講義レポート

4~5月に開講した「旅学」 。
受講生のちびカズさんが、ご自身のブログに毎回旅学の感想を書いてくれていました。 授業の光景がわかるとてもいい内容だったので、まとめて転載させていただきます。



今日は仕事を終えた後、「旅学」という講義を聴きに。 全5回の講義の第一回目、初日。
「旅学」の講義は以前にも違う教授、テーマの物を受けた事がありましたが、今回もなんとか行けそうな時間滞だったので受講。 (前回の講義はある意味、私の地球一周の旅の後押しとなってくれた講義でした。)
今回の教授は、世界中の旅の中からミュージシャンそして植物コー ディネーターという二つの道を切り開いたSUGEE(スギ)氏が中心と なり、毎回様々なジャンルのゲストを招いて講義が行われます。
■第1回テーマ:「アフリカ&民俗音楽」
ゲスト:神田亜紀 (ラジオDJ・民俗音楽研究家)さん。
彼女は明るくて話しやすい気さくな女性!
是非、彼女のラジオ番組も聴きたいと思わせてくれる♪そんな魅力の持ち主♡
SUGEE氏と一緒に楽しく講義を進めてくれました。 講義内容は音楽のルーツや伝統、歴史、継承、意味などをSUGEE 氏が実際に撮ってきた映像・写真やグリオ(西アフリカで音楽を何千 年と 継承している人達)の話などを交えながら進められた。
マリという国でグリオに弟子入りした事があるSUGEE氏の生演奏も講義に織り込まれた。演奏では皆で手拍子をし、リズムを踏んだ。その瞬間から皆が一つ になり、全員初顔合わせだったにも関わらず、距離がぐっと縮んだ。
彼の歌と演奏には魂に響くようなエネルギーを感じた。それは皆の中にも響いていた。
それが音楽の原点でもあるアフリカ音楽の持つパワーなのだと私は思う。
信仰や文化、大きな自然の持つ力なども含め、色々と考えさせられた。

■第2回「キューバ・ラテン世界&旅の極意」
ゲスト: 東後昌宏 (ミュージシャン・ダンス講師・立教大学講師)さん をお迎えして、キューバやサルサの歴史やルーツなどを学び、生活と共にある音楽 やダンスというのを知り、実際に色々なジャンル、バージョンのキューバ音楽を聞いたり、生演奏をしてもらったり、はたまたちょっと皆でサルサを東後先生に教えてもらってトライしてみたり…と。今日もとても楽しい講義でした♪
突然のサルサレッスンの申し入れにも快く応じてくださり、講義時間もかなりオーバーしましたが最後まで意欲的に講義をしてくださいました。 ありがとうございました。
授業内容/
・カリブの真珠と言われる美しい島国キューバ。
・生活とともにある音楽、ダンス社会主義国でありながら、音楽、ダンスを愛する自由な国民性を持つ。
・アフリカとスペインの混血文化、ルンバ、ソン、その結晶としてのサルサ。
スペインのメランコリックな情緒とアフリカの力強い躍動感が見事に融合したサルサに代表される素晴らしい音楽と、カリブ海など美しい自然に溢れた景観と文化。
・生演奏♪
・人間の移動(予期した移動、予期せざる移動)、そして旅 ・現代の越境、移動、混交文化から生まれる都市
・移動することから生まれる旅、そして旅の中から’働く’ということ。

■第3回「沖縄&映像で見るシャーマニズム」
ゲスト: 大重潤一郎 (映画監督・沖縄映像文化研究所代表)さん
琉球王朝時代からの伝統的な’お祭り’を継承している久高島では、現在でも年に20回位のお祭りが催され、かつて人間が自然に感謝しながら大らかな時間の流れの中に生きていたことを今に伝えてくれます。
生きることと’祭り’
・シャーマンのイニシエーションとしての ‘イザイホー’
・制度としての祭りと、人間本来の祈りから派生した祭り’ハンザナシー’
・命の祭、その真実を伝えるという’生業’
今日の講義はまず、大重潤一郎監督のドキュメント映画
「久高オ デッセイ第二部生章」を観る事から始まった。
この作品には講師のSUGEEさんの歌も使われていて、それが、ものすご~~くマッチしていて、また、映像も島のスローな時の流れがとてもよく伝わってくる作品となっていた♡
観ていて心地よくなり、少し眠くなってきてしまうぐらいでした(これ 褒め言葉です!!)
私はこの作品を観ている最中にハッとした。
「島時間」を感じた時に自分に心のゆとりや余裕が足りない事に気付かされたのだ。
私は普段、明らかに「島時間」の流れよりは早い流れの中で生活している。
だから仕方ないんじゃん!?とも思うが、気付く事は大切だ。
きっと私には自分の心と生活とのバランスを取る事、もっと自分自身と向き合う時間を確保する事が必要なのだ。 世界中どこへ行ってもその国、その街の時の流れというのがある。時の流れの速度とはその国の生活がわかる一つの指標にもなり、個性とも言えるかもしれない。時間の早さや自然環境の多さなどは人の性格の穏やかさに比例するような気さえしてしまう。
人間は森林破壊を繰り返し、温暖化や異常気象を引き起こし、めまぐるしく過ぎてゆく
時間にせかせかと追い詰められる。 癒しの空間、時間は減り、そして癒しを求めるのだ。
今回の3.11の 大震災の原因も人間の環境破壊と全く関係ないとは言えないように思える。 全ては一つの地球上の出来事なのだ。連鎖していないとは考えにくい…
「一つになろう日本!」も必要だけど、「一つになろう地球!」もそろそろ必要じゃないかな。そろそろ手遅れになるのではなかろうか..
今回観た「久高オデッセイ」の映画には自然を敬い、感謝しながら生きている久高島の祭事、生活が映し出されている。 ここに何かヒントがあるような気がするし、ずっと変わらず大切な祭事を守っていって欲しいと思った。

■第4回「インド世界&食とスパイス」
ゲスト: 飯野登起子(料理研究家)さん、 飯塚 敦(ライター、iPhonegrapher、映像制作、
インドの土釜を自 作する「ポータブルタンドールプロジェクト」主催)さん
・カレー、スパイス、音楽など様々な魅力に溢れ旅人を魅了してやまないインド。
ライター飯塚敦氏を迎え、彼が撮ってきた写真を見ながらカレーの ルーツやタンドール
(ナンを焼く釜)の話を聞いたり、同じインドでも モルジブフィッシュに代表される海の文化が薫る南インドと中近東と の接合点としての北インドでは食材も違うし、パンも違うなど世界中の食に関する事も交えながら語りあった。北のパンはナンが多く、南はチャパティが多い。北は乳製品が多く、 南は魚介類が多い。
インドを理解するには、まずスパイスの香りとその多様なスパイス の使い方の妙から生まれるカレー料理を体験するのが近道かもしれません。 多様性に溢れる文化の象徴としてのカレー、そしてスパイス。
料理研究家である飯野登起子氏のつくるカレー 料理を頂きながら、スパイスの香りとインド料理の奥深さを体感し、 その感動を両氏がのように仕事に活かしてこられたかを学びました。
彼女はもりつけデザイナー(料理を美しくアートの様に盛り付けるデ ザイナー)でもある。
飯塚敦氏の講義の後、飯野登起子氏が私達の為に作って、盛り付けて下さったカレーとチャイを頂きました。 南インドのカレー(サンバール)と北インドのカレー(チキンティッカマカニ)の二種類のカレーを作ってくださいました。
何十種類とあるカレーに使われたスパイスの説明を聞きながら本格的なカレーを堪能。
全て美味しかった~!カレーやタンドールを探求し続けている飯塚敦氏と料理と盛り付けを研究し、デザインしている飯野登起子氏のコラボはとても贅沢な授業でした。
カレー一つにしろ、タンドールにしろ、盛り付けにしろ、全て探求すれば仕事になるのである。
ちなみに専門的に「もりつけデザイナー」として活躍している人はいないらしく、彼女自身が作ったジャンルらしい。 なので彼女以外に「もりつけデザイナー」はまだいないとか。

■第5回 「60年代からの’旅学’」
ゲスト:黒崎輝男(デザインプロデューサー)さん
・新開国時代に生きる、ヒッピー世代の世界一周から始まった人生 そして仕事。
・現代の日本で生活していては解らない世界の現実、新しい働き 方。
・一周すると世界が丸く思える。旅を住処に、暮らすことによって見える地平がある。
・旅には技術と流儀が在る。旅の仕方はいろいろ、しかしそれからど れだけ学べるかは人それぞれ。
・旅から学べることは自分の生き方のみならず、世界の現状を知る こと。
・すべてを捨てて世界を回ることに身を任せてみよう。
・ボクの全ては若い頃の旅にあった。Now, Influential, Deep, Substance.
黒崎さんと会うのは、これで3回目くらい。 彼のオーラ?エネルギー?発する言葉には存在感や迫力、重み、説得力がある。 それは彼の今までの経歴が彼をそのように成長させたのか、彼の持つ元々の素質なのか。 正直、飛び抜けた人であり、これからの日本の先人を切って導いていく影役者だと思う。
彼は沢山の会社を経営し、新しいことにも次々と取り組んでいるが、 3ヶ月に一回位は海外へ飛ぶ。彼は常に自分は旅の途中という感覚でいるとか。 なので、ずっと日本にいるのは耐えられないらしい。
彼は3月11日の震災を機に日本を大きく変えるのは今しかない!と 熱弁した。 震災後、直ぐに被災地にボランティアの基地をつくり、今は復興活 動に熱を入れている。 カリスマ性のある人達というのは行動力&瞬発力がある。と私は思う。
彼は今の時代に生きている日本人であるならば、被災地が復興しきる前の「今の被災地」を見とどけておかなければ、今を生きる日本人 として勿体無いと語った。
これから海外に出たら、外国人に必ず、震災の事を聞かれるだろう。その時に日本人としてきちんと説明できるように被災地にボランティ アをしにおいでと提案してくれた。
実際に訪れ、リアルを体感する事は大切なのだ
それは私も地球一周の旅に出て学んだ事の一つだ。 必ずしも報道が正しいとは限らない。実際に行ってみなければわからないことは沢山あるのだ。 講義の最後はSUGEEさんの奏でるジェンベと生歌で締めくくられ た。かな~り感動した。体中にジェンベの音が響いた。

旅学1の講義は今日が最終日。講義の後は皆で終電まで?食事会♪
(黒崎さんは体調不良で明日の被災地入りに備えるとの事で直ぐに 帰宅され、SUGEEさんも仕事の都合で早々に帰られました) 教室の一部を借りて、ワインなどの飲み物で乾杯!
デリバリーのパエリヤ(世田谷区っぽいよね(笑))やお菓子類などの ツマミも美味しかった~♪
事前に運営スタッフが用意しておいてくれ、感謝!
今度はみんなで被災地にボランティアへ行って旅学の続編をやろ~う!


ちびカズさんご本人も世界一周された方。瑞々しく素直な感性で、 授業から多くのものを受け取ってくれたようです。 ご感想、ありがとうございました。
前期の受講生の皆さんは、ちびカズさんも含め面白い方ばかり。メーリングリスト上でも頻繁にやりとりが交わされ、「旅学DAY6を開催しよう」 「SUGEEさんのライブを聴きにいこう」「仙台に行こう」と盛り上がっています。
この授業からまた、新たな旅が始まるのでしょう。
旅学新学期は7月1日開講。今回の講師も魅力溢れる人が揃ってい ます。 旅の仲間、募集中ですよ。


【講義データ】
旅学
[日程]金曜日 19:30 – 21:00 7/1, 7/8, 7/15, 7/22, 7/29(全5回)
[会場]世田谷ものづくり学校内
[受講料]28,000円
[教授]SUGEE(スギ)
[ゲスト]中川太郎、加藤直徳、飯野登起子




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