朝、目が覚めるとワクワクしますか?
「Yes!」と心から言える人はそう多くはないかもしれません。
私は大学生のころは朝起きるのが楽しみでした。なぜなら、朝起きて大学の講義までの時間は趣味の自転車に乗れるトレーニングの時間だったからです。早起きをして、朝ごはんを食べ、朝日を浴びて運動をし、夜はぐっすり眠る。そして、また楽しみな朝がやってくる。そんな毎日でした。
しかし、社会人になった直後は朝にワクワクしなくなってしまいました。もっと寝ていたいけど遅刻しないように起きて、ぼーっとした頭でトーストとヨーグルトをとりあえず急いで摂取して電車に乗り込む。大学生の時と同じく朝日に照らされていても、目に映る景色はキラキラしていません。
「朝、ゆっくり料理をしてゆっくり食べる時間なんて無い!」だから、朝ごはんはテキトーに。その原因はおそらく2つの要素があると思います。1つ目は料理の準備、2つ目は自分の暮らしを自分で作れているかです。
自分の暮らしを作るとは経済的な自立のことではなく、自分が心地よいように選択的に生きているかどうかのことです。朝ごはんは料理の話だけでなく、暮らし方、生き方にも通じていると思います。
教授のフルタさんは雑誌に載っている理想形のような朝ごはんを毎日15分以内で作っているそうです。「15分じゃ無理!」第1回目の講義の時はそう思いますが、毎週講義を受けていくうちにみんなの朝ごはんがどんどん素敵になっていきます。
自分も最初は「男がランチョンマットとか木のスプーンなんて…」と思っていましたが、皿やスープカップなどにもこだわっていくと朝ごはんが楽しみになっていきました。
目の保養でしかなかった雑誌の中のような朝ごはんが、自分で作れるようになっていきます。味、栄養だけでなく、見た目にもちょっと意識を向けると、いつもと同じ材料でも朝ごはんの幸福感がグッと増します。
朝をきっかけに日々の暮らしを整えていくことも朝ごはん学の大きなテーマ。
1年のはじまり、1日のはじまりから自分の暮らしをより良くしてみませんか?
(text:「朝ごはん学」キュレーター 佐藤大智)