「実はスナックのママをやってみたい」
そんな夢を眠らせていたあなたはもちろん、今まで思ってもみなかった人の背中まで押してしまうのが、この講義「ネオスナックをはじめる」です。初心者は、まず「1日ママ」からはじめましょう。
昭和のスナックから令和の「ネオスナック」へ
近年、若者の間で密かに盛り上がりを見せている、古くて新しいカルチャームーブメント「ネオスナック」を知っていますか?
スナックとは、長らく大人のサードプレイスとして愛されてきた、あの昭和レトロな「スナック」のこと。一度は廃れはしたものの、令和になった近年、若い世代が経営者となり会話を主体としたコミュニケーションの場として再評価されています。
かつては年配サラリーマンが仕事帰りにママの人柄とお酒に癒され、カラオケでウサを晴らした昭和時代のスナック。それとは異なり、客層も若くお洒落になり、より明るくオープンで健康的に、と進化を遂げ「ネオスナック」と呼ばれているのです。時代に合わせ、禁煙やノンアルコール可のスナックも増えています。
令和のネオスナックに進化しても、ママを囲んで雑談やドリンクを楽しみ、集う人がフラットに交流できる魅力は変わりません。スナックに足を踏み入れた瞬間、面識の有無や肩書き、年齢、性別の壁は取り払われ、少人数で楽しく会話をすることができるのです。安心感のあまり、誰にも話せなかった本音がこぼれることもしばしば。同じスナックに集い、近すぎず遠すぎず適度な距離感で共感しあえる心地よさは、唯一無二と言えるでしょう。
社会にはもっと、雑談あふれる癒しのオアシスが必要だ
なぜ今の時代に、スナック的な交流の場が必要とされているのでしょうか。仕事でも日常生活でもコミュニケーション手段が極端にオンライン化した反動で、対面での会話を求める心理が一つ。もう一つは、おひとりさまが増えている社会背景も後押ししています。
オンラインは、目的のある「連絡」には効率的で優れていますが、目的のない「雑談」を楽しむには不向きな傾向がありませんか?
かつて職場では無駄なものとされていた「雑談」ですが、近年はその効用が見直されはじめています。リモートワークやジョブ型雇用の広がりで、社内メンバーとの雑談が減っていき、意思の疎通がしにくくなっている。同じ部署にいるのに、ほとんど相手のことを知らないんです。孤独感から働くモチベーションが下がり、離職率が高まってしまうのも無理はありません。
企業内やコワーキングスペースでも、コミュニケーション不足解消の鍵として「オフィス内スナック」に取り組むところも増えています。わたしたち人間は、今日あったことを誰かに語りたくなるもの。くだけた雑談で笑いあい、心が通い、信頼が生まれ、距離が縮まる。そのプロセスは仕事上のチームでも、プライベートの友達づくりでも同じではないでしょうか。
そんな憩いの場を演出するママに必要なのは、包容力と心配り。それぞれが楽しく話せる雰囲気をつくりだせる内面的な魅力と最低限のコミュニケーション力があれば大丈夫です。あなたが開くネオスナックが、日本をもっと生きやすい社会に変えていく。 そう言っては少し大袈裟でしょうか。
社内で「スナックまり」を開店するゲストの日水真理さん(左)
コンセプトも活動方法も自分流に。ごきげんなスナックタイムが始まる
さて、あなたもスナックのママに挑戦したくなりましたか? では具体的に、少し事例をご紹介しましょう。
近年、目立つのは自分の店舗を持たずに、「1日スナック」としてマイペースな頻度で複業ママ活動をする例です。「1日店長」専門スナックも増えてきていますので、「月1レギュラー稼働する会社員ママ」のような活動形態は、リスクなく始めやすいでしょう。
スナックは会話を楽しむ場所。「誰でもウエルカム」でもいいのですが、何かコンセプトを絞ったほうが、踏み込んだ面白い話題や出会いが生まれやすいです。「婚活する男女が励まし合うスナック」なんて必ず盛り上がりますし、他にも
・同じ興味を持つ人(ex. カルチャー、働き方、学問研究)が集まるスナック
・同じ職種(ex. 人事職、フリーランス)が集まるスナック
・地域のご近所さんが集うスナック
・ママ(自分)の知人同士をつなげるスナック… などがあります。
屋外の駐車場で「1日スナック」を開店するキュレーター荒井さん(右)
中には飲酒をしなかったり、営業時間が夜ではなかったり、会場が屋外の1日スナックもあります。
・ママは定年退職男性、コーヒーを飲みながら病歴を語り合う朝営業スナック
・「家業後継者」同士が相談し応援し合う1日スナック(駐車場に机を広げた即席会場)
さあ、イメージが湧いてきたでしょうか。あなたはママとして、どんな人たちとどんな会話をする場を演出したいですか? 一緒に学び、新時代のスナックを実現していきましょう。
(第1期 募集開始日:2023年12月21日)