講義レポート

国民の権利を制限をする法律、国家の権力を制限する憲法

「日本国憲法ラボ」講義レポート

こんにちは、「日本国憲法ラボ」キュレーターの竹村まりこです。

日本の憲法について多様な視点で考える「日本国憲法ラボ」。前回の講義で思考の枠を広げましたが、第2回の講義では、日本国憲法の中身を知ろう、ということで、法務博士の岡田英資さんをお迎えしてお話を伺いました。

constitution lab_report_1_2まずは、受講生で、日本国憲法のなかで、重要だと思う条文と自分の好きな条文を共有。看護師という立場で普段から人間の生死と向き合っている受講生からは、第13条の「個人の尊重」が重要だという意見が出たり、書籍の校正のお仕事をしている受講生からは、第21条の「表現の自由」が重要だという意見が出たり。それぞれが、それぞれの視点で憲法について考えていることが共有できたと同時に、憲法は私たちの生活の隅々に根付いているものなのだと認識できる時間となりました。

岡田さんのトークは、憲法と法律の違いについてから。歴史を振り返ってみると、憲法より法律が先にできたのですが、法律が多く制定されたおかげで治安が良くなった一方で、国家が権力を乱用して悪法もできるようになり、そこで、法律の上に置くものとして、憲法が発明されました。法律が国民の権利の制限をする一方で、憲法は国家の権力を制限するもの。憲法は、法律の一部だと思っていましたが、実は、根本的に違うんですね。

そして、トークは、憲法の内容について。憲法では個人の自由を尊重していたり、国民の平等や表現の自由を保障していたり。人間が人間たるために守られるべき人類普遍の正義が保障されています。

私たちが憲法について考えるとき、第9条の戦争放棄に焦点を当てがちですが、第9条以外にも、私たちが日々当たり前のように暮らしている土壌を作っている重要な条文が日本国憲法にはあるんですね。実は、憲法は、法律でも政治でもなく、私たちの生活に根付いている文化なのはないでしょうか。



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