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ゆうこりん(大野祐子)|FLY_008

東北復興学」で気付いた地元と私のフィロソフィー

ゆうこりん(大野祐子|編集者)1987年生まれ。自由大学では、「キュレーション学(初級)」、「質問学(現・魅力を引き出す質問学)」、「東北復興学」、「伝わる文章学」を受講。2012年、2013年、自由大学祭実行委員。2012年に、初めて通った自由大学で大切な仲間と出会う。そして、地元・福島との関わり方が育まれていった経緯を語って頂きました。


 

Q.自由大学を知った経緯(いきさつ)は?

当時勤めていた会社で、いろんなバックグラウンドをもつ子どもたちのキャンププログラムに関わらせてもらっていました。その仕事をきっかけに、「子どもの教育」に関心をもつようになったんですね。仕事以外の場所でも、どこか、体験を通して学べる場所はないかと思っていて、学びの作り方を知りたくて調べていました。それで自由大学の「キュレーション学(初級)」を見つけたんです。

講義の紹介文に「学びの場をつくろう!」ということが書かれていて、「自分の学びたいことを学べる場所がないなら、自分で作ればいいんだ」って気付いて、「ちょっと、行ってみようかなぁ」と思いました。

Q.「キュレーション学(初級)」の他にも講義を受けていますが、自由大学に通って得たものは?

その、一緒にいたいと思える人たちに出会えたのは、自由大学がはじめてでした。「質問学」で一緒だった、かなみん、ケンケン、しゅんちゃんとは、家族のような付き合いになりました。

受講したのは2012年だったのに、今でも集まることがあるんです。半年に1回くらいだけど、会えば10分も掛からないで、あの時に戻ることができます。

Q.自由大学を受講後、何か始めたプロジェクトはありますか?

「東北復興学」を受けた後、何か自分なりの一歩を踏み出したいと思って、地元・福島に行くツアーを組みました。講義の最終回に、「福島の今を自分の目線で伝えたい」という発表をしたことから、その思いに共感してくれる東北復興学のメンバーと一緒に計画をたてはじめました。

実際に準備をはじめたら、あちらで頑張っている人とどんどんご縁をつくることができましたね。体験学習施設「南相馬ソーラー・アグリパーク」を立ち上げた方とも知り合うことができました。ツアーがきっかけとなって、その後も個別にパークの手伝いをしたりと今でも交流をつづけさせてもらっています。

Q.仕事とツアーの両立は忙しかったでしょう?

わたし一人じゃできなかったと思います。「東北復興学」を別の期に受けていた、藤田くんらと一緒にツアーの計画を立てました。実際は藤田くんの力が大きくて、わたしは参加者を募る役割のような事務作業を担当しているような感じでしたね。

農家民宿「いちばん星」に泊る手配をしたり、お風呂として足を運ぶ温泉を探したりして、楽しくツアーを計画できたことの反面、やっぱり福島に人を連れていく分、精神的に気遣った部分はありました。それが2013年の6月のことです。

Q.今後もツアーを企画しますか?

今はまた考え方が変わりました。2013年の頃は、イベントを継続的に起こすことこそ福島を忘れないでいてもらえる活動だと思っていたのですが、それは自分の役割じゃないなぁと思ったんですね。

「東北復興学」には、乃村工藝社で「光の箱」プロジェクトをやっている、あさのんをはじめ、ちゃんと継続している人たちがいるんです。だから、継続する大切さを感じますし、それはできる人に任せようとも思えるようになりました。

Q.今後はどんなことをしていきたいですか?

今は、福島のことをもっと自分の目で見てみたい、知りたいと思っています。福島には、地元の人も知らない素敵なスポットがまだまだたくさんあるんですね。

例えば、福島県三春町出身で女性初のエベレスト登頂に成功した登山家・田部井淳子さんが営んでいる沼尻高原ロッジ。そこは温泉が出ていて心地良い環境なのですが、ふらっと訪れた地元の人が、「え!あの田部井さんがやっているの?」と驚くようなことがあったりします。

以前、登山をしていた時にすれ違った女性が、「私は50の時に登山を始めたの。それから20年、山登りを続けているんだよ」とおっしゃっていて。山にとても詳しい人だったから、「私は今20代で、今から20年続けてもまだ40代だ」って思ったんです。

日本全国の山や素敵な場所を知ろうと思ったら20年じゃできないかもしれないけれど、地元・福島だけだったら詳しくなれるんじゃないかなぁと思っています。大きなことはできなくても、私が好きだなぁと感じる福島の自然や人や風景を周りの方々に伝えていくことを続けていきたいですね。

【編集後記】「福島は震災と原発があった地域だから、目の前の問題だけでなく、10年後、20年後、30年後、その都度、対応していかなきゃいけない」だから、「都度、対応していけるように、今は地元との関わりを育んでいきたい」と明るい声音で話を締めてくれました。ゆうこりんはほぼ毎週のように福島に行って、福島を満喫しています。東京と地元の2拠点で活動をしながら、見据える未来に向かって歩む姿からは、可愛らしい容姿とはまた異なった逞しさを感じました。

(インタビュー: #新井優佑


 

FLY(フライ)は、自由大学の卒業生が登場するインタビューコーナー。自由大学に通い、新しく見つけた自分の姿。卒業して、踏み出した一歩は小さくても確かな手応えをもって、新しい日常の扉を押し広げます。卒業生&受講生が体験した、自分らしい転換期の話をお届けします。



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