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クリエイティブチーム日記vol.70 「美しいカタチと思考」岩井謙介

毎週火曜日にクリエイティブチームのメンバーが日々のできごとを綴ります

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クリエイティブチーム日記は、毎週火曜日にクリエイティブチームのメンバーが交代で書く日記。今週は岩井謙介です。

人が美しいと判断するのは、頭とココロを使って判断するようです。頭では、物体が目に入った時に、中心を軸にして線対称のフォルムであることが認識できた時に美しいものと判断できるようです。では、ココロはというと、その逆でアシンメトリー的な部分に惹かれていくそうです。例えば、左右非対称の釉薬の滴や色合いなどの、唯一無二な部分です。

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そんな理論を知ってか知らずか、1960年代のミッドセンチュリー期にデンマークのフリッツハンセン社のデザイナーであったピート・ハインが作った面白いものをご紹介します。彼をデザイナーと紹介したものの、詩人・哲学者・数学者という肩書きのほうがふさわしい人物だそうです。彼は、その類稀なる哲学と数学を用いてスウェーデンの公共広場を「スーパー楕円」というカタチにデザインして一躍有名になりました。その後、1965年に1.5インチの高さのスーパー楕円を立体化したかたまりを作り、それを「スーパーエッグ」と命名しました。

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(出所:http://elephant-life.shop-pro.jp/?pid=11976753)

 

この「スーパーエッグ」は横向きでも縦向きでも自立することができるカタチなのだそう。この特性を活かし、縦を「はい」横を「いいえ」としておけば、酒や博打の際に“神の御告げ”としてゲームの運命を決める道具として使うことができました。けれど人間のココロは綺麗なカタチだけには惹かれないもの。人々はこの機能的な用途として無意味なものに、価値を見出せず、僅か4年間のみの製造でその歴史に幕をとじたそうです。もしここにココロを掴むためのデザインがあしらわれていたらと考えるとなんとも惜しい気もしますが、ある平面的な考えをそれぞれのレイヤーにプロットされた点と点を結ぶように渦を巻き、立体にしていくというピート・ハインの「スーパーエッグ」を作り出すまでのプロセスは、実は人間の思考そのものとも言えるのでしょう。

そうそう、ココロを掴むアシンメトリーな要素もお忘れなく。



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