“神社は、この国の先人との対話の場” 神社を知ることで日本を知る
神社は、いにしえの先人たち、言うなればわたしたちの大先輩たちが思いを馳せた場所。誰にとっても小さな頃から慣れ親しんだ場所は、そんな先人との対話が可能な空間だと考えています。初回講義では、日本の神さまや歴史的背景、先人との対話といったことなどをテーマに、その楽しみ方をシェアしつつ、奥深い神社の魅力をご紹介します。神社を知ることは日本を知ること。知ってるようで知らないこの国の魅力を一緒に学んでいきましょう。
古くて新しい、オーガニック神社ライフのススメ
日本全国に8万社以上もあるという神社。きっとみなさんの生活範囲のそこかしこに神様を祀り、その土地を守ってくださる神社が存在するに違いないと思います。小さなころ、神社で遊んだ記憶のある方も多いのではないでしょうか? どこにでもある、昔からある、それは僕らの暮らしの中に当たり前に存在する祈りの地。でもその割にはそこで祀られてきた神様のことや、なぜそこで祀られ始めたのかという本質的なことに思いを馳せる方は意外と少ない。そもそも神社とは建物のことを表すのではなく、その土地の神様のおわす杜(もり)のことを言い表し、ご利益やご利益をいただく場所ではなく、日々の感謝と自身の誓いを立てる場所。今講義では僕らの暮らしの中にある神社や神様に思いを馳せながら、日本人のルーツや生活習慣を考えます。旅先で、故郷で、いつもの町で・・・日本中にある神社や自然、祭りの魅力を探り、何世紀にも渡って続けられてきた信仰の魅力を紐解いていきます。
令和の新時代の到来とともに、いまこそ日本の神々への思いを新たにしたい。昨今の日本伝統美術やその自然観への注目とともに、日本にすむ私たちこそがその魅力を認識し、パワースポットという言葉では括りきれない祈りの地への感謝と畏怖をみなさんとともに考えていきたいと思います。多くの人々が充分な基礎知識も無いまま、なんとなく有名神社を訪ね、なんとなく「癒し」を感じ、本来の魅力の一部にしか気づいていないなんて、本当にもったいないのです。わたしたちは生きるために、生活基盤を整える要素として八百万の神を自然の中に見いだし、日本特有の信仰を形づくりました。神社とはその象徴であり、いにしえの先人との会話のできる空間なのではないかと? 講義では、神社が誕生する以前の歴史的背景や神話、先人の込めた思いを想像しながら立体的に神社を捉えていきます。
鎮守の森に囲まれた神社は、たとえそれが都市にあっても、自然との繋がりを体感できる、みんなに開かれた空間です。もっと気軽に、例えばハイキング感覚で何度も足を運ぶうちに、「癒し」以上の何かとの出会いがあるはずです。神社と神々が紡いできた物語は、季節の行事や慣習として私たちの生活の中に溶け込んでいます。それは普遍的で本質的な価値であり、世界中で求められている新たなライフスタイルにも通じるものなのです。日本ならではの古くて新しい価値観に気づき、毎日の暮らしに程よく取り入れていくために。本講義では、神社にまつわる教養や知識だけでなく、その先にあるライフスタイルを提案します。
海外放浪の旅から帰国し、好奇心を頼りに日本全国のいろいろな神社を巡った結果、通算参拝数1万回という中村さん。神社好きが高じて神社関連の本を何冊も出版されています。その第一弾として2011年に『JINJA BOOK―神社本(エスプレ)』を出版し、その発展として生まれたのがこの「神社学」です。この講義では、一生かけても調べきれないほど深い神社の魅力をみんなで存分にシェアし、日本の歴史や自然、民族性などを学びながら、実際に神社へ足を運んでみたいと思います。
「僕は日本人なんだ」
外から眺めることで日本という国の魅力にようやく気がついた僕は、帰国後、ひとりで日本中を巡ることにした。すると、どんな地方・村・集落にも、当然のようにいくつもの神社があることに気がついた。驚いたのは、その多さにもさることながら、「その神社に誰が祀られているのか?」「どうしてそこに祀られるようになったのか?」という、本来何よりも大切な理由を、多くの人がまったく気にしていないことだった。
日本津々浦々、なぜ8万もの神社が存在するのか?
それぞれどのような神様を祀り、どのような伝承があるのか?あまりに身近過ぎて疑問に思うこともなかった神社についての基礎知識を意識するだけで、見るもの、感じるものが全然違ってくる。それまで漠然としていた「八百万の神々」を感じ、自然と共存する日本人ならではの感覚も、はじめて実感することができたと思う。当然のように存在する神社に興味を持つことは、当たり前に過ぎていく毎日に感謝すること。それが僕にとっての「楽しむ」ことになっていった。(JINJA BOOK跋文より抜粋)
(第39期募集開始日:2022年8月29日)
第1回
神社は、いにしえの先人たち、言うなればわたしたちの大先輩たちが思いを馳せた場所。誰にとっても小さな頃から慣れ親しんだ場所は、そんな先人との対話が可能な空間だと考えています。初回講義では、日本の神さまや歴史的背景、先人との対話といったことなどをテーマに、その楽しみ方をシェアしつつ、奥深い神社の魅力をご紹介します。神社を知ることは日本を知ること。知ってるようで知らないこの国の魅力を一緒に学んでいきましょう。
第2回
世界各地、神話を持つ国はたくさんありますが、その中でもっとも長寿な国が私たちの住むこの日本なのです。神さまから始まるひとつの王朝がいまもって続く稀有な国。そこで古来より人々の心の支えになってきた神社へ興味を持つと、歴史は紡がれ日本の神さまの物語への繋がっていきます。“古事記”や“日本書紀”をはじめとした古文書が伝える物語が、現代のわたしたちに何を教えてくれるのか? 神話と神社の関係を紐解きながら、想像力豊かに講義を展開します。
第3回
好きな神社、気になる神社ができたならば、そこで祀られている神さまのことや、何故そこに祀られたのかといった本質的なところまでの調べ方を学びます。自然崇拝から生まれた日本の神さまが、なぜ街中に、いつからお祀りされているのか? 神社の系統はなぜ生まれたのか? 神社を知ることはその土地が歩んできた歴史を知ることになります。一歩踏み込んだ“神社好き”への第一歩を踏み出しましょう。
〈調べるポイント〉
・創建の由来
・祭神について
・いつ頃から
・土地との関連性
・関連書籍や関連情報 など。
第4回
第3回講義を受け、実際に都内の神社へFWにでかけてみましょう。お参りする先のことを各自で調べ当日を迎え、皆さんの知識を共有します。東京中心部でありながらも、自然崇拝の色を濃く守っている古社「代々木八幡宮」へ伺います。どうしてここに? なぜこの神さまがお祀りされたのだろう? この土地で暮らしてきた先人たちの想いを想像しながら、実地研究に出かけましょう。
※交通費は各自負担となります。
第5回
最終回は、縄文時代より祈りの山として自然崇拝が色濃く残る教授オススメの山へと向かい【日本人ならではの山の神さまとの関わり方】をめいっぱいココロとカラダで体感し、想像力豊かに学んでいただきます。いにしえの先人たちの足跡をたどり、一歩一歩とあゆみを進める中で、目の前の大自然との対話を意識してみましょう。そこには自然を畏れ敬い、そして感謝する「祈り」の原点との出会いがあるかもしれません。
※交通費は各自負担となります。
※訪問先:妙義神社を予定しています。
(天候不良の場合は、行き先変更になる場合があります。)
※移動時間目安:上野駅から電車で2時間程度の場所
※持ち物:登山に適した服装と荷物と日本の神さまへの想い。
(靴について:登山靴をおすすめします。)