クリエイティブチーム日記は、毎週火曜日にクリエイティブチームのメンバーが交代で書く日記。今週は小酒ちひろ@NYです。
パッと世界が開ける瞬間。そんな瞬間を自分が体験するのはもちろんのこと、隣の人にそんな瞬間が訪れた場に立ち会うこと。それもまた自分にとって大きな気づきになる。自由大学の学びと子育ての面白さの共通点はそんなところにあったりする。娘18か月。1歳になったときには「歩く」というわかりやすい大イベントがあったわけですが、この「知らない扉を開ける瞬間」ということに関しては18か月の今の方がどんどんドアを叩きまくっているという気がします。
NYキッズたちの最もうらやましいことの1つは、ミュージアムやライブ、その他いろんな施設が世界レベルですぐ身近にあること。子供が様々なことを理解できるようになり、実際に出かけてみるとその魅力を実感せずにはいられない。何せ大人だって楽しいのだから。
最近行ったところでは、たとえば動物園。NYで最大、世界でも有数の動物園がBronx zoo。なんと650種類もの動物が展示されている。ここは日本人から見るとちょっとしたサファリパークのよう。ライオンを含むアフリカコーナーの動物たちは、檻ではなくて屋外の草や木の生えた広い土地の中にいます。子供にとっては歩いて見て回るのは大変だけど、作られたものとはいえ、自然の中にいる動物の様子は檻の中の動物を観察するよりずっと面白い。それから自然史博物館。怖くて嫌いになっちゃうかなと思ったけど、帰ってから娘はずっと「ダイナソー、ワオー!」を連呼している。
動物園も自然史博物館も、行った後にはますます関連する絵本を見入るようになった。好奇心と体験がつながって、手に取る本が変わる。動物の真似をするようになる。すると遊びも変わる。そしてまた新しい好奇心が生まれる。やりたいことしかやらない。素直な行動の連続が彼女の興味を深めていく。
ところで自然史博物館では、ストローラーを押して小さな子供たちも一緒に楽しむ姿が目立った。うちみたいな1歳児も親もわくわくしながら恐竜を見上げて、時には大人と子供が頭を寄せ合って真剣に解説を読んでいたりする。何気ない風景だけど、学びに年齢はないんだなって、学びの原点を見るかのような光景だった。
これは自然史博物館に限った光景ではなくて、美術館に行ってもそう。ミュージアムが大人だけのものではなくて、ファミリーフレンドリーで大人から子供まで楽しめるというのは素晴らしいと思う。ストローラーを押していても誰も嫌な顔もしない。グッゲンハイム美術館には「ストローラーツアー」なんていう、ベビーと保護者向けプログラムもあるぐらいだ。自然史博物館の教育プログラムも2歳児から参加できるものもあったりする。なんともうらやましい。
ミュージアムで刺激を受けた子からまた私も刺激を受ける。パッと目の前が開けていく学びの連鎖にも年齢は関係ない。日本のミュージアムもまた、そんな学びの連鎖が起きる場であってほしい。