新しい時代は、自分で共同体をつくって自由に生きる
どうしたら熱量の高いコミュニティをつくりあげることができるか。立ち上げと成長の施策を考えていきます。実際に場のハブとして活躍しているゲスト教授を招き、知恵を得て、アイデアを交換しましょう。
「熱量の高いコミュニティ」と「すぐに繋がりが薄れてしまうコミュニティ」の差はどこにあるのだろう? 参加者の立場として、主催する側として、人の集まる場に関わってきた中で長年持ち続けていた問いが、この講義をはじめるきっかけでした。
生まれた時から、わたしたち人間はコミュニティを求めています。
コミュニティには、大きく2通りあります。
①固定コミュニティ:家族、親戚、地元、学校、会社…
②選択コミュニティ:趣味、ボランティア、複業、シェアオフィス…
いま、前者の「固定コミュニティ」が希薄に、流動的になってきているのを、あなたも実感しているかもしれません。
例えば社会現象として、こんなことがありますよね。
・核家族、ひとり暮らしが増え、親戚づきあいが減っている
・墓参りをしない、そもそも墓を持たない人が増えている
・会社でも終身雇用がなくなり、転職が増え、つきあいが浅くなっている
・お中元や年賀状などの慣習もなくなりつつある
・土地に縛られなくなり、多拠点居住など多様な住まい方が増えている
・地元のお祭りも減っている
・都会ではマンションの隣人に挨拶もしない…
このように、従来のつながりが希薄になっている。とは言っても、古来から人間がコミュニティを求めるという本能は変わりません。
場のハブとして「同志的結合」を編集していこう
固定コミュニティが希薄になっていくに従って、これからは自分で求めて「選択コミュニティ」に加わる or 自分でつくる時代です。できればコミュニティは4〜6つに属すると足場が安定し、わたしたちは精神力も行動力も最大化できるという研究もあります。
ベンチャービジネスの分野でも、マネタイズから考えるのではなく、まずユーザーのコミュニティをつくることから始めるアプローチが増えています。世界的企業ではfacebookもAirbnbも日本では「ほぼ日」もそうですね。従来のビジネスは、とかく「何を売るか」から始まりましたが、今がんばっている会社は、ほとんどがオンラインでもリアルでもコミュニティづくりに力を入れています。何を売るか、どう稼ぐかを決めずに、まずユーザーを集め純粋に一緒に楽しむところから始まっている。「人が集まるところには、後から何かしらビジネスを生むことができるだろう」というわけです。
従来のようなクローズド型ですべて自前でやろうとする会社は、行き詰まっています。閉じずにひらくことが大切です。伸びている会社やお店は、ユーザーと一緒に商品開発にいそしんだりして、会社とお客さんの境界は溶け出して、まるで同じチームのように一丸となっています。
例えば、感度の高い都市生活者から注目されている「青山ファーマーズマーケット」があります。いまや毎週土日で平均3万人集まる市場になっていますが、テントの設営など運営のボランティアグループが千人もいて、荒天の日でも屋外で嬉々として活動しています。
「シェアの時代」と言われ、シェアオフィスも乱立していますが、いまは立地や設備のハード面ではなく、どんなカルチャーがあり、どんなメンバーが働いているのかというコミュニティの質で選ばれるようになりました。
出版業界のビジネスモデルも変わってきていて、これからはいかに読者のコミュニティをつくれるかにシフトしています。小説家も一定数の読者コミュニティがあれば、出版社を経由する必要もないし、商業主義に魂を売ることなく好きな表現を続けていくことができます。
ミュージシャンも、古くはグレイトフルデッドのように、熱烈なファンたち(デッドヘッズ)のコミュニティが活動の基盤を支えています。
趣味やプライベートだって同志がいれば、プラスに働きます。ランニングや英会話もモチベーションの高い仲間がいることで挫折せずに続けられるし、ボランティア活動や勉強会も自分を成長させてくれます。
場づくりの哲学と技術を学び、実践する
「似た趣味」を持つ人たちが繋がる「同志的結合」を生み出し、 コミュニティを編集していくにはどうしたらいいのでしょうか。情熱だけあっても、これはなかなか一筋縄ではいきません。きっとあなたも失敗経験があるのではないでしょうか。
・求心力のある文化がなく、人が集まらない、定着しない
・お互いのことを知ろうとせず、深い交流やコラボが生まれない
・コミット度合いがバラバラで、プロジェクトが進まない
など、どこも陥るこのような壁をどう乗り越えるか、ゲストを交えて一緒に考えます。
あなたが「コミュニティ創造スキル」を身につけることができれば、仕事でも趣味でもよりよく生きる武器になることでしょう。結局、社会を動かしているのは一人の天才ではなく、同じ方向に進むコミュニティなのですから。
充実感とは、「自分以上の何か大きなものに対して貢献できた」と実感できた時に得られるものです。リアル、オンライン問わず、熱のある場をつくる人が増えれば、グループの力で世界を少しでも面白いほうへ前進させていけるはずです。
(第2期募集開始日:2019年10月7日)