クリエイティブチーム日記は、毎週火曜日にクリエイティブチームのメンバーが交代で書く日記。今週は、佐藤大智です。
先日、猟に行ってきました。知り合いの紹介で山梨のとあるグループの猟にまぜてもらいました。まだ真っ暗な5時に東京を出発し、山梨の集合場所には7時前に到着。その頃には太陽も出て明るくなってきました。
続々と集合場所にグループのメンバーが集まってきます。今回は人間10人、犬も4頭いるのでにぎやかです。半分眠った頭であいさつする自分とは対照的に、メンバーのおじさんたち(推定平均年齢60歳以上)はとても元気。冗談を交わしながら、陽気におしゃべり。今日はどこの山にするかや担当する役割、場所を決めます。
以前のクリエイティブチーム日記で書いた猟はひたすら痕跡を追って行くシャーロックホームズのようなスタイルの猟でしたが、今回の猟は異なるスタイルです。鹿を追い込む役と銃で仕留める役に分かれます。そして追い込む役として犬も4頭います。
話が終わると車に乗り込み山の奥へ移動。
林道を走っている途中、前を走る車から無線が入ります。「最近の鹿の足跡がけっこうあるね〜」。
「あるね〜」と言われても僕には全くわかりません(笑)。その足跡が最近なのか、そもそもどこに足跡があるのか車で走りながら全くわかりません。でも、こういうときにとても胸が躍ります。小さなCの向きを当てるのとは違う「見る力」。今、自分にはその力はないので、どうにか早く体得したいです。
車で行けるところまで行き、そこから先は歩きです。山を歩くといっても登山道のような道はなく、山肌をひたすら歩きます。積もっている雪にはたくさんの足跡がありました。でも、今回の猟ではその足跡の情報はあまり意識しません。地元の猟師さんたちは、あの山のあの辺から追いこめば、あそこらへんを通って逃げるだろうということを知っています。だから、今見つけた足跡の主の鹿をピンポイントで狙おうとはならないので、目の前の足跡の情報はさほど重要ではないのです。(痕跡から得られる情報については以前のクリエイティブチーム日記を参考にしてください)
今回自分と先輩猟師さんのペアは仕留める役割なので、自分の持ち場についたらひたすら待機。針葉樹が冬でも光を遮り、どんどん太陽は昇っているはずなのに薄暗く、集合した早朝よりも寒く感じます。しばらくするとしーんとした森から鈴の音が聞こえてきます。犬についている鈴の音が見えない犬との距離を教えてくれます。犬の鳴き声が聞こえてきました。緊張感が高まります。鹿が近くに来ているかもしれないので、気(け)取られないように木になったつもりで動かないようにします。しかし、鈴の音は遠くへ行ってしまい鹿も出てきませんでした。
そして、またじっと待ち続けます。
時々、風の音しか聞こえない静かな雪の森。その静けさ、木の隙間から入る光、森の匂い、重い寒さ。普段、眠っていた感覚が呼び起こされてきます。
もしずっと都会にいて、今日猟に来なかったらその感覚を感じることもなかったと思うと少し怖くなりました。
続きはまた次回。