講義レポート

地球リズム学 アシスタントの吉澤裕樹さんより講義レポートが届きました。


世界中の民俗音楽を聴いて、視て、地球の鼓動を感じようという地球リズム学。実際にリズムを奏でて、五感をフルに活用し体感していく講座です。
第1回目は、ラテンシンガーでありダンサーでもあるNANA cantarina*さん*をゲスト講師に招き、生演奏を聴いて、全員でサルサのステップを踊って、キューバ・ラテン音楽のリズムとグルーブを学び、感じました。
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NANAさんは、小学生の時にロックに傾倒し、ソウル・R&Bを経て、20歳のころからキューバ音楽に没頭したそうです。なぜキューバ音楽か。答えは、人。キューバの民は、日本よりも不安定な社会の中で、みんな前向きで、笑っている。得意の音楽で発散する術を身につけ、実践し続けている。その精神性にのめりこんだとのこと。
キューバ音楽は、アフリカに端を発し、そもそもは神様への祈りのためのものとして存在していました。ギリシア神話のような物語のなかで、さまざまな神様が登場し、神様ごとにリズムがあるのです。はじめは、町内会でひっそりと歌われ、サンテリアと呼ばれていました。それがストリートでオープンに奏でられるようになり、生活により身近なリズムとなりました。そして、サンテリアからルンバ、ルンバからソンと音楽が生み出されました。ソンはサルサの原型と言われ、アメリカに渡ってサルサと呼ばれるようになったのです。
キューバの音楽では、コール&レスポンスが重要。歌は掛け合いで、交代に歌っていきます。ルンバのダンスでは、男が女に向かってセックスアピールな振りをし、女がかわす。そんな光景が日常にあり、人はみな、歌やダンスを通して、他者と自然にコミュニケーションをとっているのです。「コミュニケーションは体感するもの」を実践しているのですね。
日本人は、国民性もあるのでしょうが、素人の男女がペアでダンスをすると、一定の距離を保ち、触れ合わないように気を遣っているように見受けられます。しかし、キューバ人はおかまいなし!距離は近いし、手はがっちりつないで、触れ合いながらダンスを踊る。スキンシップが上手なのだ。「これぞ体感するコミュニケーション。日本人に一番欠けている」とNANAさんは言います。コミュニケーションが希薄だ、と言われるような現代だからこそ、リアルな触れ合いを大事にすべきなのかもしれません。
講義の終盤では、実際にサルサレッスンが行われました。全員で基本ステップを学んだあとは、お待ちかねのペアダンス。はじめは気恥ずかしかった男女たちが、後半になると自然と触れ合い、ステップを刻む。その姿はとても楽しそうで、カッコよく見えました。自らが楽しむこと、これが大事なのですね。観客にきれいなダンスを見せようとする競技ダンスとは異なり、キューバ人は、自分が楽しく踊れればいい、人からどう見られたって気にやしない、と考えているのだそう。
講義を通して、NANAさんのエネルギッシュさが光っていました。ジェスチャーをふんだんに交えて次々と飛び出すキューバのお話、サンテリアの生演奏で教室中に響き渡った力強く美しい声、誰よりも楽しく見えたサルサステップ・・・「踊らなソンソン!」というNANAさんの言葉がとても印象的でした。
次回11/24(木)は、プロドラマーの大山ハジメさんをゲストにお招きし、黒人音楽の聖地ニューオーリンズについて学びます。どんなリズムが体感できるのか、楽しみですね。


[講義データ]
地球リズム学
木曜日
19:30 – 21:00
11/17, 11/24, 12/1, 12/8, 12/15(全5回)
【単発聴講制度 適用講義】
本講義は全5回のうちお好きな回の聴講が可能です 聴講料:10,000円/回(当日現金払い)
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