美意識を持ち、学びの場の仕掛け人になる
この講義は、キュレーター=学びの場の仕掛人になるための入口です。「自由大学で講義をつくってみたい」と思ったことはありませんか? ここでは、好奇心の種を具体的にどのように講義として実現していくかを1dayで学びます。自由大学を運営する仲間たちと一緒に、新しいことに挑戦しましょう。
自由大学とは
大学の起源から発想した、新しい時代の学びのフォーマット
世界には不思議なことがたくさんあって、それを「知りたい」「やってみたい」と思うのが人間です。
もともと「大学の起源」をさかのぼると、中世ヨーロッパの人々の好奇心から生まれました。わたしたちの自由大学というシステムは、中世イタリアのボローニャ周辺で起きた学びのムーブメントから発想されています。大学は、最初に偉い教授や学位や校舎があったのではなく、「学びたい!」というひとりひとりの好奇心から始まりました。
自分の学びたいテーマを、あの手この手で紹介を辿りながら適任の先生を見つけてきて、教えてもらえないか頼んだのです。場所は、近所のカフェでも教会でも公園でも自宅でもいい。興味が似ている知人にも声をかけ、一緒に先生を囲んで輪になり、聞きたい質問をぶつけ議論します。社交界にデビューするために弁論術を学んだり、紳士としての服装や、リーダーとしての帝王学や立ち振る舞い、はたまた薬草や占星術について、絵画や読書の方法、政治や資産の増やし方など、小さな輪が多発していきました。
近代のように「立派な校舎がなければ、国の許可がなければ、教員免許がなければ、高額の学費がなければ」という堅苦しさはどこにもありません。学校は、もっと自由に誰でもつくっていいものだったのです。
誰もがキュレーターになり、誰もが教授になれるチャンスがある自由大学。自分だったら、どんなテーマを探究したいか、どんな講義を学んでみたいか、自由に考えてみてください。
問いや好奇心から始まるオリジナル講義
「学び」本来の魅力とは、自ら問いを発見し、考え、行動すること。与えられるのではなく、自分自身で答えを探究する姿勢にあるのではないでしょうか?
しかしながら日本の学校教育では、知識を詰め込むことが優先され、何かを生み出す力よりも正解を選択する力が良しとされてきました。高度成長期は、アメリカに追いつけ追い越せで、正解としての模倣先があったわけですが、混沌極まる現代は誰も未来がわかりません。既存の、前例のある正解よりも、新しい問題を設定する力が求められています。
一例としては、「お金に縛られている人が多いけど、別になくても生きていけるのではないか?」「もともと地球は動植物みんなのものなのに、家賃って考え、おかしくない?」このような純粋な問いから生まれたのが、「0円ハウス学-都市型狩猟採集生活を考える-」です。「隅田川のエジソン」と「多摩川のロビンソンクルーソー」との異名を持つ路上生活者の達人と革命家の坂口恭平さんを教授に招き、ゲストとして冒険家の石川直樹さんや人類学者の中沢新一さんもお呼びし、全5コマの講義に仕立てました。
会社を辞めて新しいことに挑戦するとき、多くの人がお金の心配をするものです。しかし、お金がなくても生きていけるとわかった受講生たちは、やりたいことを諦めない人生を歩んでいくきっかけとなりました。
このように、問いや好奇心から始まり、それをキュレーターが講義に組み立てていくのが、自由大学の特徴です。
学びのキュレーターの本質は「問題設定力」
時代と社会を読み、そこに自分の「趣味」を入れる
優れたキュレーションとは、どういうものでしょうか。時代や社会を読みとる察知能力はもちろん、そこに自分自身の哲学、美学、好みによって物事を切り取っていく勇気や表現欲求みたいな「趣味」を入れる、その両方がないと成立しえません。
キュレーターとは、そもそも美術界の言葉。数あるモノの中から情報を収集・整理し、独自の価値を生み出す人のことを言います。例えば、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のキュレーターは企画テーマの立案、アーティストの人選、展示方法、広報まですべてを司り、世界中の人々に新しい視点を投げかけます。
自由大学では、みんなが知りたいことをどう面白く学ぶか? 自分なりの美意識を持って講義という形にまとめ企画する人をキュレーターと呼んでいます。
では、教授とキュレーターの役割は、何が違うのでしょうか。
書籍出版に例えるならば、教授は教えるものを持っている著者で、キュレーターが編集者とも言えるでしょう。
編集者は、その著者を選び、魅力を最大限に引き出し、持っている内容をある視点で面白くまとめて、多くの人に必要とされる書籍というカタチにする。編集者の腕次第で本の売れ行きが左右されるように、キュレーションの仕方ひとつで扱うテーマの奥深さや面白さが全く別のものになります。
料理に例えるなら、教授の知識経験が「食材」で、キュレーターは「料理人」でしょうか。同じニンジンを使っても、さまざまなメニューに仕上がりますね。
細分化された領域を統合する
新しい価値をつくる実現力を身につけよう
溢れる情報の中から時代とニーズに合ったテーマを選んで、独自の価値を創り上げるキュレーションの力。企画から場づくり、実現、収益の分配まで、すべてのプロセスを経験できるのが魅力です。
とかく大きな企業内では、仕事が効率的に分業されていて、プロセスの一部にしか関われないことが多いものです。商品のデザインだったらデザインだけ、営業だったら営業だけなど。
しかし、これからの時代は一社に依存することができなくなり、「一億総フリーランス」の様相をていしていきます。複業や独立起業する力にも応用ができます。上流から下流までトータルでこなす総合力は、まさにキュレーターそのもの。他社から仕事を「もらう」のではなく、自ら仕事を「つくる」ことができるようになります。
すべてのプロセスに関わる仕掛け人なので、「自分が1から生み出した」自信にもなるし、集まった受講生の笑顔を見ると、やりがいや達成感もひとしおです。
起業学の講義から、起業したり(上場した受講生もいます)、カフェ学からカフェを開いたり、出版の講義から出版したり、みんなの人生に変化が起きる現場に立ち合い、発射台を構築していく仕事です。
つくる講義も、リアルとオンラインを問いません。企画によってどちらが合っているかで、選んでいきます。また、講義以外でもイベントやフェス、部活などのコミュニティ活動、メディアのコンテンツ制作など、形態にとらわれる必要もありません。
自由大学という場を自由に活用して、新しい価値をつくっていくことができます。きっとあなたの新しい能力が開けるでしょうし、新しい仕事のひとつになるでしょう。
▼キュレーター記事:
(第4期募集開始 2023年1月27日)