ブログ

クリエイティブチーム日記vol.44「ローカルの可能性」増田早希子

毎週火曜日にクリエイティブチームのメンバーが日々のできごとを綴ります

クリエイティブチーム日記

クリエイティブチーム日記は、毎週火曜日にクリエイティブチームのメンバーが交代で書く日記。今週は、増田早希子です。

GWは地元の静岡に帰省しました。

私にとって静岡は、家族や昔からの友人がいるほっとできる場所。でも静岡に住んでいた頃は、何とも言えない閉塞感も感じていました。その閉塞感の正体は、自由な時間のすべてが受け身だったからだと思います。

休日は地元の友人たちと毎週のように同じような場所に集まって近況を報告し合って、たまに静岡駅やショッピングモールへ買い物へ行ったり、映画を見たり。連休にはみんなで車で遠出をしたり、旅行に行ったり。そんな日々は適度に心地よく、楽しいといえば楽しかったけれど、当時はその閉塞感の正体はつかめないままでした。

それから約5年が経ち、今は東京で働いていて、東京の中でもとてもアンテナが高い場所にいると思います。そんな場所にいると、自然と面白いコト・モノ・人の情報が入ってくるもの。今回の帰省では自分の中の情報をもとに、地元で面白いことをしている人や場所へと足を運んでみました。

緑茶文化が根付く静岡で、20年以上コーヒーを生業にしている「IFNi coffee」の松葉さん。IFNi coffeeのコーヒーシロップは、都内の有名セレクトショップでも多数取り扱われている。(静岡市)

s_IMG_8908

廃校になった小学校の体育館の床材や木材の端材など、本来であれば捨てられてしまうものから新たなプロダクトを生み出している覚上さんがオーナーを務めるセレクトショップ「CO.NNEC.T」。(藤枝市)

築50年以上経つ街中のビルをリノベーションし、創造力豊かなクリエイターのための「ショップ&ワーキングスペース」KAGIYAビル。

築50年以上経つ街中のビルをリノベーションし、創造力豊かなクリエイターのための「ショップ&ワーキングスペース」に生まれ変わったKAGIYAビル。(浜松市)

「地元の若者がアートやカルチャーに触れられる場所を作りたい」と、浜松市出身の写真家・若木信吾さんがKAGIYAビル内にオープンした本屋「BOOKS AND PRINTS」。(浜松市)

お客さんでいっぱいの「手打ち蕎麦naru」。店主の石田さんは元アパレルのバイヤー。「ゴリさん」の愛称で親しまれ、浜松の街を盛り上げるキーパーソン的存在。もちろんお蕎麦も超おいしい。(浜松市)

s_IMG_8941

s_IMG_8948

昨年「Creative Camp in Portland」に参加してくれたパティシエの田中成美さんのご実家。成美さんはここを工房にし、お母さんの玲子さんは自宅の敷地で小さな薔薇園「R’s」を営み、おばあ様は蜂蜜の生産をしている。3代に渡ってこの土地の自然の恵みから生業を生み出している。(浜松市)

他にも行きたいところがいろいろありましたが、今回はこんなところ。

何もないと思っていた地元にこんなに面白い場所がたくさんあったのか!ということに驚きました。

面白いのは、「何もない」と思っていた頃の自分にとってこの街は本当に「何もなかった」し、「面白いことがある」と思っている今の自分にとっては実際に「面白い場所」だったんです。同じ街でも、自分の視点が変わればその街はまったく違う場所になることに気付きました。

私は、地方にはもっともっとたくさんの可能性があると思っています。地方だからといって東京を追いかけて東京のコピーのような街になるのではなく、その土地にあるものを活かしてできることや仕事がたくさんあるはず。

それを実現するには、そこに住む人が自分の好きなことや地元にあるものから、どんなに小さくてもいいから「何か」を生み出すことができれば、自然と個性豊かな場所ができて、もっと面白い街になっていくのではないでしょうか。100%受け身ではなく、一人一人が生産者になることが、かつて自分が感じていた閉塞感を解消する鍵になるのではないかと思っています。

今は東京でたくさんのことを吸収しているので、いつかそれを自分の地元に還元できたらいいなあ、と思い描くここ最近です。



関連するブログ