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クリエイティブチーム日記vol.62 「本当に美味しいビールって?」佐藤大智

毎週火曜日にクリエイティブチームのメンバーが日々のできごとを綴ります。

クリエイティブチーム日記は、毎週火曜日にクリエイティブチームのメンバーが交代で書く日記。今週は佐藤大智です。

クリエイティブチーム日記

好きなビールは何ですか?

僕のビール史の中で衝撃だったことが3回あります。つい最近その3回目の衝撃を受けました。1回目の衝撃は初めて父親のビールを味見したときです。こんなに苦くてマズいものをなんで好き好んでわざわざ飲むのかと驚きました。炭酸ならコーラを飲んだ方がいいし、同じ値段でハーゲンダッツを食べた方が絶対いいのにと思っていました。2回目は、3年前にBREWDOGのPUNK IPAを飲んだときです。なんて華やかな独特の香りで強い苦味なんだと驚きました。アサヒ、キリン、サッポロのいわゆるピルスナーぐらいしかそれまで飲んだことがなかったので、こんなに強烈で美味しいビールもあるのかと、それまで持っていたビール観が揺らぎました。

3回目は、福島 茶坊主 寿巳さんとの出会いです。自分がキュレーターをしている「僕らのビール学」のゲストに来ていただきました。茶坊主さんはビールの注ぎ方で味を操ります。同じ一番絞りでも、僕が注いだ一番絞りと茶坊主さんが注いだ味が別物になってしまいます。同一の缶の中の液体なのに。他にも泡の立て方によっても味を変え、それぞれのビールを数分おくとそれらが大きく異なる味に乖離していきます。そして、グラス。同じ形状のグラスでも普通の厚さのグラスと薄はりのグラスとでも味が変わります。厚みの異なるグラスにスタウト(いわゆる黒ビール)を注いで飲むと濃く重く感じたり、一方で麦茶の様に感じたりもします。

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お店でビールを注文するときをイメージしてみてください。同じ銘柄で生ビール、缶、瓶が選べたらどれを注文しますか?生ビールと注文する人が多いかもしれません。本当に生ビールが美味しいですか?缶、瓶はブリュワリーで中を念入りに洗浄して飲む瞬間まで密閉されていますが、あなたが行っているお店の生ビールが通るホースは…?同じ銘柄で生か瓶か選べるときは、ぜひ飲み比べしてみてください。

でも、なぜ生ビールがあったら、生ビールを選ぶ人が圧倒的に多いのでしょうか?注ぎ方、グラスで味が変わってしまうなら、本当のそのビールの味はなんなのでしょうか?本当に美味しいビールとはなんなのでしょうか?味、香り、のどごしだけでないビールの要素があるのかもしれません。ブリュワリーがこだわって醸造したビールも注ぎ手、飲み手によって価値が決まってします。これはビールに限らず講義作りに当てはめても、教授やテーマをどうおもしろいコンテンツにするかはキュレーターにかかっているということに通じていると思いました。

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ポートランドはBEERVANA=ビール天国と呼ばれるほど、ビールシーンが盛り上がっています。さまざまなスタイルのビールがあり、ワインの樽で寝かせたビールや、チョコレートとレッドペッパーを混ぜたビールなど、思いもよらないビールが存しています。クリエイティビティ溢れる作り手と、それを受け入れられる飲み手がいるからこそ多様性が成り立っているのだと思います。

今までのビール観に囚われずに、どこの誰が作ったかもわからないビールを飲まされるのではなく、自分でビールを作れるという選択肢も選べるように「BREWING CAMP in ポートランド」を企画しました。

好きなビールは何ですか?



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