講義レポート

新講義「スタイル発見学」の設立に寄せて、
自由大学サポーターのオシャレ番長 マリコが自分のスタイルを見つけるまでのエピソードを綴ってくれました。
オシャレ番長が生まれたそのキッカケとは…。
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まだまだ寒い日が続いていますが、ショーウインドウの中のディスプレイは、すでに春の装い。
優しげなカラー、ふんわりとした透け感のある素材、’70sを彷彿させる大胆な色の組み合わせ…などなど、
あたたかな季節の到来が待ち遠しい今日この頃。
さて、あなたは今年の春、どんな洋服を着て、どこへ出掛け、誰に会いに行きますか?
どんなに情報やモノが、出掛けずとも、ネットさえあれば簡単に手に入る便利な世の中でも、
洋服は、リアルな店舗で買いたいもの。
それは、やはり実際に試着してみないと、洋服というものはサイズ感やどんな雰囲気か、分からないから。
自分に似合うのか、似合わないのか、イメージだけでは分からないからではないでしょうか。
でも、ここでちょっと不思議なのは、「実際に着てみないと、似合うか・似合わないか、わからない」はずなのに、
なぜ、あなたはいつも、ある特定の服は袖を通してもいないのに「似合わない」と選択肢にいれるまでもなく、スルーしてしまうのでしょうか?
「私には、ピンクは似合わない」
「私は、そんなヒラヒラした形はガラじゃなくて着れない」
「私は、そんなアイテムは着こなせない」
人は誰でも、自分の中にタブーや決まりを持っているもの。
でも、その服は本当にあなたの魅力をかき消すものでしょうか?
実は、それは”似合わない”のではなく、いつのまにか凝り固まってしまった”苦手意識”だったり、
ただ見慣れないことから自分自身がその服を着ることに許可をおろしていないだけなのではないでしょうか?

私達は「自分のことは自分が一番わかっている」と思っていますが、
実は、自分の姿がみられるのは、鏡の前に立った時だけ。
つまり、他人の方が私のことを見ている時間が長いのです。
私自身、こんな経験があります。
4年ほど前、海外に住んでいる伯父の所へ遊びに行った時のこと。
当時、古着大好き!重ね着大好き!靴はぺたんこ、体のラインが出ないゆったりとしたシルエットの
ものが好みの”カジュアル一辺倒”だった私に、伯父は
『20歳を過ぎた女の子がヒールも持ってないなんて!
いつでもどこでも同じ服でTPOに対してバリエーションがない!!本当の自分が見えていない!!!』
と、ピーコも驚く辛口なコメントを放ってきたのです。
そして、『こういう方が似合うよ。騙されたと思って、こういう格好をしてごらん』と指差したのは、
雑誌の中の、日焼けした肌にスキニーデニム、ヒールの高いパンプス、ピタッとしたTシャツをさらりと着た女の子。

…おじさん、ちょっと待って、わかってない、私はこういう服は好きじゃないし、似合わないのー!
…と心ではわめき散らしたものの、強引な伯父に連れられショッピングへ。
言われるがまま買った服は、どれも自分のクローゼットにはない細身のものや色や柄のはっきりしたものばかり。
しかし、不思議なことに、その洋服達を着てみると、なんだか気恥ずかしいのだけれど、意外と悪くないかも…

とちょっとドキドキしつつも背筋がシャンとするのでした。
そして信じられないことに、伯父が私を人に紹介すると、” Beautiful!!”という単語が私めがけて飛んでくるではないですか。
しかも1人ではなく何人も!!!
今まで「かわいい」も「きれい」も言われたことのなかった普通の女の子が、
「美しい!!」と言われた時の衝撃は相当なものでした。
私自身は変わっていないのに、洋服ひとつで印象ってこんなに変わるのか、
と洋服の持つパワーの偉大さを体感した私は(お世辞だったのかもしれないけれど)”beautiful”という言葉と、伯父の言葉を信じて、ファッション大改造計画を試みることにしました。
帰国してから、夢中になって、ファッション誌を読みあさりました。
本屋さんに並んでいる雑誌は、ジャンル問わず、片っ端から買いました。
自分の固定観念を壊すべく、今まで敬遠していた赤文字系雑誌からも「これは!」と思うコーディネートを切り抜いてコルクボードに並べたり、自分がどういう色や素材や形に反応するのか研究してみたり、
時には自分の顔の切り抜きを雑誌のモデルさんに顔にあててみたり…(笑)。
そして、今まで入ったことの無かったブランドのお店で実際に試着を試みたり…。
買わないまでも沢山の服に袖を通しました。
今では努力の甲斐あって、”自分が好きなスタイル”と”周りの人から「いいね!」と言ってもらえるスタイル”の
重なるところが分かるようになってきました。
そして、「『自分のスタイルが見つかるって素敵なことだよ』を伝える文章を書いてもらえませんか?」と言ってもらえたことで、
自分のスタイルが見つけられたのかな、と思える自分がいます。
自分を魅力的に魅せるスタイルが分からなかったあの頃は、
考えてみると、いつも、自分ではない他の誰かに一生懸命なろうとしていた気がします。
「あの人のように、もっと細くならなくちゃ、美白しなくちゃ、可愛くならなくちゃ」と。
好きな洋服を身にまとっているはずなのに、自分のことが好きになれなかったのは、そのせいだったのかもしれません。
自分らしいスタイルがキマると、自信がつきます。
自信は、人を内側から輝かせます。
きっかけは、外見でも、自信はやがて、その人のブレのない確固たる軸となります。
その軸は、あなたのファッションに制限を与えるものではありません。
自分スタイルという軸さえあれば、どんな服を着ても”あなたらしい”と思ってもらえるようになるのです。

あなたは、もうすでに、自分の中に自分だけの美しさを秘めている。
自分を否定して、姿かたちを変えようとするよりも、まず、ちょっと勇気をだして自分が客観的な見え方を受け止め、ファッションの力を味方につけてみて、いいのではないでしょうか?
そう、あなたは他の誰でもない、”あなた”になればいい。
自分だけのスタイルを手に入れて、借り物ではない”あなた自身が素材”の美しさを。



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