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クリエイティブチーム日記vol.17「NY出産レポート」小酒ちひろ

毎週火曜日にクリエイティブチームのメンバーが日々のできごとを綴ります

クリエイティブチーム日記

クリエイティブチーム日記は、毎週火曜日にクリエイティブチームのメンバーが交代で書く日記。今週は、小酒ちひろです。

先日、アメリカで第一子となる娘を出産しました。生まれた瞬間は感動の嵐、涙が止まりませんでした。今日は私が感じたアメリカと日本との出産事情の違いを書いてみたいと思います。

こっちに来て最初に戸惑ったのは医療システムの違い。アメリカでは病院の許可を受けた場合、開業医でも総合病院の施設を使うことができるのです。つまり、総合病院に勤務している医師でなくても、総合病院で執刀できるのですね。私の場合も、普段の検診は個人の開業医のところに行っていて、いざ出産となったときには総合病院の方に向かったのでした。いつも見てもらっている医院の設備は、そんなに充実していません。NY=最先端医療みたいに思っていた私はびっくり。「ここで出産するの?」と不安に思ったところ、実は出産するのは設備の充実した総合病院だったというわけ。病院は違っても、かかりつけのドクターに取り上げてもらえるのは安心感があってとてもいいと思います。

そして、いざ出産。これも日本だと陣痛室と分娩室が分かれていることが多いようですが、こちらはLDR(Labor・Delivery・Recovery)と言って、陣痛が始まってから終わりまでずっと同じ部屋で過ごします。日本でも最近増えてきているようです。陣痛で運ばれてから長い長いお産の始まり。出産の方法もまた、アメリカではメジャーな無痛分娩を選択しました。

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システムの違いはたくさんあるけれど、私が一番違いを感じたのは、出産に対する日米の考え方。なぜアメリカは無痛分娩がメジャーなのか。そこには、赤ちゃんが出てくる最高にHappyな瞬間を、お母さんができるだけ安らかに、ベストな状態で受け入れられるようにという思いがある気がする。日本の考え方の象徴は「お腹を痛めて産んだ子」という言葉があるように、私自身も、鼻からスイカが出るほどの痛みに耐えて苦しんだ先に出産の喜びがある、と無自覚に思っていた。その割に無痛分娩を選択したわけだけど、分娩室に1時間おきにくる助産師さんたちが「Are you comfortable ? 」と質問してくることに、最初は少し戸惑いながら、だんだんと「あぁ、苦しんだから偉いわけじゃないんだ」ということがわかってきた。もちろん日本も変わってきていて、日本のというより自分自身の固定概念の問題かもしれないけれど。でもこの考え方の違いって、出産だけじゃなくて一事が万事かも。

最後、赤ちゃんに出会えた時の喜びは、自然分娩でも無痛分娩でも帝王切開でも同じ。10か月間、お腹の中でずっと一緒にいた我が子を大事に思う気持ちは、世界中のお母さんが同じはず。だから少しずれるけど、日本の母乳神話だってちょっと待ってと思う。アメリカには専門のlactation consultantがいて、母乳のことを相談したりできる。小児科のドクターが言っていた「授乳だってHappyでなくっちゃ!」という言葉が心に残っている。

このレポートはあくまで私が体験したことにすぎなくて、日本もアメリカもここは違うということはたくさんあると思います。育児はきっと苦しいことだけでもないし、Happyだけでもやっていけない。でも大事なのは自分がどうありたいかということなんだと、出産の体験から早速娘が教えてくれた気がします。そして始まってるひっちゃかめっちゃかな日々。しばらくは育児を満喫したいと思います。

(ところで、小児科のドクターいわく、「malt beer は母乳にいいわよ!」とのこと。どうやらアイルランドではお母さんがギネスを飲んで母乳を出したりしてたそうですが、いやはやびっくり。科学的な根拠をご存知の方がいたら教えてください。)



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