What’s Cuban-tainment? 王道キューバと脇道キューバ
教授自身の在キューバ経験をもとに暮らしの中に垣間見るキューバらしさを楽しむために、イメージとリアル、常識と非常識を対比しながら『Cuban-tainment』について考えていきます。
キューバの素顔から豊かさの本質を探る
カリブ海の島国キューバという名前を知る人は多いのではないでしょうか。革命家チェ・ゲバラ、名物の葉巻やラム酒、そしてクラシックカーのキャブが走る古い街並みに、溢れる音楽やダンス。米国との国交再開というニュース以来、キューバはこうした強烈なイメージを伴って、近年ますます注目を集めています。
ただ、この土地を訪れてみると、人々が暮らす街角には、より深くみっしりとした魅力が満ちていることに気づかされます。諸外国に向けてアピールされている観光要素の向こう側、表層の観光地だけでは感じ切ることのできない豊かさがあふれています。報道されるキューバのほとんどは首都ハバナですが、バスに揺られて日本の半分ほどの国土を旅すると、多様な風俗習慣や、手付かずの大自然との出会いが心を揺さぶります。足を踏み込むほどに自分だけが発見したような魅力を感じさせてくれることも、キューバ旅の醍醐味かもしれません。
キューバはよく「貧しい」とも表現されますが、個人的には、生活のあらゆる面で「難しい」と感じることの多い国でした。ギョッとすることが多くても、そのたびに慌てていられない。色々と不便で、難しくて、けれども折々に強く感じる人の優しさや笑顔と、土地から湧きたつ霊性。キューバの魅力に想いを馳せる本講義では、こうしたキューバで感じる驚きを丸ごと「That’s CUBANTAINMENT」と称して楽しみつつ、化粧を落としたキューバの素顔を味わうことを通じて、先入的に用意されたイメージと、土地本来に息づく暮らしのギャップを感じ分けることを学び、キューバに限らず、旅が自分だけの特別な時間となる、本質的なモノの見方を手に入れるきっかけとなるように考えています。
私たちが暮らすこの国も今や観光立国宣言のもと、諸外国から多くの観光客を迎えていますが、政府が発信している日本の魅力だけが本当にこの国の魅力のすべてなのでしょうか?何度も来日している観光客はすでに大都市や有名な観光地を魅力的には捉えておらず、不便でも本質的な暮らしや信仰の地を巡り始めています。そもそも「観光」とは「光」を「観る」こと。この「光」はその土地に暮らす人々が何を大事に歴史を積み上げてきたのかという信仰そのものであり、その心の支柱を「観る」ことから生まれた言葉です。お金を払えば受けられるサービスのことでもなければ、その為に用意された世界感を味わうものでもないのではないでしょうか。
この姿勢は同時に、私たち自身が外国を旅する場合にも通ずるテーマとなります。
本講義はキューバ観光省認可のもと取材を敢行したガイドブック「Amazing Cuba」の著者であり、在キューバ日本国大使館勤務を経て、様々なCUBANTAINMENTを経験した千野祐子さんを教授に迎え、表面的にも内面的にもたっぷりキューバを味わいつくすことで、キューバの魅力に触れるだけに留まらず本質的な価値についても考えていきたいと思っています。
(第2期募集開始日:2018年12月6日)
第1回
教授自身の在キューバ経験をもとに暮らしの中に垣間見るキューバらしさを楽しむために、イメージとリアル、常識と非常識を対比しながら『Cuban-tainment』について考えていきます。
第2回
意外と知られていないキューバの歴史を紐解きながら、表面に残された暮らしや信仰と、今なおキューバ人の心の奥に横たわる原始的な信仰について紹介しつつ、『貧しいのに豊かな国』と言われる源泉を探究します。
第3回
都市ハバナに限らず、郊外に至るまで街中には音楽が溢れ、まるで誰もがダンサーのようにステップを踏む。カリブの海に浮かぶ小さな島が生んだ、暮らしの中の音楽と心の躍動に触れてみましょう。
第4回
あっと驚くキューバの常識は日本の非常識?? それとも実は、日本の常識が世界の非常識?? 旅先への想いを馳せてその国の本質的な魅力を探究します。準備された情報だけに惑わされずに、自分だけの旅を見つけるコツをみなさんと考えていきます。
第5回
最終回は教室を飛び出してキューバを体験するフィールドワークに出掛けます。キューバンミュージックに耳を傾け、キューバの味を堪能しつつ、心の中で匂いを感じ取ってほしい。心と体・・・五感で感じるキューバの魅力に溺れてみましょう!