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Qちゃん(高橋奈保子)|FLY_011

サードアイ|空気を見つめるファシリテーション

Qちゃん(高橋奈保子|コーディネーター)自由大学では、「ソーシャルデザイン学」「#DIY実験室」「コミュニティ・リレーション学」を受講。武蔵野美術大学助手を経て、現在は都内のボランティアセンターに勤務、コーディネーター業を行う。傍ら、知人友人が主催するワークショップ等でファシリテーターを担当。そんなQちゃんが、自由大学を受講して気付いた「ファシリテーションで大事にしたいこと」を語ります。


 

Q.自由大学を知った経緯(いきさつ)は?

greenz.jpというWEBマガジンでフクヘンのおのっち(小野裕之さん)と、自由大学の和泉里佳さんが対談していたのね。そこで、「ソーシャルデザイン学」という講義がスタートすることを知って、「行ってみよう」と思いました。

Q.その後、「#DIY実験室」「コミュニティ・リレーション学」を受講しますが、自由大学で得られたことは?

「ソーシャルデザイン学」と「#DIY実験室」では、勇気をもらいました。ムサビの助手時代に学生だったうーちゃん(三上悠里さん)や脱藩学のキュレーターになったよっしー(吉永隆之さん)、光の箱プロジェクトをしているあっちゃん(浅野敦司さん)、海士町にいったおかべちゃん(岡部有美子さん)たちと出会えて、私が大事にしてきた働き方は間違っていなかったんだって思えたんです。同じように自分のプロジェクトを大事にしている人たちがいることを知るキッカケが得られてよかった。

「コミュニティ・リレーション学」では、日頃やっているファシリテーションに気づきがありましたね。

Q.ファシリテーションをする上でのヒントが見つかった?

「コミュニティ・リレーション学」の説明からしたほうがわかりやすいんだけど、まだ私が消化中なので説明しづらいな…。自分にとってヒントになったのは、「コミュニティを一度構造化して、課題を冷静に見てみる」ことで、その俯瞰の視点を自分の中に落とし込めたのがよかったです。「今なにが起きてるのか」を落ち着いて見つめることって結構、忘れがちなんですよ。

感情的になってしまうと、一番抜けちゃうところで。私は今まで反射的に対応してきたことなんですけど、意識できるようになりました。

Q.無意識を意識化して変わったことは?

その場に居合わせた人の中で、一番立場の弱い人に目を配ることを意識できるようになりました。例えば、日常にある会議でもいいのだけど、本当、あんまり声を出せない人っていて。強くものを言える人がいると、尚更で。「大きな」とか「強い」とか、多数のペースで物事が進みがちな場において、本当はこの場にはいろんな人がいるっていうことを、今まで以上につとめて冷静に見る目を持つことができたのは大きいですね。

Q.ちなみに、普段の仕事について教えてください。

NPOでボランティアコーディネーターをしています。地域に住むお子さんからおじいちゃんやおばあちゃんまで、希望にあったボランティアを一緒に探したり、ボランティア活動先になるNPOやボランティア団体向けに、研修会を開催したりする仕事です。

小さな会議から大人数のワークショップまで、人が集う場所に関わることがとても多いんですよ。

Q.どんなファシリテーションを心がけるようになった?

以前は何か問いかけたら、「Aもあるし、Bもある。Cもあるよね、Dもある。私はBかな。みんなはどう?」って次々に訊いてしまっていたんですね。でも、会議やワークショップの時間に制限があったとしても、何も言わないようにしたり、沈黙の時間を持ったり、みんなが思いを馳せることができるようにしていくようになりました。

その場の空気をもっと大事にすることを、より意識したいですね。

Q.今後の目標は?

特にありません。でも、ひとつ言えることは、「場をつくる上で大事なことって何だろうね」と話し合える仲間ができたから、今後も継続的にその関係を育んでいきたいと思っています。

あと、わたしはやっぱりマイノリティ寄りの場を大事にしていきたい。

【取材後記】インタビューをしていると、つい相手から話を聞き出そうとしてしまいがち。能動的な問いかけと言えば聞こえはいいけれど、攻めるように質問をしていると訊けない話がある。じっくり受け止めて、相手の答えを待つ母性のような促し方がインタビューにもあっていいよなと思いました。誰もが思ったことを分け隔てなく語り尽くせるわけじゃない。それぞれのバックグラウンドを感じながら場を育むファシリテーターとして、今後も活躍していくQちゃんに期待が膨らみます。

(インタビュー: #新井優佑


 

FLY(フライ)は、自由大学の卒業生が登場するインタビューコーナー。自由大学に通い、新しく見つけた自分の姿。卒業して、踏み出した一歩は小さくても確かな手応えをもって、新しい日常の扉を押し広げます。卒業生&受講生が体験した、自分らしい転換期の話をお届けします。



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