「本屋の定義」を壊す
あなたの好きな本屋はどこか? それはどんな本屋なのか?
本講義は「書店業界の現状」や「注目すべき本屋」といった国内外のトレンドに触れながら、「自分達が本屋を訪れる理由」を因数分解する所からスタートします。ネットショッピングや電子書籍が急速に普及する中、あえて「店舗」に足がおもむくのはなぜか? 様々なカルチャーやワークライフスタイルがひしめき合う現代における「本屋の役割」を考えながら、ディスカッションを通して「本屋を再定義」するキッカケをつかんでいきます。
新講義
自分の伝えたいことを「本×空間」で表現する
もし、自分が本当に欲しい本屋を作れるとしたら…?
あなたは、どんな本屋をイメージするだろう?
想像してみて欲しい。店舗やスタッフ、沢山の本を準備して、お客さんに本を販売することだけが本屋のイメージだろうか? 会社帰りや週末だけお気に入りの本を売ってみる、自分の好きなテーマの本を使ってコミュニケーションの場を作ってみる…。書店員でもなく、出版業界での経験もない…。そんな人達が集まって、今まで見たことのない「本屋のカタチ」が自由大学から生まれたら、きっと面白いはずだ。
普段、私たちは多彩な知識を得たり、喜怒哀楽のストーリーを楽しんだりと、本を通して「書き手」から様々なメッセージを受け取っている。もう一度、想像してみて欲しい。本は「書き手」だけの表現手段なのだろうか? アーティストに限らず私たちは「自分の伝えたいこと」を表現する為のいくつかの手段を持っている。食・スポーツ・歴史・環境・街づくり…。多種多様なカルチャーをテーマにして、人種・年齢・職業を超えて、あらゆる人達の手に触れる「本」は、あなたと第3者をつなぐ魅力的な「媒介者」となるはずだ。
今、あなたが「誰かに対して伝えたいこと」はなんだろうか? 「本」と「空間」を使って、今度はあなたから自分のメッセージを発信しよう。それは、言葉でもない、アートでもない、ファッションでもない、新しい表現方法との出会いだ。
ネットショッピングや電子書籍が急速に広がるなかで、私たちの街から毎日1店舗以上の本屋が消えている。手のひらのスマートフォンから、何百万冊という本をいつでも手に入れることができる現代。それでもなお、なぜ私たちは本屋に足を運ぶのだろう?(※ 注1)
目的の本がなくても、本棚やタイトルを眺めているだけで楽しくなってくる…。読み物としてだけでなく、本屋という「空間」や、見知らぬ本と出会うまでの「プロセス」そのものに、きっとワクワクしているのだ。毎日の仕事帰りや、時間が空いた時のちょっとした楽しみ。それができなくなってしまったら、私たちの街は少し退屈になってしまう。
今、世界では本屋に新しいトレンドが生まれつつある。韓国や台湾では独立系の本屋が次々とオープン。アメリカでは書店数が増加傾向にあり、本のセレクトだけでなく、空間作りにもこだわった新しい本屋が訪れる人たちの心をつかんでいる。日本でも「お客が独自の売り場を作れる本屋(天狼院書店)」や「週替りで一冊の本しか売らない本屋(森岡書店)」といった、これまでにない新しいスタイルの本屋が注目されるようになった。
「消費の場」から、街・文化・人をつなぐ「文化創造のインフラ」へ…。今、世界では新しいカルチャーや個人のワークライフスタイルの可能性を社会に対して提案し続ける、クリエイティブな本屋が次々と誕生しているのだ。
ハイパーローカル(地域密着)・コミュニティ形成・ブランディング・ICT活用…。今、私たちが「一度は訪れてみたい!」と感じる本屋には、いくつかのキーワードが隠されている。共通しているのは「人と本が出会うプロセスを見事に演出している」という点だ。それは、本棚の作り方に留まらず、空間や時間の演出、様々なテーマやカルチャーとミックスアップされたイベント開催といった幅広い分野において、人が本を手にとる瞬間までを魅力的にデザインしているということ。
「自己表現」としての本屋。本の先にある、読み手のライフスタイルや体験に「変化」を起こす本屋。
「新しい本屋のカタチ」をデザインする私たちの講義では、以下のアプローチから「人と本が出会うまでのプロセス」を描き出していこうと思う。
もし、本講義で得たアイディアや体験を今後のライフスタイルや仕事で活かすことができたら、あなたの日常にも変化が起こるはず。例えば、家やオフィスに「オリジナルの本棚」を作って、自分のキャラクターを表現したり、社内や地域のコミュニケーションを深めるツールとして活用してみるのも面白い。あるいは、本の「解釈」を根本から変えて発想してみたら何が生まれるだろうか? 大切なのは「自分の伝えたいこと」を「新しい表現手段」で描き出すことだ。
そして、本講義で生まれたアイディアを実際に「表現」することができたら、私たちの街に見たことのない「本屋の風景」が誕生して、各地域(ローカル)の個性や魅力となっていくかもしれない。
「知識」より「共創」
「新しい本屋のカタチ」に決まった答えや正解はない。書店の現状やトレンドを知ることも必要だけど、この講義で出会う多種多様な人達とのコミュニケーションを通じて、自分の伝えたいことをカタチにしていくプロセスを楽しもう。
ゲストのストーリーを「体感」する
本講義では「本」と「空間」という手段を通して様々なテーマをクリエイティブに表現し続けるゲストをお招きして、「自己表現としての本屋」を探求していきたい。普段出会うことのないゲストの話や体験を1つのテーブルを囲んで仲間と体感することは、もしかしたら、あなたの大きな分岐点となるかもしれない。
「小さなコミュニティ」から「小さなアクション」を起こす
明日から、来週から、来月から。本講義では参加者の日常に小さな変化を起こすアイディアを大切にしたい。出会った仲間と本屋を訪れたり、ディスカッションから生まれた「新しい本屋の企画」を実践してみるのも面白い。全5回の講義を修了した後が本当のスタートだ。
あなたの伝えたいことを「本×空間」で表現しよう。
今まで見たことのない「本屋の講義」が自由大学で始まります!
(注1): 日本著者販促センター 書店数の推移(http://www.1book.co.jp/001166.html)
第1回
あなたの好きな本屋はどこか? それはどんな本屋なのか?
本講義は「書店業界の現状」や「注目すべき本屋」といった国内外のトレンドに触れながら、「自分達が本屋を訪れる理由」を因数分解する所からスタートします。ネットショッピングや電子書籍が急速に普及する中、あえて「店舗」に足がおもむくのはなぜか? 様々なカルチャーやワークライフスタイルがひしめき合う現代における「本屋の役割」を考えながら、ディスカッションを通して「本屋を再定義」するキッカケをつかんでいきます。
第2回
「消費の場」から「文化創造のインフラ」へ…。
今、私たちの街には新しいカルチャーや多彩なワークライフスタイルの可能性を社会に対して提案し続ける、クリエイティブな本屋が次々と誕生しています。第4回は「一冊の本だけを売る本屋」というコンセプトで話題となった、銀座・森岡書店の店主、森岡督行さんをゲストにお迎えして、「本と人をつなげる空間作り」を中心に、森岡さんが「森岡書店」で表現したかったことを伺いながら、これから自分達が作り上げていく「本屋」のイメージを深めていきます。
第3回
あなたが興味を持っていることはなにか? 誰かに伝えたいことはあるか?
ファッション・スポーツ・アートといったカルチャーから、環境・街づくり・国際交流といった社会性の高いテーマまで。私たちは毎日多くの情報に触れ、絶えずそこからなにかを感じとっています。第3回は自分の興味や関心の「棚卸し」をしながら、本と空間を使って「自分が第3者や社会に対して伝えたいメッセージ」を、具体的なターゲットをイメージしながらテーマを設定していきます。
第4回
あなたが設定したテーマを「本」と「空間」という手段を使って伝えるのはどうしたら良いのか?
第4回は今までのゲストや考えてきた「人」と「本」が出会うまでのプロセスを具体的にイメージしながら「仮説」を作っていくことで、その問いに対するアイディアを考えていきます。「消費の場」ではなく、あなたが伝えたいメッセージを街や人とつなげる「インフラ」として…。あなたが考える「新しい本屋のカタチ」の原点がここから生まれるはずです。
第5回
本講義の最後は、自分が考えた「新しい本屋のアイディア」を参加者とシェアします。
4回の講義を通じてテーマ設定や仮説化してきたことを、マーケットや自分のワークライフスタイルに当てはめながら、「未来の本屋」としてデザインしていきます。また、講義を通じて得た体験や人とのつながりが、これからの自分にどのような変化を起こしていくのか? また、ここで出会った仲間達と何ができるのか?…といった、講義終了後のアイディアについてもディスカッションしてみたいと思います。