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飯塚俊太郎|FLY_028

「インド料理だけは深く学ぶことができた」

飯塚俊太郎(「BHARAT SPICE LABO」コック)自由大学では「インドに学ぶスパイス学(初級)」を受講。20代前半から飲食業界でコックになり、インド、タイ、東南アジアなど、多様なメニューを調理できる。そんな料理人・飯塚さんに「インドに学ぶスパイス学」と「BHARAT SPICE LABO」の話を語ってもらいました。


 

Q.「インドに学ぶスパイス学」(初級)に通う以前から、教授のメタ・バラッツさんやキュレーターの勝川由美子さんとはお知り合いだったとか?

2014年の7月くらいですかね。勤めていた飲食店を退職しようと、転職活動をしている時に元同僚から「COMMUNE 246にカレー屋ができるけど、そこでコックを探している」という話を聞きました。ぼくは以前、黒崎輝男さん(自由大学ファウンダー)の経営していた飲食店に勤めていたことがあり、話をくれたのは当時の同僚だったんですね。それでバラッツさん、勝川さんと会うことになりました。

詳しく聞くと、「インドに学ぶスパイス学」という授業から生まれるカレー屋だということがわかって、それならば、お二人がやっていることをぼくも知っておいたほうがいいと。2014年の9月が開講予定だったので、そのタイミングで授業に参加しました。

Q.「インドに学ぶスパイス学」(初級)を受けた感想は?

コックをしている方ならみなさんそうかもしれませんが、スパイスでも、食器でも、ふだんから使っているものを「これは何でできているか」ってあんまり考えないと思うんですね。どんな特別な道具でも、その世界に入ってしまえば当然のように毎日あるものですから。だから、改めて「基本」を確認するような印象でした。

また、ぼく自身は授業の内容よりも、来ている人たちに興味がありました。この授業を受けに来た人たちは、一体どんな人たちなのか。ある程度、高額な授業料を支払うのは、何に関心があるからなんだろうと。

Q.飯塚さんはコックをはじめて何年になりますか?

4年制大学を卒業してからこの世界で働いているので、十数年になります。でも、情けない話ではありますが、この職業は消去法で選びました。就職活動をしてもうまくいかず、飲食業だったら続けられるんじゃないか、でも和食は厳しいイメージだし、スパイスを扱う料理なら合っているかもしれないと。

タイ料理、東南アジア料理など、これまでさまざまな飲食店に勤めてきたので、いろんな料理をつくることができるんですね。それでも、インド料理だけは深く学ぶことができました。それははっきりしています。

Q.COMMUNE 246にある「BHARAT SPICE LABO」について教えてください。

インド式カレーライス屋です。チキンカレー、キーマカレー、ひよこまめのカレー、計3品を基本メニューに、月替わりのカレーライスも出しています。「王道メニューは何ですか?」とバラッツさんに聞かれたので、この3つと、月替わりのメニューを出すことになりました。

バラッツさんのスパイス会社から仕入れたスパイスを使って、ぼくが配合して作っています。基本的にはインドの作り方から外れないように。日本の場合、コーヒーやハチミツなどの隠し味をいれたりしますが、そういうことはしません。バラッツさんからも「純インドスタイルでつくろう」と伝えられました。ただし具材は日本の食材を使う。例えば、今月の月替わりメニューにはごぼうを使っているんですね。インドにはごぼうはないんですよ。インドスタイルのカレーソースやスパイスミックスと日本の食材の組み合わせを味わってほしいですね。

Q.お二人と一緒に作ってきたんですね。

オープンまでには、損益計算書を作って利益予測を立てたり、アルバイトを入れるのか、ぼくが一人で切り盛りするのかなど、いろいろ話し合いました。お二人はカレー屋を開店することがはじめてだったので、今までの経験で答えています。ぼく自身、自分のお店を経営していた時期もあるので、ある程度のことはわかりますから。

Q.どのようなお店を経営していましたか?

6年間、吉祥寺で飲食店を自営していました。テナントがスケルトン(何もない)状態から始めたので、改装・改築の予算から店舗の広さと費用、スタッフ数と売上と利益の関係などは多少わかっています。

1度、自営をしてからまた雇われの身に戻ったんですね。すると、独立する前とは違い、経営者の考えることも若干は理解できるようになりました。

Q.最後に、COMMUNE 246でカレー屋を開店すると聞いた時の率直な感想は?

黒崎さんの飲食店で働いていたのは10年前になりますが「今も面白いことをやっているんだろうな」と経験上感じていたので、きっと面白い店や空間になっていると思いましたね。

【取材後記】「自由大学の学生が店長をしているカレー屋さんだよ」と紹介されて、お話しを聞いてきました。インタビュー中にキーマカレーを食べて、カレーや副菜についての説明をしてもらっている時が一番、仕事人の顔に見えました。おなかが空くと、ふと飯塚さんのカレーを思い出します。こうして書いている今も、また食べたくなってきました!

(インタビューした卒業生 #新井優佑

【関連サイト】
COMMUNE 246サイト「BHARAT SPICE LABO」ページ


 

FLY(フライ)は、自由大学の卒業生が登場するインタビューコーナー。自由大学に通い、新しく見つけた自分の姿。卒業して、踏み出した一歩は小さくても確かな手応えをもって、新しい日常の扉を押し広げます。卒業生が体験した、自分らしい転換期の話をお届けします。



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