を活かし、様々な外国人との交流によりイノベーションが生まれ、どんどん新しいモノを受け入れていくので進化が早い。

現地の人と生まれた“つながり”、そこからの共存

各地の職人やワーカーたちと、互いの文化や考えを共有するためにとにかく対話を重ねた渡辺さん。職人たちと仲良くなるにつれ、現地の人しか知り得ない歴史的背景を知り「遠い先祖からの教えを面々と受け継いできたインドネシアの伝統的な道具たちを残していきたい」と決意されました。直接生産地に足を運び、直接かけあってお金を落とす。そのために輸出入の手続きは政府や商社を挟まずに全て一人で行う。デザインを加えて日本に紹介した雑貨がベストセラーになったことで、共存共栄の手がかりを掴んでいったそうです。

好きな人だから、好きなモノだから、好きだからダイレクトにパワフルに動ける。そんな純粋な想いが繋がった時、海を越えて大きな循環が生まれるのだな、と思いました。現地の方々の特徴をコミカルに真似ながら説明してくださった渡辺さん。これからどんなリゾート空間や癒しを日本に提供してくださるのか楽しみです。



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