オリエンテーション:パーマカルチャーコミュニティの土壌づくり
明治神宮の散策をしながら「森の仕組みや植物」(Urban Ecology, Deep Ecology, Holistic Learning)について理解を深めよう。フィールドワークから始まり、世界の現状も参照し、講義とディスカッションで掘り下げていきます。
※10時に明治神宮の「明治神宮宝物殿前」の芝生に集合。雨天でも行いますが、台風など荒天の場合は中止とし、12:30から自由大学にて講義とします。
都市を耕し消費者から創造者へ。地球で豊かに暮らすデザインを学ぶ9ヶ月の冒険
パーマカルチャーという言葉をご存知ですか? 1970年代にオーストラリアで生まれたパーマカルチャーは、「Permanent(永続的な)」と「Agriculture(農業)」「Culture(文化)」をあわせた造語。持続可能な生活・文化・社会のシステムをデザインする知恵のことです。
こう書くと、「高尚な思想を持って、田舎で自給自足」という自分の生活からは遠いイメージがあるかもしれませんが、実はその本質は「活かし合う関係性をデザインする」ということにあります。田舎だろうと、都会だろうと、いろいろな人やモノが関わりあって成り立っているのは変わりません。だとすると、むしろ人やモノが多い都市にこそ、パーマカルチャーというコンセプトは力を発揮するのではないでしょうか。
環境問題をはじめ、現代の社会問題の原因の多くは都市が発端になっています。しかし、パーマカルチャーには「Problem is Solution/課題あるところに解決がある」という言葉があります。
これまでゴミだと思っていたものが実は大事な資源になったり、事件や事故が却って状況をよくするチャンスになったり、すべては創造力次第! そう考えると、一見問題ばかりに見える都会にこそ、多くの可能性の芽があるはずです。
教授のソーヤー海さんは、パーマカルチャーの考え方を、都市の自然と人間、街との関係にも応用することで、目の前の都市からより大きな世界を変えていくことを目指しています。東京にタネを植え、スキマを見つけてさまざまなことを自分たちでやってしまおう! 自らに変革を起こし、実践していく講義です。
四季のほとんどを通して行うこのプログラムは、アーバンパーマカルチャーの世界観を学び自然体になり、都市(現代社会)を耕す自己を形成するために考えられました。
ガーデンが永田町のビル屋上ということで、より大都市の仕組みを感じ、そこからどんな変革が必要かを学びます。都会の屋上ガーデンに緑を育む実際のプロジェクトを通じて、パーマカルチャーの基礎である「観察と創造」を、季節が移り変わる中で体得することができます。
目標は、未来に向けて支え合いの生態系づくり、命のムーブメントに入っていくこと。 具体的には、ガーデナーとして都会でもどんな環境でも菜園を作れるようになることを目指します。この9ヶ月の間に、都市で自給できるエネルギーシステムを美しく作れるようになりましょう。
①URBAN ECOLOGICAL GARDENING みんなが循環的な菜園ができるようになる(苗づくり、野菜や果物の収穫、多年草も育てる、コンポスト)
②PERMACULTURE DESIGN パーマカルチャーデザインの基礎を理解して、生活をデザインし始める
③GROW THE MOVEMENT イベントも含め、学びと気づきを他の人にシェアできるようになる
パンデミックで社会が一変した。経済の低迷、気候変動、人類が直面している大きな問題に対応できない今の社会。これこそがチャンスだと思う。
自然と闘うのではなく、自然の循環を暮らしに取り入れて、より豊かで余裕のある健やかな暮らしの道を歩む。それがパーマカルチャーの楽しい冒険なんだ。僕はその世界にできるだけ多くの人を招待したい。こんなに最高な地球だからこそ、みんなと環境を再生しながら豊かな世界を創造したい。地球の上で生きることを学びなおそう。
今は時代も時代だし、生きることとパーマカルチャーをしっかり探求して、実践者を増やすことに専念している。尊敬しているガーデナー石田紀佳さんと自由大学チームと共に、大都会の中のミクロなオーガニックガーデンを実現していこう。アーバンパーマカルチャーのモデルケースを目指して、都会の循環型なシステムを構築する。生ゴミをミミズコンポストで堆肥にして、堆肥からオーガニック野菜をその場で育て、飲食店の食材に活用してもらうなど、できることはたくさんある。
そんなワクワクのプロジェクトを、受講生と手を動かしながら作っていくよ。実践を通して学ぶのが一番!
屋上GARDEN を作り上げるだけではなく、みんなもそれぞれガーデナーとして自信をもって、新たな菜園を都会中に作れるようになってほしい。ただ植物を育てるのではなく、土をつくり、生態系に触れて、新しい時代を創造していくコミュニティになることを目指している。
未来をみつめる本気のパーマカルチャー講義へようこそ。OK, lets garden the city!!!!
講義初日、明治神宮の森で「循環の仕組み」をレクチャー。自然を観察する解像度が上がり、見えなかったものがだんだんと見えてくる
「田舎で自給自足の生活をすること」を目的とするわけではなく、「地球全体で自給自足していく」のがアーバンパーマカルチャーの考え方。私も縁があって都市に暮らしていますが、都市が変わらないと人間が自然に及ぼす影響は変わりません。どうやって人が集まって協力して文化を創造していくのか、都会のありようは未来にどうなるのか、は都市に身をおかないと切実に考えられないところがあります。
だから、都会を変える原動力のためにも、オアシス的な自然の息吹を感じる空間をつくる必要があると考えています。都会は、人というエネルギーにあふれている。人間がつくったものつくってしまったものをどうするか、どういうものを人間はつくっていくのか、という考える材料だらけです。「資本主義とは異なる、別の経済が成り立つ可能性」へと視野を広げたり、価値観の変化を体感するかもしれません。
パーマカルチャーは決して、いま暮らしている社会を否定することではありません。偏狭的な思想でもありません。共同社会とは? 自然の営みとは? など疑問を持ち、農業だけでなく、生物学、経済学、社会学など必要な知識が多くあります。パーマカルチャーを実践していくことで、さらに気づきや疑問が生まれてきます。学びを継続することで、社会との繋がり方や見え方も変わっていくはずです。
<講義日のおおまかな流れ>
【チェックイン】ソーヤー海さんと受講生との対話がここから始まります。
【座学レクチャー】教室にて。
【ランチタイム】それぞれで持ち寄った食べ物に、屋上の収穫物を添えていただきます。ポットラック式でも、お弁当でも、外で食事したい方は自由行動で大丈夫です。
【実習】主に屋上や教室で作業します。
【チェックアウト】毎回、体験や気づきのシェアリングをパーマカルチャーでは大切にしています。
【終了予定】終了後も、希望者は屋上菜園の実習の続きをすることもできます。
※基本は午前に座学、午後に実習。しかし、季節、天候、進行状況によって、実習、座学の時間帯は変わります。人間の都合だけでなく、大自然の営み、巡りを重視します。ちなみに、夏季は日差しの強い日中は座学にして、日暮れ頃から屋上作業をする可能性もあります。適宜、休憩をはさみ、疲れないように進めていきます。
【参考動画】
国内外のパーマカルチャー動向がよくわかるドキュメンタリー映画『TERRA ~ぼくらと地球のくらし方~』
教授のソーヤー海さんがメインナビゲーターとして。石田紀佳さんも出演しています。(自由大学 表参道キャンパスにて撮影)
TED talk ソーヤー海さんが出演
講義計画の詳細はこちらでご確認ください。
→https://freedom-univ.com/lecture-report/urbanparmaculture_plan/
(第13期 全期募集開始日:2024年1月13日)
(第13期 後期募集開始日:2024年6月7日)
第1回(前期)
明治神宮の散策をしながら「森の仕組みや植物」(Urban Ecology, Deep Ecology, Holistic Learning)について理解を深めよう。フィールドワークから始まり、世界の現状も参照し、講義とディスカッションで掘り下げていきます。
※10時に明治神宮の「明治神宮宝物殿前」の芝生に集合。雨天でも行いますが、台風など荒天の場合は中止とし、12:30から自由大学にて講義とします。
第2回(前期)
パーマカルチャーとは何か、歴史と倫理、デザインの原則を学んでいきます。なぜいま都市でパーマカルチャーなのか。パーマカルチャーの原則 1と2を中心に学びます。
第3回(前期)
自然の循環はコンポストそのもの。微生物(乳酸菌、麹菌、酵母ガーデン)が有益に作用する「発酵」など「目に見えない命の動き」も感じられるようになりましょう。
第4回(前期)
グローバル経済を支えるシステムが巨大になりすぎ、自然環境に過剰な負荷をかけてしまっている現代。地球規模で考えて、各々が地域で行動することが必要です。「PERMACULTURE DESIGN PROCESS 1 」地球環境問題をパーマカルチャーはどのように捉えるか。パーマカルチャーの原則3と4を中心に学びます。
自由参加(前期)
夏野菜と花卉栽培、ガーデン整備をほぼ1日かけて行います(希望者のみ:日程と時間調整中)
第5回(前期)
千葉県いすみ市の「パーマカルチャーと平和道場」で、さまざまなパーマカルチャーシステム (水、エネルギー、食)を体感しながら、循環する暮らしのデザインについて学ぶ。※10時現地集合。宿泊も可能です
第6回(前期)
「PERMACULTURE DESIGN PROCESS 2」エネルギーの循環について。主に水、エネルギー、食について、パーマカルチャーの原則5と6を中心に学びます。
第7回(後期)
人間と自然の相互関係によって形づくられ、独自の生態系を生み出した「雑木林」には、都会で農を実践するアイデアが溢れています。パーマカルチャー原則7と8を中心に学びます。
第8回(後期)
農法の変遷と土壌について。ゴミとされる有機廃棄物を堆肥にし、健康的な地元の食べ物を育てて食べられるようになるには。世界の土壌の特質を学び、都市でも食料自給の一助を担うにはどうしたらいいのか。
第9回(後期)
アセットマッピングについて。パーマカルチャー原則9と10を中心に学びます。small is beautiful, slow food とは。足元の資源をていねいに使えば、軌道修正も簡単で、心地よい暮らしにつながります。
第10回(後期)
「シティリペアの実際」について、海外や東京の事例から何が学べるでしょうか。それぞれが独自の変革の可能性を持っていることに気づけば、新しい都市のあり方が見えてきます。パーマカルチャー原則11と12を中心に考えます。
第11回(後期)
この一年近くに渡る講義プログラムで起こった自分自身の変化とともに、地球環境や社会の変化に対応する力を身につけられたでしょうか? パーマカルチャーの理念は円環状にめぐるので、何度でもどりつつ発展させていきましょう。