講義レポート

旅と巡礼~エルサレム、そしてパレスチナ

「旅学」講義レポート

「日常と旅とのリンク」をテーマにする旅学。その模様を旅学サポーターの児島さんがレポートしてくれました。

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旅学」7期第3回のテーマは「旅と巡礼~エルサレム、そしてパレスチナ」でした。

世界中のさまざまな聖地への旅を重ねてきたミュージシャンでもある教授のSUGEEさんが、今年2月にエルサレムとパレスチナへ演奏と巡礼の旅に出かけられました。そこでSUGEEさんが見たものはメディア通りの危ない戦地なのか、それとも私たちが計り知れない聖地なのか。旅の写真をもとに、物語をつづるかのように、私たちが日頃あまり目にすることのできない事実が語られていきました。

エルサレムはイスラエルが首都と自称する都市。パレスチナも首都と主張していますが、国際的にはどちらも認められていません。そして、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教共通の聖地でもあり、昔から紛争の原因になってきました。そこでは今もなお「パレスチナ問題」とう定義でイスラエルとパレスチナの間で対立が続いています。

SUGEEさんはエルサレム旧市街で異教徒同士がそれぞれの聖地に寄り添いながら共存し、同じ空間で信仰心を持ちながら生活する人々の生の姿を実際に目の当たりにしたそうです。それは日本で体感のできない世界で、各聖地では人々の祈りの力に圧倒されたと言います。

SUGEEさんはその後エルサレムを後にし、パレスチナ自治区へブロンへと向かいます。パレスチナという、単語だけで聞いたとき、私は率直に危険で貧しいところだと思っていました。しかし、SUGEEさんがパレスチナで撮ったパレスチナ料理の画像は食材もスパイスも豊富、そしてとても美味しいのだそう。「紛争地帯=貧困」という、勝手なリンクが覆されます。そして広がるオリーブの畑。朝の光が見事に広がり美しく雄大で、なにか懐かしさを感じる写真にSUGEEさんは「昔の日本の風景を連想させる。まるで桃源郷のよう」と言っていました。

そこには不安や恐怖の影はなく、自然の恵みと共存している人々の姿がありありと浮かび上がります。このような美しく素晴らしい場所で争いが繰り返され、果たして国家は何を目的としているのでしょう。民衆の祈りは深いところで一つに繋がっているはず。だとしたら争いの原因は何なのでしょうか?

過去に起こった悲劇は変えようも出来ません。でも私たちのマインドは変えることができるはずです。旅学を終え、私の頭の中でずっと渦巻いた言葉がありました。

受け入れること/理解すること

毎年6月にパレスチナのラマーラーで音楽フェスティバルがあるそうです。そこでは宗教関係無しに一体となった空間が生まれると聞きました。いつかはパレスチナに行ってみたい、そんな気にさせられた旅学でした。



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