クリエイティブチーム日記は、毎週火曜日にクリエイティブチームのメンバーが交代で書く日記。今週は、和泉里佳です。
カオスと多様性と家族と仕事
新しい仕事をつくろう。
これは自由大学が開校以来ずっと大切にしていることで、これまでもいろいろな講義やイベントをやってきたのですが、去年から新しくはじめたのは、国と連動してやっていくプログラム。中小企業庁の委託プログラムとして開催している「自由大学クリエイティブ創業スクール」のことを今週は書いてみようと思います。
女性起業家コースは、こどもと同じ空間で起業を学び考えるクラス。お母さんも赤ちゃんもこどものいない人も、男も女もいる空間。この一見アンバランスに見える感じ、でもよく考えると人間のそもそもの状況や社会に近いのかも。新しい仕事をつくっていこうと考えるとき、まず小さくはじめるスモールビジネスや小商いというのが私たちらしい。そんな暮らしの近くではじめる仕事には、こどもがいるのが自然で、きっとこれは未来の当たり前。カオスと多様性。大人もみんな床に座って自由にやってる感じも、こどもの声がしようが耳を澄まして入り込む前のめり集中力も、学ぶ状況ごと固定概念ぶち壊し系。混ざったところにいろいろな発見があってビジネスチャンスやヒントが見えたり、ポジティブなアイデアが生まれてくるというのは去年から実証済み。環境的な工夫ももちろんしてますが、一緒に自分たちの学びの場をつくっていこうという参加者の気持ちがいい空気をつくっています。
子連れクラス、そもそも私自身が去年生後6ヶ月の娘と一緒にできるスタイルを模索したのが始まりでした。やる側も子連れです、はい。ドキドキしながら終えた初日、家に帰ってはじめてハイハイが進んだ(後ろに!ズリっと)娘は3ヶ月の期間中で高速ハイハイをマスターし縦横無尽に教室内を冒険しまくり。何より嬉しそうな顔をしていた様子に、こどもにとっても良い刺激がたくさんあったことなど身を以て実験したのでありました。1歳半になった今年は走り回ったりお絵描きしたりおにぎりにかぶりついたりしております。赤ちゃんいる人にとってはこどもを連れたままで大人たちと未来の話ができる場がうれしく、ベテラン母さんの知恵と経験が力になり、普段こどもと関わりない人にとっても優しく癒される気づきの多い場になってるって、1粒で2度美味しいどころじゃないですね。
起業を考えることはもちろん、会社の育休中に働き方全体を見直して会社の中や外で新しいコトをはじめる人もいるし、平日午前に参加している自由な会社員はさらに柔軟に社内で新規事業を始めたりして、起業だけじゃないいろいろな働き方や仕事のつくり方の多様性も生まれている状況。
第二創業コースは、家業を継ぐ人のためのクラス。お父さんの会社を継ぐべく一緒に働いている人、これから地元に帰ろうとしている人、東京で働きながら家業をバックアップしたり新規事業を興そうと企てる人、いろいろな人がいます。人の数だけ家族のドラマあり。家業を継ぐというテーマは面白く、これからの産業や日本の未来・働き方を考えていくことに繋がっていくような気がしています。去年はこのコースがスクール10選にも選ばれ望月さんが代表でスピーチしてくれました。卒業生が全国の創業スクールのナイス事例として創業者インタビューもされているのでよかったらみてくださいね。(二人とも数年前に自由大学の講義をとってくれていた人で、ここで再会できてさらにこんなに活躍してくれてうれしいー)
事業を通じで町全体に活気を生み出したい(武州屋 / 佐野 信)
小さい八百屋だからこそできることがある(西喜商店 / 近藤貴馬)
で、なんでそもそもこれやってるの?と言うと、、
やりたい方向性が同じなら、この助成金でいつもできないことにチャレンジしてもいいかもねと、これまで企業スポンサーも特になくインディペンデントにやってきた私たちが勢いでエントリー。こどもと一緒に学ぶとか、家業を継ぐことにフォーカスするとか、普段の自由大学のクラウドファンディング型のシステムなら成り立たないかもしれない挑戦をせっかくだからやってみようと。国としても初めてのプロジェクトに、自由大学としても初めての助成金仕事。
そして私の仕事は、公募書類を読み込んでエントリーの書類を作成するところからスタート。3つのコースのカリキュラムをつくって講師を当て込んだり、予算を組んだり、スクール運営全体のフローを設計。誰と一緒にこのプロジェクトをやっていこうか考えて、結果ベーシックコースを復興学の大内征さん、第二創業コースを社内起業学の望月さん、女性コースを脱藩学の跡部さんと一緒に進めることに。採択されたら、具体的に詳細つめていきます。採択者説明会に行って大きなファイルを持ち帰り、契約書のチェックや、ウェブ制作にスクール広報を段取って、申込受付に振込案内・事務連絡。会場手配に、体験コース。いざ開校したら、自分も出るし、すべて滞りなく開催されるようにスタッフも手配して、配られた分厚いマニュアル通りに経費精算や実施報告書をあれこれまとめて、もらった大きなファイルが紙でいっぱいになるくらい書類をつくったら、送って確認審査を受け、年度内入金を待つ。
助成金事業って、兎に角書類が多くて、細かい規則が多くて、儲かる訳でもないので、はっきり言って素人には面倒以外の何物でもないような設計になっているのですが、いやはや勉強になりますね。そんな感じで事務仕事とスクール運営の両方をやってると、左脳と右脳をあちこち使ってバランスよく(?)鍛錬できます。
全国で300近いコースが開校するうち、自由大学でも「ベーシックコース」「第二創業コース」「女性起業家コース」の3つを2年連続で開校。全国で開催されている創業スクール共通のカリキュラムは一応あるものの、内容は自由大学流にアレンジしまくってやってます。ここからたくさんの新しい仕事が生まれているので、はじめた人たちの様子をもっとみんなに紹介していけるといいなー。
それでは、来週の日記もお楽しみに!