講義づくりに欠かせないキュレーターの仕事
自由大学の講義づくりには企画から講義期間中を通して、“学びの状況”をつくるキュレーターの存在が欠かせません。自由大学の学びのテーマである「study experience」を実践するために、座学に終わらず、受講生の好奇心を刺激し、主体的な体験から得る学びを組み込んだプログラムを構築することが役割。また当日の講義の進行や、受講生窓口などの現場ディレクター的な役割も担います。また、レクチャープランニングコンテストから出た講義案を実現するために、自由大学のクリエイティブチームが中心となり担当キュレーターを立てて、講義プランを練るシステムになっています。実際彼らがどんなことを考え仕事をしているかをこの夏開講の人気講義「ファーマーズマーケットをつくろう」を通してレポートします。
「ファーマーズマーケットをつくろう」講義スタート
7月初旬新講義「ファーマーズマーケットをつくろう」がスタートしました。これは自由大学とFarmer`s Market@UNU を運営する「男子野菜部」がキュレーションをしたコラボ講義です。青山を一事例として考えながら、日本のファーマーズマーケットの現在や未来の在り方について考える講義になっています。初日はマーケットの設営に参加する体験プログラム、準備を手伝いつつマーケットの様子を見たり、出店者と話したりする現場体験が主な内容でした。
座学の前に体験、参加者はまず手を動かし、汗を流す
朝7時から集まった受講者は実際に市場をセッティング作業開始。通常はこの日の1/3のマンパワーでテント張や店舗用資材の配布、音響や本部ブースの設置や催事の準備、キッチンカ―の誘導や飲食ブースの設置、さらに出展者の受け入れまでこなしているということを知り、よりリアルな現場を知ることができたのではないでしょうか。参加者の感想もキュレーターの狙い通り、これまでは市場利用者としてしか知らなかったマーケットの内情がわかり新鮮だったというものが多く、まずはいいスタートを切りました。
男子野菜部 田中佑資さん
「ファーマーズマーケットをつくろう」キュレーター
「立ち上げから運営してきたファーマーズマーケットについて、これまで感覚的に感じていたことを、立ち止まって見つめ直したいということから講義を企画しました。事業として礎を固めるというか、掘り下げて、これはどういうムーブメントなのか、これからどうしていくのかを考える時がきていると感じています。次世代のマーケットの在り方を、いろいろな角度から検証するためにも、様々なバックグラウンドの人の意見やアイデアを集めて、僕たちも含めて学び合うことができたらいいと考えています。確かに独立採算は取れているし、人も来ていて賑わっていますが、青山ファーマーズマーケットはその中の一例にすぎません。他にもやり方があるだろうし、このスタイルで完成しているとは思わないし、今のスタイルを各地に拡散させたいとか、考えているわけでもないんです。まず初日に設営準備などを通して、リアルな今のマーケットを見ていただいたのもそのためです。
正解を教えるのではなく、どうしたら、もっと面白くなるのか、今後こういったプロジェクトを通して社会にどう働きかけるのかを、一緒に考えたい。世界の事例を見たり、僕らのやり方、成功失敗をシェアすることで、前に進みたい。面白い人を仲間にして、お互いに吸収しようということです。その結果予想外の計画が進んだり、何か新しい流れが生まれたらいいですね。僕らも楽しみにしています。」
写真でふりかえる現場体験&フィールドワーク
(テキスト、構成、写真: ORDINARY)