金継ぎの歴史の話とそれぞれの器物語
金継ぎの始まりから現代に至るまでの歴史的背景や修復と修繕の違いについてを学びます。これらを知ることによって、これから実習する金継ぎへの興味をさらに沸き立てます。また、ご持参された器の物語も作業をしながら受講者の方と共有をしていきます。
「金継ぎ」で割れた器を自分で美しく再生させる
器が欠けてしまったらちょこっと自分で修繕して、大切に使う。そのような丁寧な暮らしに触れてみませんか。
またこの講義では、ただ技術を学ぶのではなく、美しく再生させることにも着眼します。上達すれば、友人の器を継いだり、展覧会を目指したりと、新しい世界も模索していきます。
「金継ぎ」とは、破損した陶磁器を漆で継ぎ金や銀で上化粧して直すという日本のデザイン力を示す伝統技術で、日本で茶の湯が盛んになった室町時代に茶道の世界に始まったといわれています。注目すべき点は、修復するだけでなく、その美的価値をもってモノの価値をも高めるという特徴をもっていることです。割れて修復した傷跡を「景色」といって、そこに美を意識した時代が、かつてはありました。
この「金継ぎ」の思想や技術、実は年々後継者不足によって失われつつあります。また昨年の震災により多くの伝統工芸が打撃を受け、更なる後継者不足に見舞われるという現実もあります。その一方で、モノが大量生産大量消費で溢れきってしまった今、人々の意識も手仕事に再注目する動きがでてきているように感じます。
今回は、大正10年に創業、以来100年にわたって神社の鳥居や車など、さまざまな分野で使用される「佐藤喜代松商店」さんの本漆を使って講義を進めていきます。
金継ぎ体験のワークショップの多くは、金を使う前に瞬間接着剤を使用したりするものが多いですが、本講義ではしっかり時間をかけて、本漆を使った本格的な修繕を少人数でじっくり学んでいきます。
この講義をきっかけに、伝統技術としてやや敷居が高そうな「金継ぎ」を身近なものと感じ、大切なものを大事に使うココロとちょっとした知恵、そして生活の美意識を高めていきたいと考えています。
(第8期募集開始日:2019年3月20日)
第1回
金継ぎの始まりから現代に至るまでの歴史的背景や修復と修繕の違いについてを学びます。これらを知ることによって、これから実習する金継ぎへの興味をさらに沸き立てます。また、ご持参された器の物語も作業をしながら受講者の方と共有をしていきます。
第2回
金を入れる前が肝心です。割れたり欠けたりした部分を金が美しくのるように修繕をします。「欠け」の部分にはパテを使って欠けた部分を平らにしていきます。欠けの部分を触ってみても欠けを感じなくなるまで丁寧に仕上げます。「割れ」は水を入れても水漏れをしないようにしっかりと割れをくっつける作業を行います。これも触って割れの部分を感じなくなるように慎重に行います。
第3回
引き続き、割れたり欠けたりした部分を金が美しくのるように修繕をします。欠損部分に本漆を塗って錆漆を入れてみます。そして、カッター・やすりなどで繕いの箇所の削り出しを行うなどします。少人数で教授が丁寧に指導いたしますので、ご安心ください。
第4回
パソコンばかり使っていて、筆で線を書くという経験は少なくなっているのではないでしょうか。美しい色で美しい線を描いていきます。金といっても濁った金色で描いたのでは、器が映えません。どの金色が美しいといえるのか、感性を研ぎすましながら丁寧に、時にはアーティスティックに筆を入れていきます。
第5回
ご自身がこれだ!というものに仕上げていただきます。またいくつか器をご持参の場合は1つではなく、お時間があればいくつか金継ぎを行います。そして、受講者皆さんの器を作品として並べて見てみましょう。