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誰でも参加できる、自由大学の講義づくり【その1】

新講義が生まれる場「レクチャープランニングコンテスト」

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自由大学には誰でも新講義を提案できる仕組みがあります。それが「レクチャープランニングコンテスト」。サイトからエントリーすれば、誰でも講義づくりにチャレンジできる開かれたステージです。自由大学では、学校の根幹をなす講義づくりさえもオープン。これまで、このコンテストから、ユニークな新講義が次々と生まれてきました。

そこで、レクチャープランニングコンテスト(以下レクプラ)からどんなプロセスを経て新講義が生まれるのか、プレゼンテーションから講義がリリースされるまでを3回シリーズでレポートします。

まずはエントリー
エントリーはサイトからシートをダウンロードして必要事項を書き込むだけ。応募者の中からクリエイティブチーム(自由大学運営チーム)が選考し、毎月3名がコンテストに出場できます。「どのくらい熱意があるか、講義の企画がプレゼンターと整合性があるか、本質に根差しているか、選考の基準です。」と学長の岡島さん。コンテストでは参加者の投票で順位が決まりますが、その場で1位にならなくても、講義化されることがあるそう。まずはエントリー、我こそはという方は、チャレンジしてみてはいかがでしょう。

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いよいよ第72回レクプラ

この日は馬原雲母さんの「活版印刷で超高級名刺をつくる」三浦豊さん「森の愛で方」田中稔彦さん「自由に走るための航海デザイン術」という3つのプレゼンテーションが行われました。7分のプレゼンテーションはパワーポイントの他、イラストや映像、口頭説明だけでもOK、形式は問いません。その後8分の質疑応答があり、最終的にその日のベストを投票で決めるスタイル。(当日の様子はこちら

第72回レクプラのチャンピオンは「森の愛で方」でしたが、三者とも興味深い内容で熱意もあり、全て講義化を検討することになったようです(そういうこともあるのです!)

今回はそのうちの一つ、田中稔彦さんの「自由に走るための航海デザイン術」に注目しましょう。

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帆船のクルージングツアーをデザインする講義
田中さんはスピリットオブセイラーズという帆船航海をする一般社団法人を立ち上げたばかり。エンジンではなく風を推進力とする帆船での航海を活動の中心におく団体です。それまで海に出たことのない一般の人が帆船に乗って楽しめる仕組みを作っていくのがメインの活動だそう。2015年12月から活動をはじめ半年で8回の帆船イベントを企画、60名が湾内帆船などを体験し、女性の乗船者も多数あり、新しいアクティビティとしての評判は上々です。

プレゼンテーションは、「もし1日自由に帆船を使えるとしたら、どういう1日にしますか」という問いから始まり、講義は海が好きな人、海賊好きなワンピースファンの人だけではなく、帆船を見たことがない人でも、むしろ縁がなかったからこそ思いつく、新視点の帆船ツアーの企画をみんなで考えることが目標です。

「航海企画を講義として提案しようと思ったのは、我々自身がやっていて楽しい作業だからです。航海とは物語をもったアクティビティです。船を知らなくても、各々が持つ知識や経験、嗜好などを帆船と組み合わせたら、船乗りが思いつかない、新しい航海プランが生まれるのではないでしょうか。」田中さんの熱弁が続きます。

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海に出るための専門知識も学べる
講義では航海に最低限必要な知識も学べます。例えば海図。初めて見る人の方が多いであろう海図の読み方、情報の取り方を学ぶなど、自分たちで海に出る企画を考えるための知見を得て、冒険の計画を練るのは楽しいに違いありません。もちろん計画を立てたら、実行。つまり帆船を操舵し、海に出られるのです。

帆船航海は風の力を頼りにします。自然の力をダイレクトに感じる経験、うまくいかないことも多々あり、仲間と団結しないとできないことでもあります。失敗も含め、学ぶことが多いと思います。

15人ないし20人の仲間と連携をして、海に出て船を動かす、かつ何かテーマをもった活動をする。そして航海が終わったあとは、きちんとフィードバックをして、実体験の確認をするところまでが講義の全容だそうです。

企画実現の経験が受講生の糧になれば成功
スピリットオブセイラーズは自前でもイベントやワークショップを実施できるのに、なぜ自由大学で講義化したいかという理由ですが、田中さん自身がいくつか自由大学の講義を受講しながら、迷いを振り切り、やりたかったことを事業としてスタートするに至ったこと。集まる受講生のポテンシャルの高さを身をもって感じていて、自分自身にとっても面白い体験になるだろうと期待を持っているということが理由なのだそう。ただ帆船や海について知ったり、クルーズするということだけではなく、企画を立て、机上の空論に終わらせず、アクティビティに繋げていく体験を通して、自分のように夢や計画を実行するための力になれば嬉しい、という思いがあるそうです。

…さて次回はレクプラを通過したプランが実際の講義として立ち上がるまでの、切磋琢磨の企画会議を実況します。越えなければいけないハードルは何か?そして田中さんの譲れない線はどこか、運営チーム、キュレーターとの真剣勝負が展開!ご期待ください。

誰でも参加できる、自由大学の講義づくり【その2】へ続く

(テキスト・写真:ORDINARY

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