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ファンタスティック古事記教授 小出一冨さんが『人生が変わる古事記』を出版!

出版記念インタビュー&イベントのお知らせ

「ファンタスティック古事記」教授の小出一冨さんが、満を持して初著書『人生が変わる古事記』を出版されました。ユニークな人の集まる自由大学の中でも一際異彩を放つファンタスティックな小出さん。早速、インタビューしてみました!

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—Q. 「人生が変わる古事記」というタイトルのとおり、古事記の物語をただ読むのではなくて、古事記の神さまから生き方を学ぶということに主題が置かれているように感じました。なぜこのような切り口にしようと思ったのですか?

小出さん:実はオトナの事情なんですよ。最初は女子向けの古事記を書いていたんですけど、結局私は男なのでそこまで女性の心に肉薄できず、そして今度は出版社の意向で「自己啓発で書いてくれ」と言われまして(笑)

かなりこの本のために論文を集めたりもしていたので、もう書きません、というのも勿体ないのと、乗りかかった舟なのとで、この無理難題にのっちゃったのが真相です。
最初は『古事記』と自己啓発なんて水と油だからイヤだったのですが、油と水(酢)もよく振ると美味しいドレッシングになるかんじで、かなり面白いものができました。結果オーライですね(笑)

—Q. 構成がすごく面白いですね。タイトルと短いあらすじが1ページにまとめられていて、次にその解説が続く。そしてまた次のストーリーが始まる。少しずつちゃんと理解しながら進めるので、とても読みやすかったです。単なる現代語訳ではなくて、このような構成にしたのはなぜですか?

小出さん:ありがとうございます。ちょっと話はズレるのですがこの現代語訳、私が原文から訳したんです。基本的には原文の文構造を崩してません。取捨して要約していますけれど、語の並びはできるだけそのまま残してあります。読みづらいな、と思ったところも行間を私の解釈で埋めないで、原文の感覚をできるだけ感じてもらえるようにしています。

巷にある本だと、意訳になっちゃってるから、そこに自分の考えや思ったことが入れちゃうんです。そうすると読むという行為が、受動的になっちゃう。それじゃ本を読むのって本当は楽しくないんですよ。

この本では、あえて不明瞭なものを不明瞭に、意味がわからないものを意味がわからないままに提示しています。そんな現代語訳で「ここがわからない」とか「共感できる」と何かを感じてもらうきっかけにしたかったんです。そのあとで、そこに私はこう思うよ、こう読めるよ、と解説するカタチにしました。

私の解説を正解にして欲しくなかったんですね。こう言ってる、こう書いてある、ってガチガチに物の考え方を固めるんじゃなくて、私はこう思う、こう捉える、そういうものを提案するカタチにしています。今までの『古事記』の本に足りなかったものだと思います。

中学の時なんですが、国語で夏目漱石の『こころ』をやったときに疑問を抱きまして、友達数人とみんなで『こころ』を買いに行ったんですね、それでみんなで読んで、「Kの自殺」の動機について語り合ったんですよ。アレはお嬢さんをとられた先生へのあてつけだ、とかお嬢さんへのあてつけだ、とか。あと凄いヤツは、西洋の理性を帝大で学んでおきながら、精神を統御できない非理性的な自己やそんな自分を生み出した日本という文化的風土に失望して自殺したんだ、という友達もいました。結局、結論は出なかったんですけど、これってすごく楽しい読み方だと思うんですよ。
古事記も、そんな豊かな読み方をしてほしかった。それが凄く大きいですね。

kojikiファンタスティック古事記フィールドワークの様子

—Q. 自由大学の「ファンタスティック古事記」「ワールド宗教学」をやったことでどんな学びがありましたか?講義は本の執筆にどんな影響を与えましたか?

小出さん:自由大学の講義って、受講生と教授との距離が近いんです。本当にミニライブみたいな感じです。色んなものがダイレクトに伝わってくる。同じものを同じようにやったら絶対ダメ。人によって興味も違います。でも、興味が違うんだよね、って片づけちゃうのは私は逃げだと思ってます。受講前には興味がなかったものが、段々と興味が出てくるように種を植えなきゃいけない。なにが育つかはその人の土壌の性質によって全然違うと思うのですけれども。

それは講義だけではないのですが、受講し終わって満足、というのはダメな講義です。受講し終わってみると新しい興味や好奇心がわいてきて、好奇心にしたがって求め、動き出す。こういう講義を毎回私は目指してきました。

実はこの考え方は、この『人生が変わる古事記』も全く同じなんです。読む前より読んだ後に興味がたくさんわいてくる。講義も本も、実は同じ位そうだったんです。

—Q. 序章に「あなたはどのように『古事記』を読むのでしょう。」とあります。まさに読み終わったとき、古事記にこんな楽しい読み方があったのか!と思いました。読後、自分の古事記の読み方をつくっていきたい人に、ちょっとだけヒントをもらえませんか?次はどんな本を読んでみたらいいとか、こんなことに気をつけてみたらいいとかあればお願いします。

小出さん:『古事記』を読むために必要なのは、知識というよりは経験かもしれません。日本の神々は非常に人間臭いです。つまり古事記の神々は私たちと同じ感受性で物事を語っているということです。

古事記の読み方をもっと深めたり、広げたりしていくためには、まず自分の生活や生きるということをもっと感受性豊かに見つめることだと思っています。血を通わせてあげてください。読書を豊かにするためには、読書以外の部分(人生)が大事です。しっかり失敗したり、挫けたり、悩んだり、喜んだりして生きることが大事だと思っています。

次に読んでほしい本は、『源氏物語』でしょうか。理由はまた、源氏物語で出版したときのためにとっておきますね(笑)

—Q. 最後に一言お願いします!

小出さん:この本は、実はちょっと特別な本です。東日本大震災のことを覚えてらっしゃるでしょうか。復興は終わったと思っていらしゃるでしょうか。原発で取り上げられがちの福島県ですが、福島県の方々も大震災に罹災しました。親を失ったり、行方不明になってしまった福島の子供たちがいます。さらに原子力災害で、住み慣れた土地からも離れなければならない子どもたちも多く、色々な喪失体験によって、本来ならしなくてもいい負担が子供たちのハートにのしかかっています。

出版とは色んな人々に本を買って貰うという事業だと思っています。それは著者の声をみんなに届け、みんなの富を頂く、ということでもあります。私は、この国の由来を語る『古事記』の本を書きました。そのお金は、私するべきではないと思いました。私は、この著作で得られる全ての印税収入を、初版から権利消滅まで【東日本大震災ふくしまこども寄附金】に寄附することにしました。私のことが嫌いな人も安心してお買い上げください。原稿料もないので、一銭たりとも私の手元には入りません(笑)。

私は、福島県の子供たちにこの本の全てを捧げます。
そして、みなさんはこの本を買うことによって、
子供たちと一緒に未来を歩いていくことができます。
どうぞ、この本を手にとってください。

生きとし生ける者が幸せでありますように。

小出一冨さん出版記念イベント開催決定!

『人生が変わる古事記』の出版を記念して、小出さんによるトークライブを開催します。

古事記の常識は、現代の非常識?古事記に描かれた自由でシンプルな日本人の生き方。
小出さんが本を通じて伝えたかったことをお話しいただきます。
泣く泣くカットしたお話や、本には書けない古事記の話、出版裏話などなどここでしか聞けない話を聞いちゃいましょう。
会場は自由大学新キャンパス。いち早く新キャンパスに訪れるチャンスでもあります。

日時:11月15日(土)19:00~20:00
場所:自由大学新キャンパス COMMUNE246 (旧246COMMON)
東京都港区南青山3-13 
定員:20名 ※立ち見の可能性あり
参加費:2000円 ※本1冊つき
※本なしで1000円でもご参加いただけることになりました。(11/11追記)

申込方法:FBイベントページより参加ボタンを押してください。

当日は小出さんがサインと揮毫をしてくださいます。



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