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大野佳祐(おおの・けいすけ)|FLY_004

公教育を舞台にクリエイティビティの種を蒔く

大野佳祐(おおの・けいすけ|フリーランス)1979年生まれ。「キュレーション学(初級)、(中級)」、「自分の本をつくる方法」を受講。国や世代を超えた「学びの場」を世の中にもっと仕掛ける、みたいなことが仕事。バングラデシュに小学校をつくったり、いろんな世代にワークショップを展開したり。これから島根県の離島・海士町に移住。そんな佳祐さんに訪れた突然の転機を語って頂きます。


 

Q.自由大学を知った経緯(いきさつ)は?

5年くらい前だったかな。当時は大学で働いていて、いろんな制約がありすぎて、世界で一番自由な大学ってどこなんだろうと「大学 自由」で検索をしたら、自由大学が出てきて。聞いたことないなと思って見てみたら、学びの場をつくる「キュレーション学(初級)」があったから、自分の方向性と一致するなと思って、行ったの。

Q.自由大学で得たことは?

やっぱり、人だと思うな。初級に続けて、「キュレーション学(中級)」の2期も受けたんだけど、「東京・日帰り登山ライフ」の大内征さんもそこで出会ったし、「地球と遊ぶサバイバル」の高澤祐平さん、「ニューメディアラボ」の高橋宏文さんもそう。面白い人たちがすごくたくさんいたんだよね。

仕事を辞める時に「大学生より下の世代の学びに関わっていきたい」っていう話をしたら、征さんが「年齢も近いし、塚越っていう面白いやつがいるよ」って繋げてくれて、子ども原っぱ大学のつかちゃん(塚越暁さん)とも仲良くなったし。

Q.今は、子どもの学びに繋がる活動をしていますか?

7月に退職した後、10回くらい子ども向けのワークショップをやったんだよね。「遊墨民になる」の日置恵さんとも、でかい模造紙に自由に絵を描くワークショップをやってみたり。クリエイティブな子どもが増えたらいいなと思っていたんだよね。

でも、やってみてわかったのは、その日だけのイベントじゃ意味がないってことだった。もっと公の場で、継続して子どもに関われないかなと思ったんだ。

Q.公でクリエイティブな教育、実現したら夢の広がる話ですね。

そうなんだよ。それで、いろんな人に話を聞きに行く中で、尊敬する先輩のいる島根県の離島・海士町にも行って、そんな話をしたんだよね。

話は逸れるけど、海士町って島に高校が1校しかないんだよ。でもその高校では、「将来、自分はどういう仕事に就きたいのか」、「どう在りたいのか」なんていう変わった授業をやっているんだよね。各界の著名人も続々訪れたりしていて、直接話ができる環境があったり。

それで、その先輩のおかげで、町長や高校の校長先生と話す機会を持つことができて、話していたら、「あなたのやろうとしていることは、すごく意味がある」って言ってもらえて。で、「海士町に来てよ」、「ぜひ、この島でやってみないか?」って言われたんだよね。

Q.海士町に行くんですか!?

この12月から海士町に行く。今、高校でやっている取り組みを、将来的には中学校や小学校でもやっていきたいっていうことで、俺はきっとそれを担当する役目になるんだと思う。

海士町はいい人材が集まっているし、公の教育が挑戦しているっていう環境もまたいいし、既にはじめているっていう“旗”が立っている地域で自分も実践者として参画できるから、本当にいい話だなって思ってるんだ。

Q.何と言いますか、佳祐さんはラッキーですね。

そうそう。俺、スーパーラッキーなのよ、基本的に。でも、助っ人外国人じゃないけどさ、「あいつ、ホームラン打つらしいぜ」みたいな感じで行くわけだから緊張感はあるよね。

最初はバットを短く持って、ファウルでもいいから当てていきたい。東京でしか育ったことないしさ、地方で生活をしたこともない。だから、まずは海士町の人たちをちゃんとリスペクトして、島に馴染んでいくことから始めていきたいと思っているよ。

自分で勝手に決めているんだけど、寿命は70歳くらいだと思っていて。今はその境目の35歳だから、これからは自分の信じた道を全力で進んでいきたい。

 

【取材後記】佳祐さんは理路整然ときっちりしゃべる。会話の合間に挟んでくれる、笑いのポイントに(あえて書くなら)騙されないで耳を澄ましていると、誠実な気持ちがすっと入ってくる、おしゃべりの上手な人。上手? 小手先ではなく、自分の想いをちゃんと言葉に託すことができるから、縁が繋がっていくんだろうなって思いました。ぼくも自分のやりたいことを、ストレスフリーで話せるようになりたい。

[関連サイト]
keisukeohno.blog

(取材・文: #新井優佑


 

FLY(フライ)は、自由大学の卒業生が登場するインタビューコーナー。自由大学に通い、新しく見つけた自分の姿。卒業して、踏み出した一歩は小さくても確かな手応えをもって、新しい日常の扉を押し広げます。卒業生&受講生が体験した、自分らしい転換期の話をお届けします。



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