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被災地の最前線に「場」をつくる|

HEARTQUAKE PROJECT 清田直博さんインタビュー

被災地の最前線に「場」をつくる|HEARTQUAKE PROJECT 清田直博さんインタビュー

清田直博さんは、自由大学の授業「キャンプin仙台」の拠点でもある宮城県仙台市若林区の「HEARTQUAKE HOUSE」を運営しています。「場所をつくる」ことで被災地と関わってきた清田さんに「HEARTQUAKE」の立ち上げと、今後を語っていただきました。

心を震わせる場所を。「HEARTQUAKE」のはじまり

2011年3月11日。震災が起きた後、仙台市荒浜地区に「HEARTQUAKE」が誕生しました。清田さんは「HEARTQUAKE」の立ち上げから深く関わり、今も活動を続けています。

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震災の直後、自由大学の黒崎輝男さんたちと何かしなければと集まりました。そこで現地に「場」を作ることを決めて、3月末にはみんなで場所探しに向かいました。自分の目で現地を見たい、ここで何が起こっていくのか自分の目で確かめたかったんです。

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「HEARTQUAKE」ができた仙台市荒浜地区周辺は、津波で壊滅的な被害をうけた場所の1つです。清田さんたちは、黒崎さんが主催していた自由大学の前身スクーリング・パッドの受講生で仙台出身の生徒さんから遠藤農園さんを紹介していただき、現地を訪ねました。農業を営んでいた遠藤さん宅も津波の被害を受けてしまいガレキが散乱している状況だったそうです。清田さんたちが、家屋と納屋の修復をするということで遠藤さんの土地と建物の一部を共有させてもらい、ベースキャンプ作りが始まりました。

最初は週1で通う日々が続きましたね。被災家屋の2階をお借りして寝袋で寝泊まり。当時はまだ電気も通っていなかったし、真っ暗でした。現地の方々は避難所や仮設住宅にいらっしゃったので、僕以外周辺には誰もいない状態だったんです。

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ベースキャンプ作りの間に現地の方々とネットワークができたこと、宿泊や料理もできる場所が提供できたことで「HEARTQUAKE」はボランティア受け入れの拠点になっていきました。

僕らがボランティアの受け入れをしていた時は、実際の震災が起きたその場所で、震災を体験した方からお話しを聞くという現地の方との交流を意識しました。せっかくこの場所に来たのだから、僕らだけでなく現地の方とここで関わることで感じることを大切にしてもらいたかったんです。

 

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(写真:納屋を改装したカフェスペースを現地作業員の方も利用してくれた)

プロジェクト名の「HEARTQUAKE」は地震(EARTH QUAKE)のHをEの前に移動させ、HEARTに。みんなの叡智(H)を集めて、心を震わせることをやろうという意味が込められています。

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自分自身で経験するということが大切だと思うんです。被災地を自分の目で見る。そして、真っ暗な中で眠るとか、食べ物を自分で育てて食べるとか、自転車で移動するとか、都市のライフラインが途絶えた中で自力で生きていくためにはどうすればよいか、その想像力をはたらかせることもベースキャンプでは伝えたい。

自分で体験することの1つとして、自由大学「キャンプin 仙台」でも農業体験をプログラムの中に組み込んでいます。

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農業にはもともと興味があったのですが、震災をきっかけに食べ物を自ら作れることがより必要だなと感じたんですよね。僕らが何を基盤にして生かされているのか? ということです。震災によって物流がマヒしたり、電気の供給がストップしたり、交通網が乱れたり、僕自身がうすうす感じていた都市社会への疑問が表にでてきたという感じでしょうか。既存の社会システムだけに頼り切ること、単機能化する人間への不安ですね。現地に通うなかで特に印象的だったのが、2011年の夏には被災した荒れ地が一斉に草で覆われて緑に変わったこと。人智の及ばない自然の力強さを強烈に感じました。その力を私たちの生活にもっと活かした方がいいと思っています。

自分で経験することを提供し続けている「HEARTQUAKE」ですが、その役割は自由大学の「キャンプin仙台」や国内のボランティアのための場だけではありません。

2013年からは遠藤農園さんの隣にあった平屋を改修し、新たな拠点で活動をしていますが、東京の人達だけで使うのはもったいない、場所の役割をもっと考えなければと思っていました。震災当初に比べて現地に来るボランティアも減っていたので、Airbnbに登録し、アメリカやスウェーデンなど海外の方にも活用してもらっています。東日本大震災は日本だけでなく世界に大きな影響を与えました。彼らが現地を見て思考を深めるための場という役割もここにはあると思っています。

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国内外、多くの人たちの拠点として、今も変化する被災地を伝えている「HEARTQUAKE」。震災から4年たった今、どのような今後を考えているのでしょう。

「HEART QUAKE」のこれから

詳しくはこれからですが、キャンプin 仙台の大内征さん達と話をしているのは、現地の方たちにもっと使ってもらいたいということです。この場所を作ったことで、いわゆる「ボランティア」以外の被災地とのコミュニケーションを作れたと思っていますね。単発の作業で終わらせるのではなく、一つの場所で現地の人たちと長期的な交流をしていく中で、なにか新しい価値を生みだせれば。特に震災後は仙台都市部の人たちが海岸エリアを訪れる機会が減ったそうなので、彼らとどう関わっていくのかをこれからみんなで考えたいですね。

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現地に入る前は、あれをやろう、これをやろうと様々な計画を考えていたそうですが、実際に現地では実現できなかったことの方が多くあったそうです。

被災地の外で想像することと、現地で感じることのギャップがかなりありました。自分たちがやれることしか、結局できないと実感しましたね。震災から4年、瓦礫もなくなり圃場整備も始まって農家さんたちも復旧していますが、ゼロからプラスアルファにしていく僕らの「復興」はまだまだこれからだと感じています。今年になってHEARTQUAKE HOUSEを訪れる旅行者が増えてきました。今後さらに設備を充実させて、より多くの旅行者に利用してほしいと思っています。宿泊だけでなく、自由大学のような地域のための学びの場にもしていきたいですね。

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【取材後記】「HEARTQUAKE」で清田さんたちが実践しているのは、ゼロから暮らしを作りだすことだと感じました。震災当日、清田さんは東京にいらっしゃったそうですが、何もない震災直後の被災地で寝る・食べる・場所を作る体験は現地の方々と近い体験を自ら実践されています。実体験を越えて、暮らしを作りだした先には何が生まれるのか。仙台の被災地も震災を乗り越えて新しい生活が始まっています。「HEARTQUAKE」の今後が楽しみです。

(インタビュー卒業生: #鈴木宏美

【関連サイト】 HEARTQUAKE HOUSEを利用したい人はこちら↓  https://www.airbnb.jp/rooms/1175223

キャンプin仙台https://freedom-univ.com/lecture/tag/camp_in_sendai

 



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