講義レポート

「旅学」アシスタントの木村宣崇さんより、講義レポートが届きました。


2012年1月22日19時30分、旅学の第4期がスタートした。今回のクルーは9名。最年少の高校生をはじめ、大学生やいろいろな業界での経験豊富な社会人らが、それぞれの課題を感じ、参加する。この、本来であれば、なかなか接点を持たなかったであろう人同志が、旅を軸に集まり、出会い、考え、語り、学び合う中で、自分の指針をみつけだしていく。これが、旅学に乗船する、もうひとつの醍醐味。今回も、そんな濃密な旅がはじまりそうな予感。
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第4期テーマは、「毎日を旅するように自由に」。その旅で得た感動や自由を日常において持続させるにはどうしたら良いか?「日常と旅とのリンク」ということが一つの大きなテーマです。


今回、そのスタートを切る案内人は、本講義の全体案内役でもあるSUGEE氏。沖縄、東南アジア、中南米、キューバ・カリブ、アフリカ、中近東、シルクロードなど、世界中を旅し、各地のお祭りやシャーマニズムと交流を重ねてきたSUGEE氏が出会った音楽や植物、そして感じた、環境と優しく共生する喜びや、癒しに溢れた人間の原風景を、西アフリカの映像も交えながら、自身の旅での出会いを基に展開。

文字ではなく音楽で歴史を祖先に語り継ぎ続けている西アフリカの伝統音楽奏者グリオ。SUGEE氏は、その聖地ケラにおいてグリオとして正式に洗礼を受け、ママディ・ジャバテの名まで授かっている存在だが、そんな彼が、遠い国であるはずの西アフリカでも触れた、共通する人間の原風景、ノスタルジアを語った。群馬県の館林祭りの神輿に熱狂した少年期。その祭りの囃子に近いグリオの音楽。グリオの使う打楽器ジャンべよるに演奏のルーツに根差す、自然への感謝や祈願。
遠くなくてもいい。どこかに行って感じる懐かしさ。日々の些細なことで心は豊かになる。家の近くの神社の由来とか調べてみても、大陸とつながっていたりして、おもしろいかも。クルーからも、いろいろなノスタルジアの体験が飛び交う。
・見知らぬ人といきなり会話がはじまったカナダでの語学研修
・日本の古い教科書使っていたバリ
・台湾の旧市街
・その時代を回想することに感動した、遺跡発掘の現場。
・フィリピンの夕日
・高層ビルが建っているかと思うといきなり下町という北京のカオスな雰囲気。
・広がる山の景色の中、いきなりポツンと現れる山に囲まれた町が点在する長野。
いろんなきっかけで、自由を感じる。人の心に触れた時。山や田園の風景を感じた時。そして、ルーツを感じることで、心が豊かになる。いつも笑ってる人のところに福が来る。いつも大らかでいること。そのために旅に出るような時間が大切。日常的に旅に出ているような、おおらかな気持ちを持つ。
最後には、SUGEE氏が繰り広げるジャンべによる生演奏。教室に響き渡る、ジャンべによるリズミカルな音とSUGEE氏の声。クルー達は、それぞれの自分の原風景を想い浮かべながら、そのグルーヴ空間にのめりこんでいき、あっという間の濃密な時間が過ぎ去りました。
今回のクルー達の感想は、
・なごみと違和感の同居。その違和感がおもしろかった。
・演奏を聴いて、外国に行ってみたいと思った。ことばが分からなくてもつながれる。なにかひとつがんばって、得意なことができれば、どこへでも行ける。
・視野が狭くなっていたと思った。懐かしかった音。
・ちょっと圧倒された。自分に感じる力がなかったのかな。
・日本人、どこに行ってもその場に馴染む。日本の文化は多彩で、自然には四季があるからか、いろんなものもを感じる力を持っている。
心の原風景を大切にし、日々の仕事や日常生活に活かす、SUGEE氏の流儀。今この世界で生きるために大切な’共生’の心を育てる一番の近道かもしれません。


講義情報:
『旅学』 教授:SUGEE
日程:金曜日 1/27, 2/3, 2/10, 2/17, 2/24(全5回)



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