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クリエイティブチーム日記vol.46「Reborn 何を価値として残すか」花村えみ

毎週火曜日にクリエイティブチームのメンバーが日々のできごとを綴ります

クリエイティブチーム日記

クリエイティブチーム日記は、毎週火曜日にクリエイティブチームのメンバーが交代で書く日記。今週は、花村えみです。

週末に小松の滝ケ原というエリアにある、古民家に滞在しにいきました。築100年以上の家屋をヒューマンタッチで生まれ変わらせた美しい家です。手を入れすぎず、古い物が居心地よさそうに残されているところが、完璧にリニューアルしたものとは違う隙を生んでいました。新しい物や海外製の家具を取り入れることで和に固執しすぎないところも、私たちの都市的な生活との隔絶ではなく、日常の延長にある休息地という設定になっています。

いま日本には空き家が本当に増えていますね。私の実家 信州上田も新幹線が停まる&歴史女子が殺到する土地でありながら、市街地から数分歩くと空き家がとても目立ちます。他人事ではなく、私の生家もいまは誰も住んでいません。もはや処分するしかないのではないか、と考える親世代。どうにか面白い事があの家でできないか、と悶々とする子世代。自分があの家を生まれ変わらせられるか、やるなら一体どんな家にしたいだろうか、という目線で小松の家を見ていました。

古い家をrebornさせる方法については様々な考え方があります。
朽ちたところを新しいものに替える、建材だけ元のものを使い建て直す。最近の古民家再生の例を見てみると、あたかも古民家風に刷新されてしまう例が多いように思いますが、再び価値を生み出すためには、以前使っていた物を如何にうまく活かすかにエネルギーを注いだほうが痛快だなと感じるようになりました。そのためにも家のどこを価値として残すかを見極る力こそが必要になります。

建材の中には取り替える必要がある物もあります。その際 新品の建材に手を出すのではなく、同じ地元のものを使って再生させるのも一つの手でしょう。地元の人との話から近くの家の建て壊し情報を聞けることがあったりします。そこで出る古材はすでに廃棄物。話をしてみると「持っていってよ!」という事になったりもします。地域の人たちが紡いできた歴史を家の素材で受け継ぐ喜びがあります。新しい素材では決して出すことはできない物語ある鈍い輝きがたまりません。

いま空き家問題を抱えている人はすくなくないでしょう。さら地にしてしまうのか、生き返らせてみるか。私たちの決断が地域の風景を変えていきそうな気がしています。

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黒い古材の空間をアンニュイな雰囲気に変えているのはルイスポールセン社のライト。
床材も新材を使うのではなく、ヒノキの古材を敷き詰めている。これからの季節はひんやりと冷たい肌触りが嬉しい。



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