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「自分のペースを取り戻そう」ミニマリストのための『捨てる時間術』を初出版

FLY_ 62|若杉アキラさん/時間ミニマリスト・週3起業家・シニア不動産コンサルタント

自由大学創立時から続く人気講義「自分の本をつくる方法」から嬉しいニュースが届きました。第41期メンバーの若杉アキラさんが、初出版。6/13に全国書店で発売されます。今日は、自由大学運営チームが出版までの道のりをお聞きしました。


プロフィール:
若杉 アキラ(わかすぎ あきら)
時間ミニマリスト/週3起業家/シニア不動産コンサルタント。
1983年生まれ、妻と娘ふたりの4人家族。会社員時代、終電帰り、サービス残業、週90時間労働の疲労と心労がたたり体調を崩す。27歳で不動産会社を起こすも週7日労働で時間に追われる。「忙しさに振り回される人生から抜け出そう」と奮起し、時間のミニマル化を実践。現在、週3日だけ働き、「歳をとっても安心して借りられる住まいの提供」をモットーに、シニア不動産事業を展開し、県や地域からの信頼も厚い。また、iPhone写真家として、日常をテーマに作品提供や個展開催を定期的に行っている。2019年6月初の著書『捨てる時間術』(日本実業出版社)を出版。
Blog:http://www.akirawakasugi.com
Twitter:@akirawakasugi
Instagram: @akira_wk   


なぜ本を出版したいと思ったのですか?

最初に出版したいと思ったのは料理人時代、23歳の頃です。当時は、週90時間も働いていてとにかく忙しかった…。「このままこの仕事を続けていいのか」と自問自答の毎日を過ごしていました。そんなとき、高橋歩さんの『毎日が冒険』や『ラブ&フリー』を読んで、「こんな自由な世界もあるのか」と目の前の扉が開いたような感覚になりました。このとき初めて、「自分もいつか本を書いてみたい」という憧れのような感覚を持ちました。

それからもずっと「いつか本を書いてみたい」という思いはありましたが、何も行動することなく時間だけが過ぎていきました。

その後、27歳で起業して3年ほどが経ち、事業も少しずつ軌道に乗ってきて、仕事以外の時間も作ろうとすれば作れる状況になってきました。でも自由にできる時間があっても自分がその時間に何をしたいのか全くわからなかったんです。それで20代後半から2、3年もやもやした時間を過ごしていましたが、そのとき心の支えになっていたのが読書でした。本の中にいる著者と対話をするように自分の悩みや不安をぶつけていくうちに、「自分も誰かの心の支えになるような本をつくりたい」という思いが芽生えてきました。

その後、写真展をひらくなど新しい活動を始めたことで、「自分はずっと出版したいと思っているのに、何も行動していない」ということに気づき、自由大学の「自分の本をつくる方法」を受講しました。ぼんやり「本を書いてみたい」という思いが、このときから「2、3年後に出版する」という具体的な行動に変わりました。

 

いよいよ全国の書店に平積みになる

 

本当にその通りに目標が実現しましたね。いま完成本を前にして。出版企画書を練った最初のイメージと完成本と、イメージ通りでしたか?

120%イメージ通りでビックリしています。企画の段階では、まだぼんやりとしていた部分も言語化されて、想像以上に良い作品ができたと思っています。編集者さんから完成本を受け取る日は、朝からソワソワして落ち着きませんでした。いよいよ数日後には自分の本が全国の書店に並ぶのかと思うと、楽しみですが、緊張もして、胸が高鳴る気持ちでいっぱいです。

 

教授の深井次郎さんのアドバイスで、印象に残っているエピソードは?

受講後も、どんなときも自分の気持ちに並走してアドバイスをしてくれたことです。

何度も話し合い、一緒に多方面から検討し、企画を進めてきて、さあ出版社に企画を提案しようという最終段階になって、私が「やっぱりテーマを変えたい」と言ったんです。それでも次郎さんは「うん、また練り直そうよ。著者が気乗りしないテーマは意味がない」と、思いに寄り添ってくれたんです。

起業や不動産、お金をテーマにしたビジネス書でいくか、もっとゆるく暮らしかたの実用書でいくか、何度もぐるぐるし最終的に「時間術で行こう」と決まってからも、果たして本当にこれでいいのか、また振り出しに戻ったり。

初めての出版ということで、未知の世界だし、プレッシャーもありました。煮詰まってどうしようもなくなって、大好きな伊豆の海まで行った時のこと。1日ボーッと考えた後に、次郎さんのオーディナリーチームが本屋さんを出店してた虎ノ門ヒルズまで会いに行き、弱音を打ち明けたこともあります。そのときも企画書を見ながら「揺れたいだけ、揺れていいんだよ」と、相談に付き合ってくれました。

「振り子のように端から端まで大きく揺れて、ようやくこれだというポイントが定まるからね」「不安も喜びも、いろんな感情を味わい尽くすのが、人生の醍醐味なんだから」と。これだけ真剣に打ち込める目標があるなんて、いま人生を楽しんでるなぁ、と前向きになれましたね。

 

教授の深井次郎さん(左)と一緒に喜びを分かち合う著者の若杉アキラさん(右)


受講後すぐにブログを定期的に書き始めました。書き続けるモチベーションは?

同期のメンバーや友人たちに、「書く」と宣言したので、やはり有言実行したいですよね。それに次郎さんはじめオーディナリー編集部のみなさんの期待を裏切りたくないという思いでした。自分が本当にやりたいことを応援してくれる人からの期待は、持てる以上のパワーを与えてくれると感じます。

 

ブログと今回の紙の本とでは、執筆方法に違いはありましたか?

とくに違いはないですね。本に書くネタもブログに一度下書きをして、その中からブログに投稿するものもありました。ブログに下書きをしてからワードで添削をするんです。バックアップの意味もありますが、ブログとワードの画面だと物理的に見方を変えられるので、添削がしやすくなります。校正の段階に入ってからもワードでの校正とゲラでの校正は見え方が違いました。編集者の方も言っていましたが、「ゲラになるとまた見え方が違う」のです。

 

1冊目は「時間術」で行こうと決めました。他にも「起業、お金、不動産、家族、散歩、写真…」など語れるテーマは多い中から、どのように書くテーマを絞っていきましたか?

まず自分が熱く語れる分野を考えて、そこに共通しているテーマを探したら「時間」に、すごくこだわりがあることがわかりました。あとは、本を書くことでどんな人と関わっていきたいか?ということを考えてテーマを絞っていきました。たとえば、儲かる系の起業本を書けば、ギラギラした起業家が周りに集まってくる可能性が高い。別にそういう人が嫌いなわけではありませんが、私は本を通して読者と心の繋がりを持ちたいと考えています。

 


若い世代を中心に「お金持ち」より「時間持ち」志向が増えているように感じます。「時間の使い方」について真剣に考え始めたきっかけは、いつ頃?

30歳頃ですね。起業して3、4年目の頃です。家族と過ごす時間を犠牲にしてワーカホリックになっていた自分に気づいたときです。考え方を変えてから、自分の時間もどんどん増えていきました。

 

時間の使い方で強く影響を受けた人物はいますか?

特定の人は思い浮かびませんが、本で言えば、『週4時間だけ働く』『人生を変える80対20の法則』には強く影響を受けました。時間の使い方に限らず、私の場合、誰かのやり方をそのまま真似してうまくいったことがないんです。だからいろんなやり方のいいとこ取りをして、なんでも自分にとってやりやすい方法にアレンジして変えていくようにしています。

 

若杉さんの時間術は、効率重視の「スピード」でもなく、丁寧に時間をかける「スロー」でもなく、「最適なペース」が特長です。他の多くの「時間術本」との違いを簡単に教えてもらえますか?

時間のムダを捨てると言っても、なんでも捨てれば良いわけではありません。他人から「ムダや非効率」と言われることでも、自分が好きと思うことは捨てなくていい、と考えています。効率良く生きても、好きなことができない人生なんて本末転倒ですよね。そもそも「好きなこと」「やりたいこと」をするための効率化です。なので好きなことをやるためにも、自分にとって大切なこと以外を徹底的に削ぎ落とすようにしています。

 

パートナーや子供など家族がいたり、会社では上司やお客さんの都合を優先しないといけないなど、なかなか自分のペースだけでは時間管理ができません。振り回されてしまったり、思い通りに進まない時に、イライラしない方法は?

同じ状況でイライラする人もいれば、しない人もいます。物事の見方を自分にとってポジティブに捉えるようにすればイライラしにくくなります。たとえ相手が99%悪く思えてしまうときだって、自分がイライラすることに時間を取られるのは本当にムダだと思うんです。物理的に損をして、さらに精神的にもイライラすることで損をするのなら、せめて物事の見方を変えて、イライラを回避することで自分の時間を犠牲にしなくて済むと考えたほうが得策です。

 

朝、1日の仕事は何から始めますか。仕事の時間管理で決めているマイルール、習慣はありますか?

一番集中力を使いそうな仕事から順番に始めます。集中力を優先に仕事を組み立てるわけです。なので集中力が落ちてきやすい午後は、単純作業をするようにします。するとそれがいい気分転換になって、また集中力を使うような仕事をすることもあります。

 

自身の時間の使い方で、他人から一番驚かれることは? 

夜中に目が覚めると、その時間から1日を始めることですね。もちろん目が覚めて、最初はもう一度寝ようと思うんです。だけど布団に入って30分も眠れなかったら、起きて何かをやり始めます。とくに執筆期間中はそういうことが多かったですね。がんばって寝ようとして1時間も2時間も布団の中で眠れずに過ごすのはもったいないと思うんです。だったらその時間を自分の好きなことに使いたい。本を読んだり、調べ物をしたり、執筆やその他の仕事だって、自分のやりたいタイミングでやったほうがパフォーマンスも高くなるし、気分的にも自然なことだと思うんです。

 


自分の個性や性格について、どう考えていますか?

常に動き回っていたいコツコツ型の人間です。コツコツ型といっても決してゆっくり進むばかりではなく、早く進みたいときは早く進むし、のんびり進みたいときはのんびり。いつも自分にとって最適なペースで進むことが、私にとってのコツコツ型です。早すぎるのもイヤだし、遅すぎるのもイヤ。自分のペースで動き回っているのが好きなんです。

 

出版が決まってから執筆期間約4ヶ月の間、主にどんなことが頭にありましたか。また、一番苦労したことは?

とにかく締め切りに追われていました。時間があればもっと書けるはず、と思ったこともありますが、いま振り返ってみると、きっと時間があってもたいして変わらなかったと思います。時間がないからこそ、集中力が増して、余計なことが削ぎ落とされていくわけですから。時間があれば「ああでもない、こうでもない」といつまでも悩んでしまいます。時間がなくても「締め切りに間に合わせる」と決めてしまえば、とりあえず書くしかない。書いた原稿があれば、それを手直しすることはできます。ですが書いていなければ、直すこともできないんです。

 

他人に振り回されず、自分のやりたいことにフォーカスできるようになる70のコツがまとめられている

 

日本実業出版社で素敵な編集者さんと巡り合えました。共同作業で印象に残っているエピソードなどありますか?

出版が決まってから、執筆前にサンプル原稿を見てもらったのですが、そのときは「全体的に力が入りすぎている」と指摘されました。そこでもっと「読者との対話」を意識するようにアドバイスを受け、すごく文章が書きやすくなりました。それまでは、ただ自分の言いたいことだけを言っているような文章でした。でもアドバイスをもらってからは、3、4人の飲み会の席で、友人や知人と会話をするような文章を心がけたことで、ライターさんに手伝ってもらうこともなく、書き上げることができました。出版するならこの方にと願っていた編集者さんに担当してもらえて、本当によかったです。

 


今回の執筆を通して、自身の成長を感じたこと、新たに発見した書くコツなどあれば教えてください。

本を書くことで、自分の考えを整理することができました。「なぜ?」「どうしてそうなるのか?」と自問自答を繰り返すからです。その繰り返しが己を知ることに繋がり、成長を感じることができました。

書くコツは、書くというよりも、話す感じに近いです。先ほど話したように、3、4人の飲み会で友人知人に話すように書くことを心がけると、私の場合は書きやすいです。一度話し言葉で全部書いてから、読みやすいように整えていけばいい。実際、削る部分も多いのですが、削られていった言葉が引き金となってキーになる考えが言語化されたりすることもあります。

 


最後に、今後の活動予定は?

直近では「iPhone写真家」として、6月21日から23日まで東京の京橋で個展をやります。今回の執筆を通しての気づきや伝えたいことを写真展というカタチで表現します。ビジネス書と写真がどう関連づくのか疑問に思う人もいるとは思いますが、一人の人間がやること。その本質に違いはないと考えています。

 

東京・京橋の3階建てギャラリーで。iPhone写真家として個展を開催している

著書も販売した。日常を大切な時間だけで丁寧に埋めていきたい。

 

若杉さんの写真。すべてiPhoneで撮影している。

 

個展のあとは、次回作に向けて頭を切り替えていきます。今回の執筆を通して、誰の身の回りにもあるような何気ない日常の悩みや不安の改善、物事の見方を変えてみることが、それぞれにとって最適な人生のペースを見つけるきっかけになると感じました。

たとえば、ビジネスパーソンが自己実現を考えたとき、その視線は社会に向きます。「社会的な成功」は他人から賞賛されるしわかりやすいからです。でも「子育て」や「夫婦関係」というのは、うまくいっていても他人から賞賛されるようなものではありません。だから賞賛を求めるビジネスパーソンの視点が向きにくい。でもその視点が社会だけでなく、家庭に向くような社会的な風潮ができれば、女性の社会進出や少子化の改善にもつながるのではないでしょうか。

子育てや夫婦関係は毎日のことです。子育ては自分の思い通りにはいかないし、夫婦には思いやりが欠かせない。どれも人間力を向上させるための修行であり実践になります。自己実現を求めるビジネスパーソンの目が社会だけでなく、家庭にも向けば、もっと生きやすくなる人が増えるのではないかと考えています。

 

時間に追われている多くの方に、読んでいただきたいですね。本日は、ありがとうございました!

 


<書籍情報>

最適な「人生のペース」が見つかる  捨てる時間術
若杉 アキラ (著)
2019/6/13全国書店にて発売

●ムダを手放せば、自由な時間が手に入る!

「毎日やるべきことに追われて時間がない」
「仕事でもプライベートでも心休まるヒマがない」
「十分に寝る時間がない」
こうした時間についての悩みを抱える人は、気づかないうちに「他人のペース」に振り回されて、「自分のペース」を見失ってしまっているかもしれません。最適な「自分のペース」を見つけ、自由な時間を手に入れるためには「ムダを捨てる」ことが必要です。

●「時間のミニマル化」を実践する70のコツ

本書では、仕事、お金、人間関係、片づけ、育児などのテーマ別に、時間のムダにつながる行動を指摘します。
「社会的成功を目指さない」
「残業代で生活しない」
「SNSを見ない」
「エナジーバンパイアとつきあわない」
「家事を自分だけでやらない」
「疲れ比べをしない」
など70のちょっとしたコツで、「時間のミニマル化」が実践でき、心も体もラクになります。


▶︎若杉アキラさんが受講した講義「自分の本をつくる方法」の詳細はこちら

<追記:発売後の様子>

・発売後、1週間で増刷が決定。
・ダ・ヴィンチニュースにて書評掲載。
親としての青春時代をムダにしない――人生の最適化を目指す『捨てる時間術』
・韓国版など海外からも翻訳オファー
・各書店でベストセラーランキング入り
・全国書店周りを決行

たくさん平積みしてる書店も多く、嬉しい光景

 



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